2017/08/11 22:00

突然告げられた理不尽な「異動」。33歳、何が正解?

突然告げられた理不尽な異動。おとなしく従うべき? 拒否して会社を辞めるべき?

私が異動したくないのには、出世ややりがいより大切な理由があって……。

「バリキャリ未満、ゆとり・悟り以上」を生きる33歳のOL、マユに訪れた突然の転機。今どきの「女の幸せ」ってなんだろう? 世代を超えて共感必至の、女の人生ルポルタージュ。

水野マユ(仮名)33歳/エンタメ関係

1984年生まれ、東京都品川区在住(両親、犬1匹と同居)
職歴/大学卒業後、音楽関連会社に就職。2年勤めて退社。
その後、約1年半のアルバイト期間を経て、27歳で現在のエンタメ関連会社に入社。
似ているタレント/大政 絢
理想のタイプ/藤原竜也
手取り月収/約22万円(税引後)   貯金総額/約1,500万円

Vol.1   突然告げられた理不尽な「異動」。33歳、何が正解?6年目のデスコール

2017年4月5日、この会社に転職して6年と152日目の13時32分。

マユの会社用スマホの画面に、ある番号が光った。何か大事な連絡ごとがあるときにかかってくる、人事担当の番号。社内では、デスノートならぬ“デスコール”と呼ばれて恐れられている。

「水野です。……。はい、わかりました。じゃ、会社辞めます」

マユはたった今、6年半務めてきた宣伝部から、マネージメント部、つまりタレントのマネージャーへの異動を告げられた。電話の向こうの人事担当者は、マユの「辞めます」発言にびっくりした様子で、「きちんと話しましょう」と言ってきた。まあ、これも予想していた反応だ。

「今年の3月ころから、社内がザワついていたんです。大幅な組織変更があって、マネージャー職に大量異動させられるらしいって。マネージャーっていうのは、担当するタレントのスケジュール管理をしたり、車や食事の手配をしたり…。華やかな業界のイメージとはかけ離れた、いわゆる雑用係というか、付き人です。朝は早くて夜はエンドレスだから、最近の残業問題とか働き方改革のなかでは、相当マズいっていうことになって。だから、人を増やさないといけない、というコトらしいです。

大切なタレントを支えるマネージャー業務が大事なのはわかります。人が足りないっていうのも、うちの会社ではずいぶん前から言われてたことだし、実際、体壊したり、メンタル病んで辞めちゃった人もいたし。でも、私がやりたくない理由は、そこじゃありません。

あの仕事してたら、結婚できないんです。

自分で自分の予定を決められない、週末にも仕事が入る、急な呼び出しがかかる…。そんな生活で、結婚できる気がしない。それだけが理由ではないだろうけど、マネージャー職の女性で、幸せな結婚をした例が見当たらない。

かといって、今から転職活動をして時間をとられるのは、私の婚活に支障をきたすんです。そもそも、転職するといったって、何をやりたいのかわからないし。

今気になる人の気持ちは確認できていないし、これがダメだったら、すぐ次を探さないといけないんですよ。こっちはこっちで忙しくて、ほんとに異動してる場合じゃない。

私、なんとしても、35までには結婚したいんです」

3年ぶりの彼氏

デスコールから1週間後。人事担当との面談に、マユはあえて無表情でのぞんだ。本音を言っても理解されるとは思えないし、建前で説得力のある熱弁ができる自信はない。だから、あえて無表情作戦だ。

「私、33歳ですよ。宣伝部でキャリア積んで、所属タレントの大きな記者会見を仕切って、若手俳優が連ドラに出たときは大々的に雑誌にも取り上げてもらえるよう走り回って。人脈も自分なりに築いてきて、プライド持って、頑張ってきたつもりです。それが今になって、なんでゼロからマネージャーをしなくちゃならないんでしょうか。会社は、キャリアアップをどう考えているんでしょうか。とうてい、異動は受け入れられません」

話しているうちに、意識していなかったはずの「キャリアアップの道が断たれた」と理由も、自分の中で大きな比重をしめていることに気づいた。そうなると、ますます腹が立ってくる。矛盾するようだけど、マユにはキャリアを積んで偉くなりたいという願望は、まったくない。ないけれど、やってきたことの評価はちゃんと欲しい。その上で、次の道を選ぶ権利くらい欲しい、という意味だ。

さらに腹立たしいのは、人事担当の次のセリフだった。

「異動は会社の決定だから。受け入れるか、退職願を書いてもらうか、どっちかだね」

この時点で、マユは退職願を書くしかないと思った。が、人事担当が10日後にまた話し合おうと言うので、仕方なく二度目の面談の予定を入れた。これ以上、なにも話すことはないというのに。

「いや、待てよ。退職願を書く前に、ユタカの気持ちを確認しておかなくちゃ。うまい具合にプロポーズしてくれたら、ことは丸くおさまる。結婚の内定をとっておけば、異動して忙しくなったとしても、婚活との両立を悩まないで済む。結婚準備で忙しくなったら、堂々と辞めるまでだし」

ユタカは、最初に就職した会社の同期で、2か月前に同期の集まりで再会した。かつては何も思っていなかったけれど、再会した彼は新人の時よりたくましくなっていて、転職先の商社では新しいプロジェクトも任されているらしく、自信がある男っていいな、と思わせた。その場で意気投合して、LINEのやり取りが始まり、インスタをフォローし合った。

最初のデートは銀座の和食屋からバーという王道を。振る舞いもスマートで、お酒が強くて、そして話すときに顔を近づける習性があった。あまりに近づけるから、キスされるのかと思ったが、違った。その寸止め作戦に、マユのハートはすぐに射抜かれて、早く付き合いたくてたまらなくなった。ちなみに、この恋愛が成就すれば、3年ぶりの彼氏誕生となる。

が、その後ユタカの出張やなんやらが続き予定が合わず、なかなか会えないまま今に至る。

さて、そろそろユタカの気持ちをしっかり確認しなくてならない。マユがそのタイミングを思案しているとき、小さな胸騒ぎがした。

「ユタカが私のインスタフォローを外したのです。あれ? どうしたんだろう? 指がスベったのかな。まあいいや、来週呼び出して、私の気持ちを伝えつつ、さりげなく聞いてみようっと」

※次回は8月18日(金)22時に更新します。
男にも、会社にも、裏切られっぱなしです

Vol.1   突然告げられた理不尽な「異動」。33歳、何が正解?
Vol.2   男にも、会社にも、裏切られっぱなしです
Vol.3   いちばん恐いのは、やりたいことがわからないこと
Vol.4   貯金1,500万円の意味文/南ゆかり
「CanCam」や「AneCan」、「Oggi」「cafeglobe」など、数々の女性誌やライフスタイル媒体、単行本などを手がけるエディター&ライター。20数年にわたり年間100人以上の女性と実際に会い、きめ細やかな取材を重ねてきた彼女が今注目しているのが、「ゆとり世代以上、ぎりぎりミレニアル世代の女性たち」。そんな彼女たちの生き方・価値観にフォーカスしたルポルタージュ。

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