2017/08/26 14:00

“運命の相手”を探している貴女へ 私たちの恋愛がしんどいのはなぜですか?

私たちの恋愛がしんどい理由
私たちの恋愛がしんどい理由

「運命の人は必ずいる」「さえない私だけれど、恋をすれば輝ける」「セックスをしてキレイになる」……。恋愛をめぐる話でよく聞くフレーズやメッセージなのではないでしょうか? さすがに白馬の王子さまが迎えに来るとは思ってはいないけれど、運命の人ならいるかもしれないと心のどこかで信じちゃっている部分も……。

AV監督で恋愛に関する著書も多い二村ヒトシさんが『僕たちは愛されることを教わってきたはずだったのに』(角川書店)をこのたび上梓しました。乙女の恋愛バイブルとして君臨してきた「少女マンガ」が発してきたメッセージに「それって本当?」「むしろ恋のルールに縛られて苦しくなってない?」と鋭く切り込んでいます。

「愛されること」や「恋愛のトリセツ」は少女マンガで学んできた。それなのにどこかしんどいのはなぜ? 3回にわたって二村さんに話を聞きました。

女の子は矛盾したことを求められている

——インタビューを引き受けてくださりありがとうございます。「ウートピ」は働く女性のためのニュースサイトです。読者層は「都会で働く30歳前後の女性」が中心です。

二村ヒトシさん(以下、二村):なるほど、というと今回取り上げた少女マンガで言ったら『ガラスの仮面』の姫川亜弓タイプが多いんじゃないかな。

——姫川亜弓……。1997年に放送されたドラマ版では松本莉緒さん(当時は松本恵さん)が演じていましたね。美人でお金持ちで……。どういうことでしょうか?

二村:亜弓は『ガラスの仮面』の主人公・北島マヤのライバルなんだけれど、じつは真面目な親に「ちゃんと」育てられて、それがゆえに圧迫を受けて「自分もちゃんとしなきゃ」って思いつめているキャラです。

そのために天才肌であるマヤにどうしても勝てない。お金持ちですごい美人で、っていうのはマンガの物語上の設定であって本質じゃないんです。亜弓みたいな「真面目でわりと優秀で、ちゃんとしてるけど悩みが深い」という内面をもった女性は、現代にはたくさんいますよね。

——あ、確かに! 小さい頃から真面目に勉強して、ちゃんと進学して、きちんと就職して……っていう女性。一見「うまくやっている」ように見えて、本人も「うまくやっている」ように感じているんだけれど、うまくやろうとするあまり、しんどい思いをしちゃっているのかなとも思います。

二村:だいたい親や世間が女の子に求めてることって、めちゃめちゃなんですよ。子ども(少女)の頃は「処女であれ」「勉強を一生懸命しろ」って言われて、頑張っていい大学に入っていい会社に入ったら、今度は「結婚して子どもを産め」って言われる……。やってられないよね(笑)。

——はい、正直やってられないですね(笑)。もちろんそれで幸せな人もたくさんいるとは思うんですが……。

30代は「ハシゴを外された」世代?

二村:今の30代って80年代後半から90年代に少女時代を過ごしていて少女マンガを浴びるように読んでいた世代だもんね。

——はい。本にも取り上げられている通り「運命の人はいる」とか「こんなに取り柄のない私でも恋愛によって輝ける」というのは少女マンガの「あるある」で、いつの間にかそれを信じてやってきたところがある。大人になって「あれ? なんか違うぞ」「なぜか恋愛がうまくいかない」って思うんだけれどその原因がわからないんです。

二村:気がついたらハシゴを外されちゃってた感がありますよね。

「さえない女の子が、イケメンから愛してもらうことで自分を肯定できるようになる」っていうのが、いわゆる類型的な少女マンガ。昭和の頃はそういうメッセージが有効だったと思うんだけれど、今はその矛盾がマグマのように吹き出している時代だと思います。今の30代の女性は世代的に、ちょうど価値観の間(はざま)にいるから混乱している。

——そうですね。でも、今回二村さんが取り上げているのはそういういわゆる「ザ・少女マンガ」ではないですよね。どちらかというとマイナーというか知る人ぞ知る作品。

私は『ガラスの仮面』くらいしか馴染みがなかったんですが、そんな恋愛や親との関係、家族について深く掘り下げられている作品を取り上げることによって、「ザ・少女マンガ」がいかに少女に”呪い”をかけてきたかをあぶり出すということですね。

二村:そうですね。親や世間から矛盾した要求を次々と投げかけられて、女性は大変だろうなあって思うんです。そこをうまく裏切るというか、抜け穴を少女たちに与えてきたのが今回取り上げたような、通に受ける少女マンガなんです。

こういう作品を今の視点で読み直すことで抜け穴は見つかるんじゃないかなと思って、この本を書きました。

女である前に「まずは自分である」

——ただ、壁ドンが流行る一方で必ずしも王子様を必要としない『アナと雪の女王』が社会現象になったり、高学歴女子や草食系男子、イケメンのそれぞれの生きづらさを描いた『逃げるは恥だが役に立つ』がブームになったりするなど、世の中の流れが変わってきているなとも思うんです。みんながしんどさに気づき始めてきたというか……。

二村:誤解を恐れずに言えば、女性がやっと「人間」になってきたのかもしれないですね。女であることの前に自分である、ということがやっと認識として共有されてきた。

これは(著述家の)湯山玲子さんがおっしゃってることなんですが、女性が結婚や恋愛で女らしく振る舞うのは「女装」であって、女装する前にまず人間であることをやろうよと。

今の女の人は、「女である」ことと「自分である、私である」ということを同時に走らせてしまっている。親から「あんたは女の子なんだから」って言われ続けて、引き裂かれているんです。

だけど、まずは自分であって、自分でしかない存在が意図的に女装をして、あえて「一般論としての女」を演じているんだと考えればいいと湯山さんは言っていて、僕も本当にその通りだなあと思うんです。

——「まずは自分である」。その部分を置き去りにしちゃっている女性は多いなあと思います。必要以上に我慢をしてしまったり「母として」「娘として」「女として」の役割を優先させてしまったり。

二村:そうだね。それが女性特有の自己肯定感の低さにもつながってくると思うんですが、そのへんは次回たっぷりお話しましょう。

——はい! よろしくお願いします。

次回は8月27日公開です。

(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)

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