2018/08/07 18:00

首都プラハで美食ツアーに参加し ピルゼンでビールを味わうチェコの旅

 世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。

 第188回は、小野アムスデン道子さんが歴史あふれるチェコの2都市を巡ります!


ポップアップマーケットが楽しい!


おいしいエスプレッソ・バーでは、朝から地元のママ談議。

 チェコ共和国の首都プラハには、10世紀のロマネスクから始まって近代のキュビズムや現代までの美しい建物が展覧会のように並ぶ。ユネスコの世界文化遺産でもある歴史地区をそぞろ歩くだけで、その街並みに見とれてしまう。

 そんなプラハの街の美食巡りツアーに参加、そして、世界で最も飲まれているピルスナースタイル・ビールの元祖「ピルスナー・ウルケル」の醸造所を訪ねて金色のビールを味わった。まさに食いしん坊の旅を紹介する。


プラムジャムを挟んだブフタは“かわいいお嬢さん”という意味だそう。

 4時間でプラハの美食スポットを5、6カ所巡る美食ツアー「テイスト・オブ・プラハ」のスタートは、「エマ・エスプレッソ・バー(EMA espresso bar)」から。ここで一杯の香り高いコーヒーと、ブフタという菓子パンを堪能。これは、おばあちゃんが作るチェコの伝統的なおやつで、優しい味。

「テイスト・オブ・プラハ」は、食べ物が大好きな異業種出身の6人が集まって運営しており、全員がガイドでもある。


チェコの食の変遷を熱く語る「テイスト・オブ・プラハ」のマーティンさん。

 この日、来てくれたマーティンさんもプラハ生まれ。6歳の頃に家族でオーストラリアに渡り、心理療法士になってプラハに戻った。その後に精肉店に転職し、今はこの仕事という異色の経歴で、おいしいものへの愛情と造詣は限りなく深い。

 チェコは、共産主義時代に食べ物が標準化されたことで味覚の質が落ちてしまったが、4、5年前から若手シェフがおいしいものを作るようになってきた。その試みは、面白いことに、共産主義時代以前のおばあちゃんのおいしい料理を復活させることでもあったそう。


コンテナのシンプルな造りだが、どこもオーガニックやローカルへのこだわりがある素敵な店ばかり。

 次は、コンテナで造ったお店が集まるポップアップマーケット「マニフェスト(Manifesto)」へ。ここはプラハ・マサリク駅の近くにあり、2年後にはあのザハ・ハディドが設計した商業地区ができる予定の場所だが、それまでの期間限定で、お洒落な飲食店やローカルプロダクツを売る店が集まっている。



左:とろみのあるスープ。ディルのよい香りとちょい足しの酢がいい感じ。
右:チェコ人の好きな黒パンに具材を目の前でのせて出すオープンサンドイッチのお店。

 ここで味わったのは、クライダというチェコの伝統的なスープ。ポテト、マッシュルーム、卵、クリームでできた熱々のスープは、寒いチェコの冬にぴったり。酢と砂糖をちょっぴり足していただく。



左:元は銀行だったという建物に入る肉レストラン「カンティーナ」。
右:チェコ人は、肉が好き。これに、さらに豚バラ肉のローストも出て来る。

 続く「カンティーナ(Kantýna)」は、精肉店の3代目がオープンしたレストランで、保存料を使わずスモークしたソーセージや新鮮な肉の味が生きるタルタルステーキに、パンやチェコのポテトパンケーキが盛り合わせで出て来る。


泡がクリーミーなピルゼンの黒ビールがぴったり合う。

牛ヒレのシチューには
白い茹でパンを添えて



左:コクのあるソースが絶品のシチュー。ホイップクリーム、ラズベリージャムとレモンを添えて。チェコ人は酸味のちょい足しが好み。
右:ビール大国のチェコだが、南モラヴィア州はワインが有名。酸味の効いた白ワイン。

 メトロに乗って次の店、ビストロの「カプロヴァ8(Kaprova 8)」に向かう。ここでは「スヴィチュコヴァー」というチェコの名物料理、牛ヒレ肉のシチューが出た。「クネドリーキ」という白い茹でパンを添えるのが定番だ。チェコのワイン名産地・パーラヴァの白ワインのテイスティングも。



左:金曜日のお昼ですが、「ロカール」はビールで一杯という人で満席。
右:中庭に洗濯物が干されているのは600年前の建物。

 プラハの地元民でないとなかなか歩けないような通りをマーティンさんがいろいろ見せてくれる。地元っ子で大賑わいの人気ビアパブ「ロカール(Lokál)」は、激混みで残念ながら素通り。

 目指すのは、これまた地元の買い物客で賑わう通りにある精肉店「ナシェ・マソ(Naše Maso)」と、向かいのサンドイッチ店「ビストロ・シスターズ(Bistro Sisters)」。



左:マーティンさんを見つけて笑顔の「ナシェ・マソ」の親父さん。東京のチェコ料理店がここの熟成肉を使っているとか。
右:「ナシェ・マソ」で作っているミートローフとチェコ人の好物タルタルステーキが、再びサンドイッチで登場。

 “私たちの肉”という意味の「ナシェ・マソ」は、マーティンさんがかつて勤めていた店。この辺りは、本当に彼の地元の味自慢。


「ビストロ・シスターズ」は、かわいい小さな店。外で食べている人も多い。

さらにもう一つ、ポテトサラダ、ゆで卵、ハムにマヨネーズをかけたサンドイッチが。もうお腹がいっぱい。

「最後はデザートタイムです!」とマーティンさん。

「ルカーシュ・スカーラ・ツックラージュ(Lukáš Skála Cukrář)」は、元インターコンチネンタルホテルのペストリーシェフが開いたお店。チェコの伝統的なスイーツをモダンにアレンジして出している。確かにおいしい! 別腹すらパンパンに膨れるほど食べた。


手前がコラーチという甘いパンでこれはサワーチェリー入り。奥はクリームの詰まったクレムロレというお菓子。

ラスコンカは、ヘーゼルナッツとアーモンドの大きなマカロンという感じ。

「テイスト・オブ・プラハ」のフードツアーは、伝統的なチェコ料理店を回る2,500チェココルナのツアーと、食通向けの2,700チェココルナのツアーの2種類。

 プラハでの滞在期間などを入力してオンラインで申し込むと、この4時間のツアーにいつ参加したらいいかを調整して決めてくれる(基本的には2名以上から、プライベートツアーは別アレンジ)。

 プラハの有名観光スポットとはまた違う、地元の最新のおいしい店を効率よく回れて、お腹いっぱいになる(つまりお腹を減らして参加すべき)ツアーだ。

Taste of Prague(テイスト・オブ・プラハ)

https://www.tasteofprague.com/

世界に誇る有名醸造所で
無濾過・非加熱のビールを



左:昔の面影を残す旧工場も保存されている。
右:リサイクルガラスのボトルと新しいガラスのボトルに入ったピルスナー・ウルケルが、1時間に各6万本も造られる。

 プラハから車で1時間半ほど走れば、ビール大国プラハの誇るビールの名産地ピルゼンだ。ここで1842年10月5日からピルスナー・ウルケルを造り続け、今や世界50カ国に輸出しているという「ピルスナー・ウルケル醸造所」で見学ツアー(1人250チェココルナ)に参加した。

 バスで回るほど大きな醸造所。まずは、ビジターセンターで「ピルスナービール」の歴史を聞く。

 13世紀に時の王ヴァーツラフ2世がビールの醸造許可をこの街に出した時は、製法もみんなばらばらで、まずいビールしか造れなかった。

 そこでドイツのバイエルン地方からビール職人ヨーゼフ・グロールを呼び寄せて造ったのがピルスナー・ウルケルというラガービール。以来、工場は現代化されているがオリジナルのレシピ、原料、製造工程を守り続けている。

 ビール造りには、酵母がタンクの底に沈んでいく下面発酵=ラガーと、酵母が上に浮いていく上面発酵=エールがある。ピルスナーは下面発酵のラガービールで、上面発酵より発酵させる時の温度が低い。


昔、醸造・発酵を行っていたひんやりした地下醸造室も見学コースに入っている。

 昔は、地下12~21メートルに長さ9キロの地下道を掘って、面積3万2000平米にもおよぶ地下室を造って醸造をしていた。

 現代のビール工場を一通り見学して、最後はこの地下醸造室で、昔ながらの樽から無濾過で非加熱のビールを一杯試飲。



ビール職人が入れてくれた、これぞ樽生なラガーは、芳醇な香りで最高においしかった。

Pilsner Urquell Brewery
(ピルスナー・ウルケル醸造所)

所在地 U Prazdroje 64/7, 301 00, Plzeň
電話番号 0377-062-888
http://www.prazdrojvisit.cz/en/


巨大なソーセージに、ビールは迷わず無濾過を注文。

 見学後は、おいしかったピルスナー・ウルケルの無濾過ビールの味をいま一度ということで、ビール醸造博物館の隣にあるビアパブの名店「ナ・パルカーヌ」」へ。「ナズドラヴィー!(乾杯)」の掛け声と共に飲んだ一杯は、忘れ難い思い出になる。

Na Parkánu(ナ・パルカーヌ)

所在地 Veleslavínova 59/4, 301 00, Plzeň
電話番号 0377-324-485
http://www.naparkanu.com/en/na-parkanu/

【取材協力】
チェコ政府観光局

https://www.czechtourism.com/


小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)

ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

文・撮影=小野アムスデン道子

今日の運勢

おひつじ座

全体運

ちょっとしたユーモアが幸運を招くカギ。まわりの人を笑わせて...もっと見る >