2018/08/01 20:00

アイスランドの港町から北極海へ シロナガスクジラとの邂逅なるか?

 火山と氷河の国アイスランドの自然は、これまでの価値観をがらりと塗り替えるほどドラスティック。クジラが暮らす北極海に、茫漠とした大地に迫力の瀑布、目にする全部が冒険だ。

 フィンランドでストップオーバーすれば、洗練のデザインに彩られた街歩きも楽しめる。

 人智を超えた大自然と、人の感性が生むデザイン、いわば両極の醍醐味を一度の旅で!


フーサヴィークは「クジラの首都」


ヨーロッパで最も人口密度が低いというアイスランド。見渡すかぎりの荒野が続く。

 ヨーロッパ最大にして国土の10分の1を占める氷河や、平均して5年に一度噴火するという世界有数の活火山、氷と火の国アイスランド。

 今回は北部エリアを中心にご紹介。目指すは世界最大の動物、シロナガスクジラに会いに北極海に面した港町フーサヴィークへ。


海を見晴らす丘の上に立つ羊小屋。渋い色合いの中、赤い屋根が映える。

断崖絶壁の向こうに北極海。自然の荒々しいパワーを感じる。

スキャゥルヴァンディ湾の東海岸にある港町フーサヴィーク。ここ10年ほど、ホエール・ウォッチングで有名に。

 870年にはじめてスウェーデン人のバイキングが入植した、アイスランドの黎明の地、フーサヴィーク。人口はわずか2,200人ほどの小さな港町ながら、“ヨーロッパのホエール・キャピタル”と呼ばれ、夏にはクジラ目当てに多くのツーリストが訪れる。


港に並ぶホエール・ウォッチングツアーのショップ。

まるでロデオのように船が揺れる!


完全防備でボートに乗り込み、いざ出発!

 港に集まっているホエール・ウォッチングツアーを開催するショップのうち、「ジェントル・ジャイアンツ」に申し込む。

 訪れたのは、春まだ浅い4月のこと。防水の厚手のつなぎに分厚いソールの長靴、手袋にゴーグルも用意された、北極海仕様のウエアに着替える。

 乗り込む船は機動力のあるゴムボートのようなゾディアックで、シートはサドルのような形をしている。このシートの意味は、のちにイヤというほど思い知らされる。


キャプテンは地元の漁師さんと無線で交信しながら、クジラを探索。

 湾内は穏やかだが、外洋に出た途端、北極海は本領を発揮する。

 海に弄ばれるボートは、まるで新手のロデオゲームのよう。股でしっかりとシートを挟んでいても、首はがくんがくんと揺れ、冷たい水しぶきをばしゃばしゃと浴びる。


一番にクジラを発見したくて、誰もが懸命に水面の盛り上がりを探す。

 ボートのキャプテンは周囲の漁船と無線でやりとりしながらクジラを探し、その間に生態について説明をしてくれる。が、北極海の荒波による冷水修行の身では、タメになるキャプテンの話にも上の空だ。


こういう光景を期待していたのですが……。(C)Peter Waltl - Gentle Giants

 結局、クジラが現れることなく、冷えたカラダを内側から温めるハーブ入りのリカーを飲んで帰港することに。

 この日はハズレたけれども、フーサヴィークではクジラの王様シロナガスクジラのみならず、小さなネズミクジラからザトウクジラ、ナガスクジラ、マッコウクジラ、オルカなど、多くの種類がみられるのが特徴だ。


港にたたずむフーサヴィーク・クジラ博物館。骨格だけでもウォッチング。

 港にあるフーサヴィーク・クジラ博物館で、骨格ながら全長25メートルのシロナガスクジラをウォッチング。

 ここに展示されている11体の骨格標本は、浜に打ち上げられたものや、漁師の網にひっかかったもので、地熱で沸かした湯を使って脂分を抜くのに数カ月から2年もかかるのだとか。

 一体一体に名前もちゃんとついていて、それだけ愛情をもってクジラと接しているのがわかる。

旅情あふれる海岸線をドライブ


ウォッチングできるクジラの種類が多いことも、フーサヴィークの強み。

 シロナガスクジラに出会えるのはいつか?

 初夏が可能性は高いけれど、それに限らず9~10月に現れることもあり、いつがベストとは断言しづらい、とのこと。つまりは運次第、幸運を祈る!


きれいな水と空気でストレスなく育った羊たち。

 フーサヴィークの海岸線をドライブしてみる。

 暗い色をした北極海に岩肌を露出した断崖がそびえ、鳥が風にあおられるままに舞うハードボイルドな光景。


最初の移民と共にやってきたというアイスランド・ホース。小ぶりでどっしりとした体格が特徴。

 渋い色彩の中で目を引く赤い屋根の飼育小屋では、無口な男性がもくもくと羊の世話を行っていた。澄んだ空気と水に恵まれ、自由に育てられた羊たちは、世界でいちばんおいしいと評判なのだとか。他の牧場では固有種の馬、アイスランド・ホースを見ることもできた。

 町の小さな教会も、愛らしい。


港に面したレストラン。ホエール・ウォッチングツアーの後に立ち寄りたい。

北極海のいぶし銀な風景。トロピカルな海もいいけれど、こうした渋さもかっこいい。

 派手な観光スポットはないけれど、たとえクジラと会えなくてもいいと思えるくらい、フーサヴィークの旅情あふれる光景は、心惹かれるものがある。

Gentle Giants
(ジェントル・ジャイアンツ)

所在地 Harbour Side 640 Húsavík
電話番号 0464-1500
料金 一般 10,400アイスランドクローナ、7~15歳 4,400アイスランドクローナ、6歳以下無料(税込)
https://www.gentlegiants.is/

【取材協力】
フィンエアー

http://www.finnair.co.jp/

インスパイアド・バイ・アイスランド

https://www.inspiredbyiceland.com/


古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/

文・撮影=古関千恵子

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