2018/10/25 07:00

イタリアだけどイタリアっぽくない トリエステが孤高の美を纏う理由

 イタリア北東部の端っこ、トリエステは、隣国スロベニアに面する国境の町です。

 多くの民族、国家の支配を受けてきた歴史をもつ町であることから、イタリアでありながら、イタリアっぽくない、独特の雰囲気、そして独自の文化をもつ町です。


トリエステの町の中心となるウニター・ディターリア広場。

 ローマやベネチアなどイタリアの有名な町に比べて、日本での知名度は高くありませんが、優雅で落ち着いた雰囲気と、アドリア海を望む美しい海辺の景色が魅力的です。

 海からの風がいつも吹いていることから「風の町」と呼ばれるトリエステの魅力をご紹介したいと思います。

さまざまな民族と文化が
交錯した海の玄関口


1800年代に建てられた白亜のミラマーレ城。

 トリエステの歴史は古く、古代ローマ時代に遡ることができます。

 東ヨーロッパと接し、アドリア海に面したこの町は、商港都市として栄えてきました。一時は同じ港町で一大商業国家として栄えたベネチアと肩を並べるほどに繁栄しました。



左:美しい装飾の建物。
右:運河からサント・アントニオ・ヌーヴォ広場をのぞむ。

 14世紀末にはオーストリアのハプスブルク家の支配下におかれ、海に面しないオーストリアにとっての重要な海の玄関口となりました。商港としてこの町を重用したハプスブルク家によって、町は美しく整備されました。

 今でも、その当時に建設されたネオ・クラシック調の建物が多く残り、「小さなウィーン」と呼ばれる美しく優雅な風情を漂わせています。



左:古代遺跡のひとつ、リッカルド門。
右:町に残る古代遺跡「ローマ劇場」。

 町にはそのほかにも、ローマ遺跡、セルビア正教会や旧ユダヤ人街など、多様な文化、民族の痕跡が数多くあります。

 港町であることから、多種多様な民族、文化が流れ込み、また、戦時中には軍港としてこの地を治めたい各国からの侵略に脅かされながらも、荒むことなく、どこかおおらかに、それらを受け入れてきました。それこそがトリエステの町特有の美しさにつながっているのではないかと思います。


セルビア正教会の聖堂「聖スピリトドン」のモザイク。

 さて、いろんな文化が伝わってきたということは、いろいろな美味しさも伝わってきたわけで、トリエステの美味しい名物を次にご紹介します。

そして美味しいものも交錯する



港とその周辺の様子。

 商業港として発展してきたトリエステ。18世紀にはアフリカからヨーロッパへとコーヒー豆を輸入する重要な経路でした。それに加え、オーストリアからカフェ文化が伝わったことで、トリエステはコーヒーの都となりました。

 19世紀ごろから魅力的なカフェが多く存在し、20世紀に入るとドイツの詩人リルケをはじめ、各国の文豪たちが集うようになりました。

 現在も、その当時のまま続く伝統的なお店から、新しいものまで、たくさんのカフェがあります。



町にはたくさんのカフェが。それぞれ趣も異なり、あちこちめぐってみたい。

 コーヒーの美味しさもさることながら、それらのお供となるお菓子が美味しいのも魅力です。

 オーストリア菓子に影響を受けたトリエステのお菓子たちは、素朴なイタリア菓子に比べて、リッチで洗練されたものが多く見受けられます。


トリエステの郷土菓子の数々。

 料理でも、文化同様にオーストリアをはじめとする東ヨーロッパやイタリアなどから、さまざまな美味しいものが伝わってきました。


クヌーデル入りのグラシュ。

 東ヨーロッパ伝統の肉煮込み「グラシュ」に北イタリアのニョッキ「クヌーデル」を加えたものは、トリエステの伝統料理としてよく食べられます。


プロシュート・コット・トリエスティーノ。

 また、有名なイタリアのハムとして「プロシュート」がありますが、トリエステには「プロシュート・コット・トリエスティーノ」というものがあります。

 ハムをパン生地で包み、オーブンで加熱して作りますので、水分の蒸発が防がれ、一層ジューシーに仕上がります。それをスライスして、西洋ワサビをのせて食べるのがトリエステ流です。



美味しい海鮮をふんだんに使った料理も町の魅力。

 海に近いことからもちろん海鮮もとても新鮮で美味しく、まさに山の幸、海の幸に恵まれた美味なる町です。


ウニター・ディターリア広場の夜景。

 イタリアでありながら、イタリアにとどまらない、多くの魅力にあふれたトリエステ。比較的治安も良く、落ち着いていますし、新たな旅先の候補としておすすめの町です。

トリエステへの行き方

飛行機/ローマ、ミラノからトリエステ・ロンキ・デイ・レジョナーリ空港まで約55~70分。
鉄道/ミラノから約3時間45分~、ローマから約5時間20分~。


藤原亮子 (ふじはら りょうこ)

イタリア・フィレンツェ在住フォトグラファー&ライター。東京でカメラマンとして活動後、'09年、イタリアの明るい太陽(と、おいしい食べ物)に魅せられて渡伊。現在、取材・撮影・執筆活動をしつつ、イタリアの伸びやかな景色をテーマに写真作品も制作中。イタリアでの日々をつづったフェイスブックはこちら。 https://www.facebook.com/chococogogo

文・撮影=藤原亮子

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