2018/07/17 18:00

コンプレックスを逆手にとって 「大人のオシャレ」を身につける!

 オシャレは嫌いじゃないけど、いまいち垢抜けない。ついつい変な柄物を着てオモシロに走ってしまう。困ったらボーダーに頼りがち……。多くの文系女子が抱えるファッションの悩みにとことん真剣に向き合った、痛快実用エッセイ『40歳までにオシャレになりたい!』が発売され、話題を呼んでいます。

 著者のトミヤマユキコさんが、体当たりで導き出した実用的なオシャレ法則のヒント、コンプレックスと向き合いつつオシャレする悦びについて、特別にレクチャーしてくれました!


「40歳までにオシャレになりたい!」と
思ったきっかけ


ライター・早稲田大学助教のトミヤマユキコさん。『40歳までにオシャレになりたい!』を執筆したのはファッションに対して積もり積もったコンプレックスから!?

 主に書評を書くフリーランスのライターであり、助教を務める早稲田大学では少女マンガ研究をメインとした講義を担当。パンケーキ好きが高じて『パンケーキ・ノート』を出版したのがきっかけでバラエティ番組「マツコの知らない世界」にも出演。

 たいへんな才女であることはわかるものの、これまでの経歴のどこを切り取ってもファッションとは無縁だったトミヤマユキコさんが、『40歳までにオシャレになりたい!』を上梓することになったのは、なぜ?


全オシャレ迷子必読! グレーのパーカーばかり着てADにまちがわれていたトミヤマユキコさんが大人のオシャレを身につけるまでを綴った痛快実用エッセイ『40歳までにオシャレになりたい!』(扶桑社刊)。

「私が大学で助手をしていた頃に仲良くなった学生さんがいて、その子が卒業後に編集者になり、出版社が運営するファッション通販サイトの担当になったんです。そのサイトで、私に何か書いてくれませんか、と話が回ってきたのがそもそもの始まりです」

 しかし、これまでの人生を、よくいえば個性的、ご本人の言葉を借りれば “トンチキ”な服ばかり着て過ごしてきただけに、ファッションサイトの連載をふたつ返事で引き受けることはできなかったという。

「最初は、トンチキな服ばかり選んで着ている私が何を書けば?  と思っていたけど、その編集者の子と話しているうちに、自分の中に、“ちゃんとした服も着たい”という思いがあることに気づいたんですよね。

 フリーライターの仕事のときは、服装について細かくいわれることはないからまだいいけども、教員をやっていると、入試の監督とか教育実習生の授業見学で高校へ行くとか、トンチキな服では対応できない場面が出てくるんですね。

 そういうときに、コンサバな私がいたほうが便利だなというのを、常々感じてはいたんです」

グレーパーカー問題について考える


とても気に入っているイチゴ柄のパンツ。けれど、何を合わせればいいのかわからず、毎回グレーのパーカーを着てしまうのだった……。

 そこで掘り起こされたのが、オシャレのチャンネルをもうひとつ増やして、「40歳までにおしゃれになりたい!」という願望だった。

「それまでの私はトンチキ一辺倒で、オシャレのチャンネルは“オモシロ”ひとつしか持っていませんでした。でも、行事やシチュエーションに合わせて、できればあまり苦労することなく、コンサバの“美人見え”チャンネルに切り替えられたらいいな、と。

 そう考えたのが36歳のときで、どんなにがんばっても、四季を一巡したくらいではオシャレにはなれないだろう、オモシロとコンサバのチャンネルを自在に切り替えられるようになるには、3、4年はかかるだろうという心づもりが、そのまま『40歳までにオシャレになりたい!』という連載のタイトルになりました(笑)」

 真っ先に解決に乗り出したのは、書籍でもトップバッターを飾る、グレーのパーカー問題。

「グレーのパーカーへの依存度はかなり高くて、ジッパーの有り無しなど含め、常時4着以上は持っています。インパクトの強すぎるトンチキボトムスだって、グレーのパーカーさえあればどうにかなる。そんな精神で今まではやってこられたけど、ある日、お気に入りのイチゴ柄のパンツにグレーのパーカーというスタイルでテレビに出たら、視聴者の方に『トミヤマさんどうした? ADみたいな格好してるよ』といわれてしまって……。

 自分がもう、10代、20代の頃のようにはグレーのパーカーを着こなせなくなっているんだと気づかされ、打ちのめされた瞬間でした」

 手持ちのパーカーたちとお別れするのではなく、延命させるにはどうしたらいいか。これが記念すべき連載第1回のテーマとなったのだが、解決に向けてトミヤマさんがしたことは、大量のファッション誌を買ってくることだった。


パーカーの下から白シャツやギンガムチェックシャツがチラッと見えているだけでかなり作業着感が薄れると気づいた!

「コンサバ系の雑誌を、ちょっと若い子向けから自分よりお姉さん向けのものまで幅広く買ってきて、とにかく、パーカーが載っているページだけをひたすらチェックしました。

 そうすると、ある傾向があることに気づかされるんです。

 パーカーを1枚で着ている人はいないな、首元からシャツの襟を覗かせていたり、下からカットソーの裾が見えていたり。チラ見せできるように、ジップタイプのものを着ている人が多いし、かぶるタイプのときは必ずチュールのロングスカートはいてるな、というように、ルールが見えてくるんですよ。

 これが白シャツだろうとデニムやブレスレットであろうと同じで、ひたすらひとつのアイテムばかり見続ける、というのが最大のポイントです」

研究者魂に火がついて
雑誌でサンプル集め


この日のファッションは、幅広い年代の女性誌に頻出する「ミラオーウェン」のセットアップ。

 まずはサンプルを大量に集めて、そこから道筋をつけていくのが好きという研究者ならではの性質を活かし、アイテムから着こなし、さらには、チェックすべきブランドまで探し当てていった。

「パンケーキのときも、最初はただおいしいと思って食べていたのが、30軒、50軒と数が増えていくうちに、生地が甘いのもあれば、トッピングが甘いのもあるとか、見取り図ができてきました。

 100種類くらい同じものを見ていけば、誰でも専門家になれる。それをパンケーキで体感済みなので、ファッションについても同じものをとことん見ていけば、ど素人の私でも結構いいところまで行けるんだぞっていう、この本はそういうドキュメントです(笑)」



足元は、ヒールが履けない性分のため、厚底サンダルでバランスをとる。

雑誌チェックのチャンスは美容院!

大量の雑誌を購入するのが現実的でなければ、美容院へ行ったときがチャンス!

「美容院って雑誌が読み放題じゃないですか。そのときに、『今日は白のトップスだけ』とかひとつアイテムを決めて、さまざまな年代向けの雑誌を見てみるといいと思います。何冊か見ていくうちに、白のトップスの素材感、シルエット、着こなしが見えてくるし、年代をまたいでよく登場するブランドというのもわかってきますし。

『そうか。このブランドはどんな雑誌のスタイリストさんにとっても、使い回しがいいんだな』という気づきがあると、デパートへ行ったときに見るお店で迷わない、というコンサバ初心者にとっては嬉しいおまけまでついてきます」

 この日、トミヤマさんが着ていたセットアップはまさに、あらゆるファッションの雑誌に登場していることを自力で見つけ出した「ミラオーウェン」というブランドのもの。

「ミラオーウェンの中でも、本当は、もっとシンプルで使い回しの効くアイテムがいっぱいあるんですけど、私はどうしても、柄が素敵だったりデザインに少し遊びがあったりするものを選んじゃうんですよね(笑)。

 でも、自分らしさまでは捨てる必要はないし、自分の”好き”を大切にしてこそ、私らしいコンサバが完成するのかな、なんてえらそうに思っちゃったりしています(笑)」


『40歳までにオシャレになりたい!』

著・トミヤマ ユキコ
扶桑社 1,200円+税


トミヤマ ユキコ

ライター・早稲田大学助教。著書に、大のパンケーキ好きが高じて著したガイド本『パンケーキ・ノート』(リトルモア)、『大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ』(左右社、清田隆之と共著)など。大学では少女マンガ・サブカルチャーについての講義を担当。ファッションに対して積もり積もったコンプレックスあり。

文=今富夕起
撮影=榎本麻美
写真=福本邦洋、岡本拓也
イラスト=澁谷玲子

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