2018/07/16 08:00

西城秀樹を偲ぶ脳内コンサート開催! 「愛は激しく空は永遠に青い」

ヒデキの名曲を極私的に振り返る


『西城秀樹ゴールデン★ベスト』と『History of Hideki Saijo~Best of best Vol.2』。すべてが名曲という素晴らしい2枚だ。しかもジャケットを2つ並べると「ロングヘアのヒデキに誘惑され、短髪のヒデキに照れ笑いされる」という2段階で妄想ができる。個人的には短髪のヒデキにzokkonラブ。

 2018年の5月16日、西城秀樹さんが急性心不全で亡くなった。

 自分でもちょっと驚くほど大ショックを受けた。ものすごい、ものすごい寂しさを感じてしまったのである。

 関連記事を読み漁り、テレビの特番を見ても寂しさが募る日々。しかも紹介されているエピソードは温かく強いお人柄が窺えるものばかりだ。私の周囲でもヒデキ限定のカラオケ大会がガンガン催され、もうなんというか、本当にスゴイなあと思ったのだ。

 ここまで愛された歌手、西城秀樹ってスゴイ!

 そして、ものすごく遅ればせながらではあるが、私もヒデキを愛する人たちと一緒に、彼のヒット曲を振り返りたい。そして、偶然でも、ここにたどり着いたヒデキを知らない世代が、その名曲を知るきっかけになれば、そりゃもう2倍嬉しいと思い立ってしまった。

 図々しいのは百も承知。個人的かつ偏りまくりなチョイスではあるが、ぜひぜひ脳内で一緒に聴いていこうではないか。名付けて「勝手に西城秀樹脳内コンサート」。

 ジリリリリリ……。さあ、幕が上がる!

「ヒデキと恋ができる」名曲10選


「ちぎれた愛」のジャケットは、布地にプリントしたようなデザイン。9:1の横分けすらもセクシーになるのは西城秀樹くらいだ。

 ヒデキ楽曲の中で私が猛プッシュしたいのは、ヒデキと恋人気分(しかも猛烈にラブラブな)になれる、ホットかつスイートかつバイオレンスな情熱ラブソングの一連である。

 なぜなら、ヒデキは、「もしかして私だけにその愛の歌を歌ってる? と勘違いさせる歌唱法」の第一人者だからである。曲によっては熱い熱いセリフまでブチ込まれているので、ヘッドホン推奨。限りなくヒデキとのアローンな環境を整え、妄想ラブロマンスを楽しむのがベストである。

 全曲、控えめに言って気絶するほど悩ましいので注意!

◆「炎」

 ロマンチックな口説き文句を機関銃の勢いで言われるので気を抜かないように。サビの「あなたの心を溶かしてみせる!」では「いやもうすでに溶けてます」と白旗を揚げたくなるオーマイガッドな一曲。(作詞/阿久悠 作曲/馬飼野康二)

◆「情熱の嵐」

 ヒデキ世代なら「君が望むなら!」という歌い出しで、無意識的に「ヒデキ!」というあいの手を入れてしまうだろう。イントロの「うっ! はっ!」という唸りも秀逸。ヒデキは掛け声にすら愛を込めるので、一秒たりとも聴き逃せない。(作詞/たかたかし 作曲/鈴木邦彦)

◆「ちぎれた愛」

 パーカッションの低い響きが「誰にも理解されない孤独な愛」を見事演出。そこからの「ふたりだけにこの愛が生まるぇ~♪」の巻き舌、そして「君をはなすもんか! すきだすきだよすきなんだよぉぉ!」というセリフの2段階にわけてハートを強奪してくる恐るべき仕掛け。

 これをヘッドホンで聴いていた私が、思わず我を忘れ「私もすきーッヒデキーッ!」と叫んでしまい隣の部屋にいた母が飛んできたという愛しくて切なくて情けなさ過ぎるエピソードを生んだほどの超超超名曲。(作詞/安井かずみ 作曲/馬飼野康二)

◆「激しい恋」

 イントロ・間奏にひたすら入る「ヒュイーン!」という効果音は少々謎だが、それも味。「やめろと言われても!」というところで、いまだ自然に右足が上がるという、振りコピのクセが残る人がいたら手を挙げて……(静かに握手)。ジャケットのヒデキの鬼気迫る表情も素晴らしい。(作詞/安井かずみ 作曲/馬飼野康二)

◆「傷だらけのローラ」

 まるで濃厚なフランス恋愛映画を見たような感覚に陥る一曲。ぜひともこの3分8秒間だけ「ローラ」に改名し、ヒデキとの愛のコール&レスポンスを存分に楽しもう。(作詞/さいとう大三 作曲/馬飼野康二)


名曲中の名曲「ブーメランストリート」。1992年にはアンサーソングの「ブーメランストレート」が発表されているが、それはダジャレ大好きな野口五郎との会話から誕生したというのが愛しくて泣ける。

◆「ブーメランストリート」

「戻ってきそうな恋人の心」をブーメランにたとえたのは、阿久悠の作詞最大の功績。小指を噛んだりポキッと音がなるほど体を抱きしめたりと、激しいにもほどがあるヒロイン像がこれまた秀逸。(作詞/阿久悠 作曲/三木たかし)

◆「南十字星」

 ハート破壊力がダイナマイト級のバラード。フラれた時、寂しい時に聴くと、沁みすぎるので注意。ヒデキのかすれた「Remember……」は、もはや「歌」ではない。センチメンタルの神様が落とした魂! できれば海と夜空をバックに聴きたい。(作詞/竜真知子 作曲/水谷公生)

◆「愛が止まらない ~Turn it into love~」

 数々の名カバーを生みだした「ノエビア」CM。そんな中、ヒデキがカバーしたのはなんとWinkの「愛が止まらない」! Winkよりも百倍ウェッティ。手が触れあった瞬間何か起こりそうな、そんなセクシーかつメロウな「止まらない」っぷりで、ヒデキの愛と情熱をJIN-JIN-JIN感じること間違いなし。(作詞・作曲/Mike Stock、Matt Aitken、Pete Waterman 日本語詞/及川眠子)

◆「ボタンを外せ」

「ボタンを外して心を見せろ」という口説き文句の粋なことよ……。「オレはスケベ心で言っているんじゃない。君の本心が知りたいだけだ。さあ、ボタンを外せ!」この脱がせ技というか言い回しが許されるのはヒデキだからか。(作詞/阿久悠 作曲/三木たかし)

◆「サンタマリアの祈り」

 聴きどころは曲のラスト。「サンタ……マリア……」という囁きである。この情念がパッツンパツンに込められた最後の「サンタマリア」のために、それまでの5分20秒があるといっても過言ではない。耳の至福。なので、んもう絶対ヘッドホンで聴こう。(作詞/なかにし礼 作曲/川口真)

「ヒデキと青空を見て元気になる」
名曲7選


「俺たちの時代」。この角度からでもよくわかるヒデキの足の長さ。

 後半は「元気をだせよ」系ヒデキでホップステップジャンプだ。

 さあ、君の下向いたココロにも響くぜ、ヒデキの掛け声が!

◆「走れ正直者」

「ちびまる子ちゃん」のED。私は偶然、ご本人のパフォーマンス付き歌唱映像を見たことがある。むちゃくちゃカッコイイのだ。「ハムじゃないぃーッン♪」という歌詞を「激しい恋」の勢いそのままで絶唱。カワイイ歌なのに涙が出る。ヒデキのそういうところが最高なのだ! (作詞/さくらももこ 作曲/織田哲郎)

◆「俺たちの時代」

 1980年のモスクワ・オリンピックのJOC応援歌に予定されていた曲。「もどれないから青春さ」の歌詞とヒデキの座右の銘「一生青春」が深くリンク。「のびやか」という言葉がぴったりの、素晴らしく気持ちの良い一曲だ。(原作詞/熊野昌人 補作詞/たかたかし 作曲/水谷公生)


「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」ヒデキはこの曲を2020年の東京オリンピックで歌うことを目標にしていたという。私は心の中で歌う! 誓うぞ、ヒデキ!

◆「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」

 カラオケで歌うと難しくてビビる! 「ヤングマンッ」の部分をかなり早口で歌わねばならないので「ヤンメンッ」となるのだが、いやいやカッコ良く歌えないのだ、これが。しかも最初から終わりまでずっとハイテンション……。自分で歌ってみてつくづくわかるヒデキの歌唱力と表現力。(作詞/Henri Belolo、Victor Wills 作曲/Jacques Morali 日本語詞/あまがいりゅうじ)

◆「若き獅子たち」

 ヒデキの歌声の向こうから、広い草原と、たてがみを風になびかせ空を眺めている獅子が見える、本当に見える! 映画のテーマソングのような壮大さ。ヒデキの歌は小さいことを吹き飛ばす大平原のようだ。(作詞/阿久悠 作曲/三木たかし)

◆「勇気があれば」

 限りなく優しく大きなヒデキの愛に包まれる曲。今日疲れても、明日があるよ、きっといい日だよ、と、静かに静かに背中をなでてくれる……そんな曲だ。激しいだけがヒデキではない。そっと寄り添ってくれる。それもヒデキなのだ。(作詞/山川啓介 作曲/筒美京平)

◆「蜃気楼」

 二度の脳梗塞を乗り越え、一言一言、丁寧に噛みしめて歌うような復活の歌声。高音の伸びの若々しさよ! そして、最後の絞り出すような「蜃気楼」に感動。悩んだ時「一筋の光」になる、それくらいのパワーがある声だ。(作詞・作曲/ko)


今回リストに入れなかったが、小田和正とはまた違ったテイストの「眠れぬ夜」、大人の色気のカタマリのような「抱きしめてジルバ」も素晴らしい。

◆「ブルースカイ ブルー」

 そして、ラストの曲は『ブルースカイ ブルー』。

 脳内ヒデキコンサートは、この曲で締めたい。

 ヒデキ世代で、彼の歌が本当に好きだったというCREA WEB編集室のK氏が、「青空がどこまでも似合う歌手だったですね」としみじみと呟いたのが忘れられない。5月26日に営まれた葬儀でも、青い空が広がっていたという。

「ブルースカイ ブルー」では「青空よ 遠い人に伝えて さよならと」という歌詞があるが、どれだけ多くのファンが、さよならの代わりに「ヒデキ、本当に感激をありがとう!」と伝えてほしいと青空に頼んだことだろう。(作詞/阿久悠 作曲/馬飼野康二)

 ヒデキは私たちの青春。一生、青春なのである。


田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。現在は「関西ウォーカー」で“Kansai Walkerで振り返る! 00年代の関西”連載中。著書に『昭和歌謡[出る単]1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

文=田中 稲

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