2018/07/14 20:00

コートダジュールの美しく小さな町 ヴィルフランシュ・シュル・メール

#153 Villefranche Sur Mer
ヴィルフランシュ・シュル・メール
(フランス)


コルニシュという断崖道路から見下ろしたヴィルフランシュ・シュル・メール。

 コートダジュールの海岸線には美しい小さな村がキラ星のようにちりばめられています。

 ニースの東およそ6キロ、モナコからは南西におよそ10キロ。“コルニシュ”という断崖道路を車で走っている時、ふと眼下に見えたヴィルフランシュ・シュル・メールの入江。

 思わず路肩に駐車して、見入ってしまったほど。色とりどりの壁の家並みが穏やかな港に面して連なり、まるでパレットのようです。


一緒に回りたい、有名な鷲巣村のエズ。植物園の中に絶景ポイントが。

 地中海クルーズの乗船前に、2日ほど先駆けて入ったコートダジュール。出発前にきちんと調べることなく、行き当たりばったりのプランだったのが、今思えば、少々悩ましい。

 なんとなく中世の町ラ・チュービーに宿を取り、有名な鷲巣村のエズなど、いくつかの小さな村を回ろうかな、くらいのゆるいスケジュール。いくつかの残念な見落としはあったけれど、概ねナイスなチョイスだったのは、コートダジュールのポテンシャルの高さのおかげでしょう。


アウグストゥス帝を讃えたトロフィー(戦勝記念碑)がそびえるラ・チュービー。

ラ・チュービーの旧市街。路地裏にネコたちのたまり場が。

 ラ・チュービーの観光案内所におすすめのビーチを事前に問い合わせたところ、「“小さな愛らしい村と美しいビーチ”がテーマならば、ニース寄りだけれど、やっぱりヴィルフランシュ・シュル・メールでしょう!」とのこと。町の画像を見て、ほぼ一目惚れで行くことを決定。

険しく切り立つ断崖に守られて


ヴィルフランシュ・シュル・メールは古くは西地中海へ向かう基点として栄え、今は客船の停泊地として人気。

 険しく切り立つ断崖によって守られたヴィルフランシュ・シュル・メールは、中世の名残が漂う小さな町です。


16世紀の砦が今も残り、高台から港を見守っています。

塗りたてのような鮮やかな色の建物のみならず、渋めの色合いのものも。

 古代ギリシャや古代ローマの時代から天然の良港として栄えたものの、5世紀に西ローマ帝国が崩壊し、侵略者にたびたび襲われる不安定な状態に。そこで人々は海から離れ、エズなど海抜の高い地へ移り住んでいきました。

 1295年、ナポリ王にしてプロヴァンス伯のアンジュー家のカルロ2世が、海近くに新しい町(Villam Francam)を建設。免税措置などの待遇で人々を呼び戻したのが、この町の名前の由来だそうです。


路地が縦横無尽に走るヴィルフランシュ・シュル・メール。町歩きしながら、迷子になるのが楽しい。

内陸部の家もカラフル。レストラン「ラ・ターヴォラ」を見つけた通り。

 町は海と並行して走る幾筋もの路地と、急な石段や坂道が、あみだくじのように入り組んだ造りになっています。

 細い路地を歩いていると、通りにテーブルを並べたレストランや、乾燥させたラベンダーを量り売りする店など、足を引き留める店が点在しています。


こちらがチーズと生ハムたっぷりの“サラダ・ターヴォラ”。店の主人的には生ハムメロンがおすすめだとか。

 偶然通りかかったレストラン「ラ・ターヴォラ」で目にした、地元の男性が食べていたフレッシュチーズのブッラータの塊と生ハム、ルッコラのサラダ。一度通り過ぎたものの、気になって折り返し、「あれを!」と指差しオーダー。やはり、戻って正解でした。

ジャン・コクトーらに愛された町


旧市街に紛れるように立っていた教会からパイプオルガンの音色が。教会名はわからず……。

 さらに散策をしていると、風に乗って、管楽器のような、打楽器のような、層のある不思議な音色が石造りの建物の合間から流れてきました。

 音源をたどると、行きついたのは年月を経た教会。少し開いた扉の隙間から中へ滑り込むと、音の正体がわかりました。薄暗い室内はパイプオルガンの響きで満たされ、教会自体が楽器のよう。

 一人で練習をしている奏者の邪魔をしないよう、気配を消しつつ、心洗われるような調べにしばらく聞き入りました。旅で出会った偶然は、宝物です。


港では通りにテーブルを並べたレストランが大賑わい。

 坂道のふもとまで降りると、港に面してカラフルに彩られたレストランやホテルがずらりと軒を連ねています。レストランでは流しのバイオリン弾きの曲に耳を傾けながら、ワインを手に午後を楽しむ人々で賑わっています。


町はずれの北側にビーチもあります。

 背後の山からは入道雲がもくもくと湧いてきています。初夏のコートダジュールの気持ちのいいこと!


100年前、200年前の建物が現役で使われています。

港の前のホテルから、何を眺めているのでしょう?

 後になって、この気候の良さから、ヴィルフランシュ・シュル・メールはジャン・コクトーなど、多くのアーティストに愛された町だと知りました。

 そして港近くの斬新な教会が、実はコクトーによって修復&装飾されたサン・ピエール礼拝堂だと……。加えて路地のひとつ、オブスキュール通りは14世紀に建造された石のトンネル状の通りで、見るべき場所だと……。

 次回のコートダジュールの旅に、とっておきます。

ヴィルフランシュ・シュル・メール

●アクセス ニースのコートダジュール空港から車で30~40分。または、鉄道ならニースからヴェンティミリア行き各駅停車で約8分
●おすすめステイ先 ウェルカムホテル
http://www.welcomehotel.com/english/

【取材協力】
フランス観光開発機構

http://jp.france.fr/


古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/

文・撮影=古関千恵子

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