2017/09/08 22:00

キラキラOLのはずが飛び込み営業に。ゆとり以上バリキャリ未満の逆転劇!

「ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」連載が大好評。待望の第2弾スタート!

「ゆとり以上、バリキャリ未満」を生きる女子のルポルタージュ・大好評につき第2弾がスタート!

ドラマみたいなキラキラした職場に憧れて入社。…のはずが、配属は埼玉営業所での汗だく飛び込み営業!

でも、そこでヘコむ桜子ではない。憧れの自分に近づくための決死の逆転劇が、ここから始まった。

南 桜子(仮名)31歳/IT企業 広報

1986年生まれ、東京都港区在住(ひとり暮らし)
職歴/音楽大学卒業後、IT企業に入社。約2年3か月間の営業職を経て、広報担当に。現在入社9年目。
似ているタレント/木村文乃
理想のタイプ/大沢たかお

★【ゆとり以上バリキャリ未満の女たち・第1弾】貯金1,500万。それでも人生「既読スルー」Vol.1 キラキラOLのはずが、飛び込み営業に! 働きマンの逆転劇スタート『働きマン』『ハケンの品格』……お仕事ドラマに憧れて

都心の高層ビル、IT化のおしゃれオフィス、タブレット片手にプレゼン、ひざ丈スカートにハイヒール、そして長身イケメンとの恋愛…。“ドラマみたいな職場”に、ずっと憧れていた。就職活動のときも業種は絞らず、そんな憧れが叶いそうな100社以上にエントリーシートを出し、60社の面接を受け、10社ほどから内定をもらった。

「リーマンショック前でしたけど、内定もらえない子もけっこういて、私はいいほうだったかもしれません。環境が厳しいなら、たくさんエントリーして、たくさん受けるしかない。100社もエントリーしたのは、私が通っていた音大の生徒たちにはいなかったと思います。結局、すごく行きたかったテレビ局には最終で落ちてしまって、その後にITやエンタメ系の内定が出て、その中から、一番大手の今の会社に決めました。

“ドラマみたいな職場”にいちばん近かったのも、この会社でした。都心のMビル本社は緊張するくらいピカピカだったし、受付嬢はモデルみたいにきれいなお姉さんばかり。そこで働く先輩たちは、この業界が伸びてる真っ最中だということを、キラキラした目で話してくれる…。あぁ、この中で働きたいって思いました。

私たち2009年入社は約500人の大量採用。その後は、どんどん採用が減っていったので、ちょうど運がよかったです。ドラマでいえば『働きマン』『ハケンの品格』とかが流行ったころ。そういうお仕事ドラマが大好きなんです、私(笑)」

大量採用なだけに、内定をもらってからがスタートだということは、よくわかっていた。だから桜子は、遊びにも行かずに内定者バイトをだれよりも頑張った。東京郊外の実家を早々に出て、本社に通いやすい二子玉川に引っ越した。

配属は決まっていなかったが、すべては、Mビル本社に配属されるための地道な努力だ。

「そのころ、会社は業務を拡大していて、営業所を増やしていたので、そこへの配属の可能性もありました。でも、輝くMビル本社で働かないことには、ドラマ気分は味わえない。内定者バイトでは成績も残せたし、みんなより一足先に先輩方とも少しだけ関わることもできたし、東京住まいの人は基本的には東京勤務になるはず、とも聞いていました。だから、本社に配属されるだろうと期待を抱いていたけれど…。

それが。入社研修後に発表された配属地は、まさかの埼玉の営業所。えっ!?? 何かの間違いではないでしょうか? 人事に電話してしまいました。でも…、間違いではなかったのです」

二子玉川のマンションから配属先の埼玉の営業所までは、電車を乗り継いで約2時間。営業所の近くに引っ越そうかとも考えたが、そのまま一生埼玉から出られなくなりそうな気がした。だから、意地でも通ってやろうと思った。

配属の発表後、悩んだり人に相談したのは、ほんの一瞬。配属先での仕事がすぐに始まったこと、内定者バイト時代に親しくなった先輩社員から「タイミングがあったら必ず東京に呼んでやる」と言ってもらえたことで、「やるしかない」心境だった。もちろん悩まないわけじゃない。でも、悩んでいる自分は好きじゃなくて、それより体を動かしながら目指すものに近づく努力を早く始めたい。つまりは、早く本社で働けるように、一刻も早く成果を出すしかない。それが桜子の結論だった。

1日50軒の飛び込み営業

新人の仕事は、インターネット回線の契約を取る営業だった。

「マンション住宅や住宅街を端から一軒ずつピンポンしていって、インターネットの高速回線は必要ないですか? って営業する。飛び込み営業です。もう使ってますという家庭には、うちに乗り換えませんか? と案内する。1日40〜50軒、いやそれ以上は飛び込みました。昼間は留守が多いから、平日は夜の帰宅後を狙って、ひたすらインターホンを押す。

ジャマだと怒鳴られることはしょっちゅうだし、警察を呼ばれそうになったこともありました。怖かったのは、男性に手をつかまれて家に引き込まれそうになったこと。ほんと、怖かった。

でもそれ以上に辛かったのは、終電で帰って、また朝6時台の電車に乗って出勤するという長距離通勤。電車の中は貴重な睡眠時間でした。でも、二子玉川から越すつもりはありませんでした」

桜子は、仕事に手を抜くこともなかった。飛び込み先でバタンとドアを閉められても、文句を言わず、きちんと挨拶をしてから帰る。すぐ契約につながらなかったとしても、お客さまの相談を親身に聞いて、時間をかけて関係を築く。一度会った人には、電車でも街中でも、必ず丁寧にあいさつする。いつしか、「一度会った人の顔と名前は忘れない」が桜子の特技になっていた。

今思えば、宅配業者も顔負けの運動量だ。それでも桜子は、いつも5センチ以上のパンプスを履いて、メイクだって省略することは絶対にない。それをやめてしまったら、本社に行ける可能性までなくなってしまいそうな気がしたから。そして機会あるごとに、「本社に行かせて欲しい」と言い続けていた。

そのころ付き合っていたのは、学生のときにバイト先で知り合った、建築関係会社勤務のサトル・27歳。桜子が大学4年からの付き合いで、年上ならではの優しさと包容力があって、甘えられる存在だった。社会人になりたてのころは、飛び込み営業の辛さを話してよく泣きついたものだ。やがてふたりの時間が合わなくなってきたので、二子玉川のマンションの合鍵を渡し、桜子の部屋で会うようになっていった。

「けれど、飛び込み先で怒鳴られて、長距離電車に揺られて、ヘトヘトで帰って来たとき、自分の部屋で寝転がってるサトルがいることに、イライラするようになってしまって。私のほうが先に出かけて遅く帰って来るという毎日。最初は、サトルの胸でひとしきり泣いて、ぎゅっとしてもらって復活していたけれど、今は泣く時間があるなら睡眠時間や自分磨きにあてたい。年上で包容力あるサトルに魅力を感じていたのに、これでは、なんかちょっと違う…。

ある週末、サトルに『うちのカギを返して欲しい』と言って、お別れを告げました。そしたら、それっきり来なくなって。でも少しして、新しい彼ができたので、引きずることはありませんでした」

サトルと別れたころから、桜子は少しずつ自分の「タフさ」みたいなものを、意識するようになった。別れたら、気持ちをまぎらわすかのように、飛び込み営業をだれより多くやる。飛び込み先で怒鳴られても、5分後には気を取り直して、次のインターホンを押している。泣くために男に胸を借りるくらいなら、泣かないようにすればいい。その代わり、桜子のチームの売上げ成績が表彰されたときは、思い切りうれし涙を流した。

「時間ができたら、ジムに通って筋肉つけようかな。そうしたら、もっとメンタルが強くなるのかな」

2年間の飛び込み営業生活で、ふくらはぎだけは立派な筋肉が仕上がっていた。そろそろ、全身バランスよく筋肉をつけたいと思い始めていた。

※次回は9月15日(金)22時に更新します。
仕事をしていてやってきた、人生でいちばんうれしい瞬間

Vol.1 キラキラOLのはずが、飛び込み営業マンに
Vol.2 仕事をしていてやってきた、人生でいちばんうれしい瞬間(9/15 22時更新予定)
Vol.3 頑張る女子が、男よりもマラソンにハマる理由(9/22 22時更新予定)
Vol.4 今どき「がむしゃら」はカッコ悪い。31歳が選んだ「カッコいい」働き方(9/29 22時更新予定)文/南 ゆかり
「CanCam」や「AneCan」、「Oggi」「cafeglobe」など、数々の女性誌やライフスタイル媒体、単行本などを手がけるエディター&ライター。20数年にわたり年間100人以上の女性と実際に会い、きめ細やかな取材を重ねてきた彼女が今注目しているのが、「ゆとり世代以上、ぎりぎりミレニアル世代の女性たち」。そんな彼女たちの生き方・価値観にフォーカスしたルポルタージュ。

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