2018/09/18 18:00

スペシャル対談 横山剣×光石研 CKBと出会い音楽への興味が再燃した

 2018年は、横山剣さん率いるクレイジーケンバンド(以下CKB)がデビュー20周年を迎えたアニバーサリーイヤー。3年ぶりのオリジナルアルバム『GOING TO A GO-GO』のリリース、そして横浜アリーナでのライブなど、アグレッシブな活動が続きます。

 CREA WEBでは、デビュー20周年を記念して、スペシャル対談を企画しました。剣さんのお相手としてご登場いただいたのは、熱狂的なCKBのファンとして知られる俳優の光石研さん。2人のケンさんは今回が初対面。全5回にわたり、濃密すぎる対話の一部始終をお届けします!


▼talk03

梅ヶ丘でスーツを誂え渋谷でライブ三昧


光石 下北沢では中古レコード店「フラッシュ・ディスク・ランチ」にもよく行きました。僕が梅ヶ丘に住んでいた頃ですね。

横山 梅ヶ丘といえば、カスタムオーダーの「洋服の並木」!

光石 「並木」でもスーツを誂えていたんですか?

横山 コンポラスーツを作りました。福生は高いけど、「並木」は安くて早いんですよね。

光石 その福生の店って「K.ブラザーズ」のことですか?

横山 そうそう。懐に余裕があったら「K.ブラザーズ」でした。ホントにいろんなことをよくご存じですね。

光石 そんな趣味嗜好でしたから、役者仲間で気が合う人はいなかったんです。

横山 ああ。そうでしたか。

光石 クールス、シャネルズ、山下達郎さんに導かれるようにソウル/R&Bにハマり、僕はシングル、7インチには手を出さずにLPを集めていました。渋谷にあった「ライブイン」にソウル系のアーティストを観に行ったり。

横山 「ライブイン」! あの当時ですら経年劣化の激しいビルにあって、お客さんが踊ると床が揺れて怖かった(笑)。チャカ・カーン、ウィルソン・ピケット、バーケイズ、ロバート・クレイ、ジョン・リー・フッカー……いいアーティストがたくさん来ましたね。

光石 僕は「ライブイン」でクールスのジェームス藤木さん&ザ・デュークスのライブを何回か観ました。JB(ジェームス・ブラウン)のナンバーやソウル/R&Bの名曲がかっこよくてねー。

横山 その時、たぶん一緒に観ていますよ。いやぁ、ホントに近いところにいたんですね。

90年代末の「クロコダイル」で
初めてCKBのライブを観た(光石)


光石 ダックテイルズ(80年代に横山剣が所属していたバンド)の解散以降、僕、横山さんの活動を追い切れなくなっちゃったんです。でも、ある時、雑誌の記事でCKBを見つけたんです。「これってあの横山剣さんのバンドだ!?」と。それで原宿「クロコダイル」のライブに行ったのが1998年か1999年。

横山 「クロコダイル」には結成当初から出演していましたが、川勝正幸さんとかが来てくださるようになったのは99年くらいですね。

光石 僕もそれぐらいだったと思います。その頃はまだお客さんもまばらで、メンバーの皆さんがカウンターでお客さんと一緒にお酒とか飲んでいて、ドキドキしたのを覚えています。

横山 こっちはまさかそんな有名な役者さんがお客さんで来ているとは知らなくて。重要なところを押さえていらっしゃいますね。

光石 いやいやいや。それで早速『PUNCH! PUNCH! PUNCH!』(98年)を買って、すぐに夢中になりました。

横山 ありがとうございます。2枚目の『goldfish bowl』(99年)あたりまではまだ夜明け前みたいな感じだったんですが、その頃から観ていただいているのは感激ですね。目ざとい方がライブに来てくださるようになったのが99年から2000年なんです。

光石 「クロコダイル」もあっという間にお客さんが増えていって、後半は立ち見でいっぱいで入りきらなくなっていましたね。

横山 そうですね。今年の6月にファンクラブの会員限定で、久しぶりに「クロコダイル」のステージに立たせていただいたんですが、ノスタルジーに浸る間もなく、当時に気持ちが戻りましたね。あそこの空気がそのままだったので。

光石 クールスでも出てらっしゃいましたよね。

横山 はい。「クロコダイル」には70年代は内田裕也さん周りのバンドも出ていましたし、80年代にはニューウェーブ系やオルケスタ・デル・ソルなどのラテン系、後に渋谷系に連なる人たちも出演していた。日本の音楽ヒストリーには欠かせないライブハウスだと思います。

昼間の仕事を続けながら
音楽活動に励んでいた(横山)


光石 90年代に入ると僕、だんだん食えなくなってきましてね。結婚もしたし、呑気にレコードを買い漁っている場合じゃないなって。だから、ちょっと真面目に仕事しなきゃなと思って、ようやく俳優業のほうに目を向けるようになりまして。しばらくして、再び音楽を聴く楽しさや興奮が自分のなかで甦ってきたのがCKBだったんですよ。

横山 ああ。そうだったんですね。

光石 女房が横浜出身なので、「横浜のワードがちりばめられているCKBなら聴いてもいいかな」みたいな(笑)。女房も「お金はちゃんと家に入れてね」と言いながら、「CKBは買っていいよ」って(笑)。

横山 奥さまの理解を得られてよかったです。僕は、ダックテイルズの後は運送屋で運転手をしながら、MOON DOGSや神崎まきさんに曲を提供していたし、CKBを結成してからもしばらくは昼間の仕事を続けながら音楽活動をしてました。

光石 その間も作曲はずっと続けてらしたんですか。

横山 ええ。元々、自分が表に出るより筒美京平さんのような職業作曲家になりたかったというのがあったんで。それが運命のいたずらでクールスに入ってしまったものですから、それはそれで楽しくなっちゃったんですけどね。

光石 僕もスカウトがきっかけで俳優になったんです。90年代半ばくらいから青山真治さんなど同世代の監督が出て来て、そういう映画に出演するようになって仕事の流れが少しずつ変わってきた感じでしたね。仕事がだんだん楽しくなってきたのは90年代後半くらいからです。

横山 CKBが今年デビュー20周年ですから、浮上するタイミングが一緒!

光石 ホントですね。

映画の公開記念イベントで
CKBの曲を歌いました(光石)

横山 そういえば、光石さんはイベントでCKBの曲をカラオケで歌ったことがあるそうですね。

光石 ええ。2000年に映画『不貞の季節』の公開記念イベントがあって、大杉漣さんと田口トモロヲさんがライブをやるというので、「研ちゃんも何かやらない?」って言われまして。漣さんはフォーク、トモロヲさんは自身が在籍していたバンド、ばちかぶりの曲を歌うというので、じゃあ僕はドハマリしていたCKBしかないと。

横山 ちなみに歌ったナンバーは?

光石 「踊り子」「右手のあいつ」「たすけて」を歌わしてもらいました。

横山 また、一番濃いところできましたね?(笑)

光石 本来はスウィートソウル系の曲が好きなんですが、素人が歌うのは難しいんですよね。ただ、その頃はまだCKBのカラオケがなくて、事務所に連絡してカラオケを用意していただいたんです。

横山 たしかうちの萩野(知明。横山剣とともにCKBの所属事務所ダブルジョイレコーズの代表を務める。元クールスR.C.のベーシスト)が担当したんですね。

光石 そうです。笹塚駅の改札で待ち合わせて、ダブルジョイの事務所まで取りにうかがいました。あの節は大変お世話になりました。

横山 2000年当時はまだ萩野君の住居兼事務所で、お隣には大人計画の役者さんが住んでいました。

光石 アルバムでいうと『ショック療法』(00年)の頃ですよね?

横山 そうです。小西康陽さんのレーベルからリリースされることになったんですが、小西さん、ジャケットとアートワーク以外は一切ノータッチ。たった一言「かっこいいアルバム作ってください」と。その一言がすごいプレッシャーで。

光石 でも、その辺りで一気に人気に火が点きましたよね。

横山 おかげさまで、それまでCKBを知らなかった層に聴いていただけるようになりました。

光石 30代後半の新人バンドが挑み、成功する例はあまりなかったから、CKBは応援したい気持ちになりましたよね。残念ながら、僕はCKBが定例ライブを行う横浜・長者町の「FRIDAY」や温泉旅館でライブをするイベント「箱根ヨコワケハンサムワールド」にはまだ行けてないんですけど。

横山 「FRIDAY」は20年前に定例ライブを始めた結成当時のメンバーでいまだに続けています。

光石 そこもCKBのすごいところですよね。だから、一度好きになったらファンはずっと追いかけるんですよ。

横山 そういえば、10年ほど前に開催された「光石研映画祭」(「30周年!! 俳優・光石研~祝宴7デイズ~」)ではちょっとした接点がありましたね。

光石 渋谷ユーロスペースで1週間にわたり、僕の出演作を上演していただいたんですが、その時のトークショーのゲストとして剣さんにもお願いして……。

横山 残念ながらスケジュールが合わなかったんですよね。

光石 あのときDVDでお祝いのメッセージ映像をいただいて感無量でした。

talk04に続く


横山 剣(よこやま けん)

1960年生まれ。横浜市出身。81年にクールスR.C.のヴォーカリストとしてデビュー。その後、ダックテイルズ、ZAZOUなど、さまざまなバンド遍歴を経て、97年にクレイジーケンバンドを発足させる。和田アキ子、TOKIO、グループ魂など、他のアーティストへの楽曲提供も多い。2018年、クレイジーケンバンドはデビュー20周年を迎え、8月には3年ぶりとなるオリジナルアルバム『GOING TO A GO-GO』(写真)をリリースした。9月24日(月・祝)には、横浜アリーナでデビュー20周年記念ライブが行われる。
●クレイジーケンバンド公式サイト http://www.crazykenband.com/

光石 研(みついし けん)

1961年生まれ。福岡県出身。高校在学中の78年に映画『博多っ子純情』の主役に抜擢を受け、俳優デビューを果たす。主な出演作に、映画『Helpless』『ヒミズ』『シン・ゴジラ』『アウトレイジ 最終章』『モリのいる場所』『羊と鋼の森』、ドラマ「バイプレイヤーズ」「未解決の女 警視庁文書捜査官」「ハゲタカ」「フェイクニュース」などがある。盟友・大杉漣が初のプロデュースを手がけ、主演も務めた映画『教誨師』(2018年10月6日公開)にも出演している。
●鈍牛倶楽部(所属事務所)公式サイト
http://dongyu.co.jp/


剣×研サイン入りチェキをプレゼント!

横山剣さんと光石研さん、おふたりのサインが入ったチェキを、計5名にプレゼントいたします。応募要項は、この連載の最終回に掲載しております。

<衣装>
[光石さん]ネイビーセットアップ/BLUE BLUE(03-3715-0281)、インナーのアロハシャツ/本人私物

構成=佐野郷子
撮影=鈴木七絵
スタイリング=下山さつき
ヘアメイク=山田久美子

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