2018/06/30 08:00

フィリピンの「黒魔術の島」で行われる 生卵を使ったミステリアスな儀式とは

#152 Siquijor Island
シキホール島(フィリピン)


ドゥマゲッティからの船が到着する埠頭からみたシキホール島。海の美しさに思わず、歓声。

 シキホール島はセブを含むビサヤ諸島の南部に位置、一周約102キロのコンパクトな島です。人口約9万6000人が暮らす小さな島ながら、独立州でもあります。


島の交通手段はバイクとトライシクルが中心。

 南西部にビーチリゾートがぱらぱらと開発されていますが、昔ながらの暮らしをあちこちに垣間見ることができます。


町のフルーツスタンドの美人おかみ。さすがフィリピン、どのフルーツも美味です!

フィリピンではビリヤードがさかん。ボクシングはパッキャオ、ビリヤードはエフレン・レイズ、と並び称される世界で活躍する選手も。

 こうした素朴で自然豊かな島は、7000あまりも島々を抱えるフィリピンにおいては、取り立てて目立った存在ではないでしょう。けれど、シキホール島は違いました。


シキホールの水面下はサンゴが豊富で、巨大なカメも目撃。ダイビングのあとのランチは美味しさもひとしお。

 “黒魔術の島”との異名をとり、ひと昔前は“魔女たちが棲む島”としてフィリピンの人々の間では近づきたくない島として、恐れられていたそうです。

 さらに、シキホール島の沖を夜に通過した船は、まるで闇の中に炎が揺らめくように光を放つこの島のことを、スペイン語で“イスラ・デル・フエゴ”、つまり“火の島”と呼んでいたとか。


スペイン統治時代の古びた教会。改修中の今は鳥たちの安らぎの場に。

1884年建造のサン・イシドロ・ラブラドール教会。

 なにやらミステリアスな雰囲気がぷんぷん! でもまさか、この21世紀に魔法使い?

生卵の殻を割ったら何が出てきた?


山間のヒーラーの村、サンアントニオに暮らすアニー・ポンセさん。

 最初に種明かしをしてしまうと、魔法使いというよりも、先祖代々伝統を受け継いできた “ヒーラー”が昔ながらの方法で人々を癒していました。

 ハーブが豊富に生息しているこの島では、毎年ホーリーウィーク(イースター)になると、ヒーラーたちは山に入り、力をもつ植物を収穫。祈りを捧げて、秘薬を作るのだそうです。

 ただ、今回3人のヒーラーに会う機会がありましたが、どうしても説明がつかないことも……。


体内に宿っていたという針を卵の中に閉じ込めたハニーさん。いつも冗談を言っては笑っているお茶目なヒーラー。

 いちばん驚いたのは、ハニーさんとヴァージーさんによる“アゲ・サ・イットログ”。生卵を使ったリチュアル(儀式)です。

 ヒーリング担当のハニーさんがまず髪と頭を触り、その人の具合の悪い場所を感じ取ります。どうやら、私は腰と肘が悪いらしい。

 そこでリチュアルに使う卵を手渡され、穴が開いていないことを確認します(自分で卵を持参してもOK)。次に片手にキャンドルを持ち、目を閉じた状態の私のお腹に、ハニーさんが生卵を押し当て、耳元で祈りをささやきます。


祈りの後、卵の殻をスプーンで割ると、中に釘が……。人によっては黒い膜に包まれた釘や、ヤスデが出てくることがあるとか。卵の黒い部分はキャンドルを垂らした跡。タネも仕掛けもないようです。でも、どうして!?

 やがて、何かの神託があったのか、祈りを終えると、手にしたスプーンで卵をカンカンカンと叩きました。皿の上にするりと流れ落ちた白身の中には、なんと曲がった釘が。黄身の中にも、さらに3本の釘を発見。

 この一連のリチュアルを2回行い、計6本の釘が出てきました。殻が割れる瞬間も10センチと離れず見ていたし、どうして釘が入ったのか、本当にわからない……。

 マッサージ担当のヴァージーさんの伝統的なマッサージ“ヒロット”の施術のおかげもあり、身体はすっかりラクになりましたが、それだけが理由ではなさそうです。



左:ボロボロ師のイキンさん。お父さんから受け継いだ火山岩と水をコップに入れて、ストローでぶくぶくぶく。
右:「はい、喉からゴミが出た!」。目を閉じているので、その瞬間が見えなかったけれども、周囲の人はボロッと出たと証言。

 ボロボロ師のイキンさんのリチュアルも不思議でした。ストローをさしたコップをぶくぶくと息を吹き込みながら身体の上で移動させ、患部にあたると、異物がポロッと水の中に現れるのです。

 私の場合は、喉付近から魚のフンのような塊がぼろぼろと、水が汚れるくらい出てきて、恥ずかしかった……。

ホタルが繰り広げるプロポーズ合戦


“ラブ・ポーション”という秘薬。恋愛と仕事運が上がるとか! 期待大!

 さらに、ヒーラーのアニー・ポンセさんから“ラブ・ポーション”という人と人をつなげる秘薬(恋愛と仕事運アップとか!)も、いただきました。おまけにフィエスタという年に一度の村祭りに誘っていただき、ごちそうのおもてなしまでも!


島の各村で年に一度開催される“フィエスタ”に向けて、アニー・ポンセさん宅ではブタの丸焼きを準備中。

「フィエスタにいらっしゃい」とお誘いを受けて、訪問。ずらりと並ぶごちそうにびっくり!

 ヒーラーの何人かに、どうしてできるようになったの? と聞くと、「神が現れて、それからパワーを授かった。リチュアルは神と交信しながら行っている」と。

 彼らのリチュアルは占いなどと違い、金額設定はなく、心づけの“寄付”のみ。あくまで、人々を癒すヒーラーなのです。それにしても、世の中にはまだ科学では説明しきれないことがあるのだと、目の前でまじまじと見せつけられ、驚きました。


フィエスタと結婚式が重なった家では、道の真ん中でダンス、ダンス!

 そして、夜。

 “火の島”と呼ばれるようになったゆえんである、“ホタルの木”へ。これまた不思議なことに、特定の1本の木に雌雄のホタルが集まり、プロポーズ合戦を繰り広げるのです。

 光は明滅というよりも、ささやかに、ちらちらと揺らぐようで、風に煽られると火の粉のように舞い上がります。カップルが成立すると、オスがメスを抱きしめたまま地面へ落下。光がスーッと落ち、それはまるで流れ星のよう。そして落下地点でめでたく交尾。

 日によって集まるホタルの数の多さや木は異なり、多い日には数百匹が集まるとか。シーズンものではなく、通年繰り広げられているそうです。


“ダーマン”と親しみを込めて呼ばれている日本人オーナーのお宿、「ヴィラ・マーマリン」。地元とのつながりが密接です。

 今回、いろいろガイドしてくれたのは、日本人が切り盛りするプチリゾート「ヴィラ・マーマリン」さん。地元に貢献し、親しまれるエシカルなお宿です。こちらのお話も、またどこかの機会で。

シキホール

●アクセス マニラからは国内線でドゥマゲッティへ約1時間30分。車で約10分移動し、港へ。船に乗り換え45~120分(セブ島からもドゥマゲッティへのフライトあり)
●おすすめステイ先 ヴィラ・マーマリン
http://www.marmarine.jp/index.php


古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/

文・撮影=古関千恵子

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