2018/09/07 12:00

映画『きらきら眼鏡』で主演に大抜擢 新人・金井浩人の魅力に迫る

「最後の1ページまで切ない」と絶賛された森沢明夫の恋愛小説を映画化した『きらきら眼鏡』で、大切な人の喪失から立ち直ろうとする主人公に抜擢された金井浩人。池脇千鶴、安藤政信らを相手に、ピュアで実直な演技を魅せた彼の俳優としての想いは?

大林宣彦監督作のスタッフから
キャストに抜擢


――幼い頃の夢を教えてください。

 小学校の頃はサッカーをやっていたので、卒業文集などではサッカー選手になりたいと書いていたことを覚えています。その後は、父親の影響もあって、中学ぐらいから映画好きになり、TVで放送される作品以外にも、レンタルでDVDをよく借りていました。そのうちに、俳優への憧れみたいなものが出てきたと思います。

――その後、『この空の花 長岡花火物語』で俳優デビューされる経緯を教えてください。

 漠然と、高校を卒業したら大学に行こうと思っていたのですが、あるとき「自分の中で、役者をやりたい気持ちがある」ことを父親に話したんです。そのとき、父親が「それなら大学に行く必要はない」と言ってくれて、まずは東京行きの資金集めとして、地元でバイトを始めたんです。そんなときに、大林宣彦監督が地元で『この空の花 長岡花火物語』を撮ることを知って、そのスタッフに応募したんです。


――『この空の花』では、教頭先生を演じられたベンガルさんの息子役を演じられたわけですが……。

 じつはスタッフとして参加する日に、ほかのバイトがあって行くことができなかったんです。それで、後日「映画に俳優として出てみませんか?」という連絡があって、出演することになったんです。とても運が良かったと思いますが、この映画に参加させてもらったことで、役者をやりたい気持ちがさらに強くなりました。それで20歳のときに、東京に出てきました。

役作りで学んだ駅職員の仕事


――その後、金井さんにとって、転機となった作品や出来事を教えてください。

 東京に出てきて、俳優養成所に入り、2年間、そこに通いました。そのときの舞台公演で、死刑囚の役を演じたんです。生と死を扱ったテーマだったので、そのときはとてもヘビーでしたし、芝居の在り方や自分がどう芝居と向かい合ったらいいか? ということを、とても考えさせられました。

――今回、主演に大抜擢された『きらきら眼鏡』、金井さんはもともと、犬童一利監督のワークショップに通われていたんですよね?

 養成所を卒業してからはフリーでやっていたんですが、犬童監督にはワークショップで出会いました。そのときに連絡先を交換し、交流させてもらっていたんです。今回、こういうかたちで主演に選んでもらって、怖さもありましたけれど、素直に嬉しかったです。


――金井さんが演じられた明海は、駅職員という設定だけに、役作りはどのようにされたのでしょうか?

 スタッフさんに繋いでいただいて、実際にロケをした北習志野駅に勤務されている職員さんの仕事を数日見せていただきました。単純に道を尋ねられることもありますし、ホームに倒れている方を介抱したり。駅の中での仕事だけではなく、なんでもこなせないといけないことを知りました。

背中を押してくれた
船橋市の人々の想い


――古本を通じて出会う女性役の池脇千鶴さん。そして、彼女の余命わずかな恋人役の安藤政信さんといったベテラン陣との共演はいかがでしたか?

 映画の観客として、ずっと観てきた大好きなお二人でしたので、緊張していたというか、とても怖かったんです。でも、初めてお会いしたときに、感覚的に一瞬で好きになることができたんです。その感情を自分の中で、ずっと持てたことで、安心して芝居に取り組むことができました。

――船橋市での印象的な撮影エピソードがあれば教えてください。

 船橋の方には美味しいケータリングを作っていただいたり、エキストラとして多くの方に参加していただいたりして、とても有難かったです。夜中の撮影にも関わらず、駅構内のシーンにも参加していただきましたし。それだけ、船橋の方々がこの映画の完成を楽しみにしてくださっていることがスゴく伝わってきて、僕も頑張らなきゃいけないという気持ちになりました。明海として、背中を押してもらいました。


――死生観に関しても、しっかり描かれている本作ですが、金井さん自身はどこに注目してほしいですか?

 僕自身、過去に恋人を亡くした立花という役と真摯に向き合えましたが、自分の芝居というより、とにかく多くの人に、この作品を観ていただいて感じてほしいです。死生観に関しても、観た人それぞれ違うと思いますし。

影響や希望を与えられるような
俳優になりたい


――どのような俳優を目指していきたいか、目標とする人など、今後の展望について教えてください。

 ありきたりなことかもしれませんが、観てくださった方に何かしらの影響や希望を与えられるような俳優になりたいと思っています。俳優としてはもちろんですが、一人の人間としても、高倉健さんに憧れています。


金井浩人(かない ひろと)

1992年5月12日生まれ。新潟県出身。2012年『この空の花 長岡花火物語』にて、俳優デビュー。その後もショートフィルムなどの出演作が多数続き、演技力に注目が集まる。主演に抜擢された本作『きらきら眼鏡』は、本格的な映画デビューとなる。


『きらきら眼鏡』

恋人の死を乗り越えられない明海(金井浩人)は、一冊の古本をきっかけに、前向きなあかね(池脇千鶴)と出会う。見たものを輝かせる“きらきら眼鏡”を掛けていると語る彼女だが、余命宣告を受けた恋人・裕二(安藤政信)と向き合う辛い現実を抱えていた。
http://kirakiramegane.com/
2018年9月7日(金)より、千葉・TOHOシネマズ ららぽーと船橋で先行公開。
2018年9月15日(土)より、東京・有楽町スバル座ほかにて、全国順次公開。
(C)森沢明夫/双葉社 (C)2018「きらきら眼鏡」製作委員会

くれい響 (くれい ひびき)

1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

文=くれい響
撮影=佐藤 亘

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