2018/07/31 18:00

90年代で止まったままのメイクを カルチャー系女子はどう更新した?

 オシャレは嫌いじゃないけど、いまいち垢抜けない。ついつい変な柄物を着てオモシロに走ってしまう。困ったらボーダーに頼りがち……。多くの文系女子が抱えるファッションの悩みにとことん真剣に向き合った、痛快実用エッセイ『40歳までにオシャレになりたい!』が発売され、話題を呼んでいます。

 著者のトミヤマユキコさんが、体当たりで導き出した実用的なオシャレ法則のヒント、コンプレックスと向き合いつつオシャレする悦びについて、特別にレクチャーしてくれました!


一念発起してメイクレッスンへ
「立体感」でコンサバの総仕上げ


ライター・早稲田大学助教のトミヤマユキコさん。研究者ならではの持って生まれた性質を活かし、コンサバファッションを独自に調査・勉強して『40歳までにオシャレになりたい!』を執筆。

 洋服に時計、バッグ、アクセサリー。首から下はどうにかコンサバの答えらしきものが見つかっていく中で、変わらないのがトレードマークの前髪と90年代で止まったままのメイク。“美人見え”するのがコンサバのメリットなのに、このままではコンサバファッションのチャンネルが完成しない。そう気づいたトミヤマユキコさんは、メイクレッスンを受けることを思い立った。

「私は安室ちゃん世代で、目の周りを黒く塗るのが正義だと信じて30半ばまできてしまいました。でも、時代的にもうそれじゃダメなんだろうということは薄々気づいていたんです。でも、自力でどうにかするだけのメイクテクニックもなく、ずるずるとやり過ごしていたある日、自分ではかなり盛ったつもりで出かけた先で、知り合いから『今日、ノーメイク?』って聞かれたんですよ。

 これはもう、私の塗り方は間違っているということを認めないわけにいかなかったです」


メイクレッスンを受ける前の自己流のメイク。目の周りを黒く塗ったり、チークを斜めに入れたりする悪癖と、緩急のなさが災いし、濃い割に平面的な仕上がり。

 訪れたのは、全国に店舗展開する「アトリエはるか」。1万円以下で、プロによるメイクレッスンを受けられる。

「日本人の顔は平らだから、顔の中央がせり出して見えるような、立体感のあるメイクを施すと“美人見え”するそうなんです。そこを基本として、眉のグラデーションの描き方、チークの入れ方、口紅の塗り方、さまざまなテクニックを論理的に教えてくれるから、納得するし、忘れにくいんですよね。

 レッスンを受けた数日後、習ったままのメイクで仕事に出かけたら、ちょくちょく顔を合わせている男性から、『あれ、トミヤマさん今日きれいじゃない?』っていわれて。『いつものトミヤマさんなんだけど、なんかいい』っていう言葉を聞いて、よし、このメイクが正解なんだって、小さくガッツポーズする自分を抑え切れませんでした(笑)」

 余裕があれば、メイクレッスンの前にパーソナルカラー診断を受けるのもオススメだそう。


レッスン後のメイク。保湿をしっかりしているので顔色はワントーン明るくなった。また、顔の中心と外側で緩急をしっかりつけているので、薄づきなのに立体的。

「メイクのときも、ベースカラーはイエロー系かピンク系かとか、選ぶじゃないですか。カラー診断で自分に似合う色や顔色を明るくするカラーを知っていると、選ぶのに迷いがなくなりますから。

 あとは、トレンチコート選びのときも、同じベージュでもカーキ寄りとかピンク寄りとかいろいろあってだいぶ迷ったので、パーソナルカラーを知っておくことは、洋服選びの時間を短縮するという意味でもオススメです」

オシャレ修行はまだまだ続く


ドラマーのご主人が海外へ行くたび買ってきてくれるブックストアのオリジナルトートバッグ。メインになったりサブになったり、仕事中のトミヤマさんにとって欠かせないアイテムだが、30代後半になり、これだけではいけない……と小ぶりなバッグ修行を開始!

 買い物に時間がかかる。これは、現在のトミヤマさんの大きな悩みでもある。

「本で紹介した法則を踏まえた上で、自分らしさを捨てずに済むものを見つけ、さらに、買う決断をするところまで含めると、ものすごく時間がかかってます。

 それに今は、まだまだ修行中の身。トライ&エラーを繰り返している段階では高い服を買うのは怖いので、おのずと足が向くのは、ユニクロ、GU、ZARAなどのファストファッションのお店。

 40歳までにコンサバファッションを攻略する過程においては、プチプラで“高見え”する服が必須で、素材感が命。でも、WEBでは素材感まではわからないので、目で見て触って確かめるために実店舗に足を運ぶ必要があるし、お店に行くと、普段の自分なら絶対手に取らないアイテムを敢えて試着したりもするので、どうしても、買い物に時間がかかってしまいます」

 今は、クローゼットの中に大好きな個性派トンチキ系とプチプラコンサバ系の服が混在し、中には買ったけれど着る出番のない服もチラホラ。今後は、自分の定番を見つけたものから徐々に、質のいいものにシフトさせていくのが目標だ。

「失敗することもあるから、安いお洋服で練習する。今はそれでいいけど、40歳から50歳までの10年間で、『フランス人は10着しか服を持たない』じゃないけど、コンサバ系のものは、すごく上質なものを10点。点数を減らして質を上げていけたら、大人の女としてかっこいいかなって思っています」

 その思いの一方で、価格帯を上げなくてもいいと思うアイテムも出てくるなど、価値観の変化も生じてきている。

「年齢とともに時計の質も上げて、ブランド物のいい時計を買うんだ! と思っていたけど、今回、いろんな時計を探してみて、別に3万円以下でいいなと思うようになりました。なんなら、1万円くらいでも、可愛い時計はいっぱいありますし。

 もちろん、いい時計も1本くらい持っていたら、同窓会とかハッタリ効かせたい場面で使えていいとは思うけど、以前のようなこだわりはなくなってしまいましたね」

 40歳までのあと1年間で買うべきものの判断を早めて買い物時間を短縮し、40歳からの10年間で、コンサバに関しては量より質のクローゼットを目指す。トミヤマさんのオシャレ修行は、まだまだ続いていく。

「自分のファッションのチャンネルを増やしたいということで始めた『40歳までにオシャレになりたい!』というWEB連載でしたけど、ちょうど30代後半に突入し、じわじわと体型も変わってきて、顔も老けてくる。その変化にどう対応するのか、コンサバファッションを探りながら攻略していたのかなと、今となっては思います。

 私のもうひとつのチャンネルである個性派トンチキ系は、変であればオールオッケーで、サイズ感とかそこまで関係ないから、自分の体型について深く考えたことなんてないんですよ。でも、コンサバ服はバランスが大事だから、エステや整体に行くのと同じように自分の体に意識を持つことにつながりました。

 オシャレを通して自分の体に関心を持つだなんて、始めた当初は思ってもみなかったけど、今は、自分の体を丁寧に扱うようになったことにも大満足。30代後半のこの時期に、ちゃんとファッションと向き合う時間が持てて、本当によかったです」


『40歳までにオシャレになりたい!』

著・トミヤマ ユキコ
扶桑社 1,200円+税


トミヤマ ユキコ

ライター・早稲田大学助教。著書に、大のパンケーキ好きが高じて著したガイド本『パンケーキ・ノート』(リトルモア)、『大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ』(左右社、清田隆之と共著)など。大学では少女マンガ・サブカルチャーについての講義を担当。ファッションに対して積もり積もったコンプレックスあり。

文=今富夕起
撮影=榎本麻美
写真=福本邦洋、岡本拓也

今日の運勢

おひつじ座

全体運

メッセンジャー役を引受けると運気上昇。自分も、人からの紹介...もっと見る >