2018/06/14 07:00

スイス・レマン湖畔に咲く 伝説の花、ナルシスを求めて

満開が見られる機会はとても貴重

 レマン湖が位置するスイス・ヴォー州のモントルーやヴヴェイの高地には、毎年5月から6月上旬にかけて、「5月の雪」と呼ばれる伝説の花、野生のナルシスが咲きます。日本の水仙と同属ではあるのですが、別の種類の花だそうです。天候によって毎年咲く時期は異なり、満開を見に行くチャンスはとても限られています。

 最近では農業の機械化や乱獲によって絶滅が危惧され、1999年に保護団体「ナルシス・リヴィエラ協会(Narcisses Riviera)」が発足しました。ナルシスの群生を守り伝統の風景を取り戻すための活動やガイド付きツアー、登山道の整備などが積極的に行われています。

 今回は開花が早かったレザヴァンの群生地を目指しました。モントルーで電車を乗り換えます(取材に行ったのは、2018年5月9日です)。


ゴールデンパスラインのモントルーとツヴァイジンメンを走るMOB路線の電車。

レマン湖と山々を眺める車窓に癒されます。

 標高約1000メートルのレザヴァン駅は少しひんやりしていました。駅舎から線路の反対側へ渡るとハイキングコースがはじまります。平日ということもあり、ご年配のハイカーが多くいらっしゃいました。


実は左手の牧草地に見えるうっすら白い部分がナルシスなのです!

 今日はハイキングをすることにしました。コースタイムは1時間50分/5.3キロ、標高差460メートルです。写真を撮ってゆっくり歩くともう少しかかります。山のお天気は崩れやすいので天気予報はしっかり確認してお出かけ下さい。


レザヴァン駅から出発し尾根まで上がり、そのまま尾根沿いを歩いて、駅まで1周するコースです。

 線路を渡るとすぐに看板があります。登山道にも分岐点にはナルシスのマークが付いたこの看板があるので、迷う心配はほぼありません。


こんな場所にも、何気なくキンポウゲやフウロソウが咲いています。

 レザヴァン駅の近くから標高1157メートルのソンルー行きのケーブルカーが運行しているので、きつい登りがしんどい方はショートカットも可能です。もちろん展望台へ行くだけでもおすすめです。


ケーブルカーが交差する瞬間はわくわくします!

里山歩きで堪能する可憐なナルシス

里山歩きで堪能する
可憐なナルシス

 歩き始めて約10分、ソンルーの展望台へ向かって里山を歩いていると、牧草地にナルシスが! このエリアのシンボルとなっているマッターホルンのような形の山、ダン・ド・ジャマンを背景に素敵な景色が広がります。


牧歌的な景色に心が癒やされます。

 もう少し登ると、スイス的なおうちの前にナルシスが満開! ハイキングしなくても、里山歩きで十分ナルシスを堪能できます。このお家に住んでいるおじさんとたまたま会うことができておしゃべりをしました。おじさんも自慢げに貴重なナルシスのお花の説明をしてくれました。


おうちの目の前でナルシスが満開になるなんて、うらやましい!

 ナルシスの花の名はギリシャ神話に出てくる美少年ナルキッソスが語源となっています。泉に映る美しい自分自身の姿に恋に落ちて、その場から離れられなくなり、やせ細って死んでいったとも、または水面に映った自分に口づけをしようとして泉に落ち水死したとも言われています。

 ナルキッソスが死んだ場所からは、水仙の花が咲いたので、花はナルシスと名付けられたそうです。ナルシストの語源にもなっています。


太陽の下でまさしく雪のように輝くナルシスが満開です!

 ソンルーの山頂からは広い尾根のハイキングコースが続きます。


新緑と木漏れ日が気持ち良いです。

 登山道は整備されていますが、木の根や落ち葉があるので、滑らない靴底の登山靴やハイキングシューズでお出かけください。お天気が急変して雨が降る場合もあるので、レインウェアも持って行くことをおすすめします。


イタリア製のスポルティバのトレイルランニングシューズ、アキラウーマン。靴底は滑りにくく、山を走るための靴なのでとても軽く通気性が良いです。フィット感抜群なので街でも歩きやすくお洒落でおすすめです。

 ソンルーの山頂にもナルシスマークの看板がありました。レザヴァン駅までは1時間20分です。


スイスの登山道は看板がしっかり設置されており、親切で頼もしいです。

 標高1198メートルのル・キュブリーまで行くとレマン湖と周辺の町並みを一望できる絶景が! ここでひと休み、水分補給もしっかりと。バーベキューができる場所もあり、お肉を焼いてワインで乾杯しているグループもいました。


この景色に疲れも吹き飛びます!

 またナルシスに再会できました。


山の中でも可憐に咲いています。緑と白のコントラストが綺麗です。

 標高を下げて行くと牧草地があり、牛とナルシスの風景にもスイスを感じました。


シャッターチャンスに愛らしい顔を向けてくれました。

 レザヴァン駅までにも何か所かナルシスのポイントがあり、まさしくナルシスの道。見どころがたくさんあるハイキングコースで楽しむことができました。


純白で可愛らしいナルシス。いい香りもします。

 ナルシスは他にも、ヴヴェイ駅から上に位置するレ・プレイヤードやラリー、モンペルラン、モントルーから上に位置するグリオンやコーでも見ることが可能です。

 春にスイスに訪れる機会があれば開花情報をチェックして、ぜひレマン湖周辺のナルシスに会いに行ってみてください。

ナルシス開花情報

http://narcisses.com/


レザヴァン観光局

https://www.lesavants.ch/tourisme/


西村志津(にしむら しづ)

山に魅せられ、日本山岳ガイド協会認定の登山ガイドとなる。2012年の結婚を機にスイスへ移住。コーディネーターやハイキング・スキーガイドとしてスイスと日本の架け橋になる活動に努める。一方で心と身体の健康を伝えるべくヨガインストラクターとしての一面も持つ。現在、子育てにも奮闘中。共訳書に『マッターホルン最前線』(東京新聞出版局)。

文・撮影=西村志津

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