2018/10/27 12:00

フランス第2の都市マルセイユへ 絶景と漁港と石鹸と名建築をめぐる

#160 Marseille
マルセイユ(フランス)


ヨットがずらりと係留されている旧港。天然の良港として覇権をめぐり争われていた歴史も。

 南仏リヴィエラの中心地マルセイユは、フランス第2の人口を有する、この国最古の都市。水平線の向こうにアフリカ大陸が控える天然の良港には、世界各国から人々が訪れ、様々な人種や文化が混ざりあっています。


ザ・記念撮影スポット。子供たちにとってはジャングルジムのような存在⁉

 マルセイユの建都は、紀元前600年のこと。

 新天地を求めて航海していたギリシャ系のフォカイア人がマルセイユにたどりつき、背後を丘陵で守られた、深い入り江をいたく気に入りました。

 そこで船団長のプロティスが先住の王に友好の挨拶に行ったところ、ちょうど王女ジプティスの婿選びの宴会準備の真っ最中。そこで招待にあずかることに。この地方の婿選びは、宴もたけなわになった頃、娘が気に入った相手に水をたたえた杯を捧げる習わし。

 奇しくも、王女ジプティスが選んだのは、船団長プロティス。彼はめでたく婿となり、土地を与えられ、マッサリア(マルセイユ)が誕生したそうです。


マルセイユの守護聖人、聖母マリアが丘の上の聖堂から人々と港を見守っています。

 マルセイユの街を一望するなら、海抜約154メートルの丘の上に立つノートル・ダム・ド・ラ・ガルド・バジリカ聖堂へ。

 人々が親しみをこめて“ボン・メール” (良き母)と呼ぶ、キリストを抱いた黄金の聖母マリアが、聖堂の鐘楼の上から港を行き来する船や人々を見守っています。


絢爛豪華なローマ・ビザンチン様式のノートル・ダム・ド・ラ・ガルド・バジリカ聖堂。

『モンテ・クリスト伯』の舞台の島


聖堂の見晴らし台からは石灰岩の岩山や島々が浮かぶ地中海の眺めが広がります。望遠鏡をめぐって覇権争い?

 ローマ・ビザンチン様式の壮麗な聖堂の見晴らし台にたたずむと、360度のパノラマビューが広がります。


フランス第2の人口を誇る都市、マルセイユ。オレンジ色の瓦屋根の家がびっしりと。

 海に向かって左から、真っ白な石灰岩の乾いた岩山がそびえ、正面の紺碧の地中海には小説『モンテ・クリスト伯』で描かれたイフ島が浮かんでいます。

 さらに視線を移動させると、旧港の入口の両端それぞれに聖ジャン要塞と聖ニコラ要塞が構え、成長目覚ましいウォーターフロントの再開発エリアが広がっています。そして、内陸はオレンジ色の瓦屋根の家並みでびっしりと埋まっています。


かつて要塞として造られ、その後牢獄として活用されたイフ島。観光船で渡れます。

 ちなみに、小説『モンテ・クリスト伯』の舞台となったイフ島は、16世紀に建設された要塞が、のちに政治犯や伝染病の患者を収監する牢獄として使われた場所。

 小説では主人公が無実の罪で投獄されましたが、それはあくまで架空のストーリー。けれど、主人公の“エドモン・ダンテスの牢獄”という独房まであり、彼を実在すると信じている人も。

マルセイユ石鹸の露店をのぞく


ベルジュ河岸の魚売りのスタンド。魚種は限られているけれど、鮮度は抜群!

 マルセイユの中心地、旧港は賑わいと華やぎに満ちています。

 目にまぶしい白いセイルのヨットや流線形のプレジャーボートがマリーナにずらりと係留され、ヴァカンス気分たっぷり。


魚売りスタンドのすぐ後ろに漁船を付け、水揚げや漁の後片付けを行っています。

 港のいちばん奥まったところにあるベルジュ河岸では、毎日魚売りのスタンドが並びます。

 すぐ背後の港に漁船を横付けし、水揚げしたばかりの、文字通りに獲れたてぴちぴちの鮮魚ばかり。屋台の頭上では隙を狙うカモメたちが旋回し、朝から活気いっぱいです。


マルセイユといえば、マルセイユ石鹸! 旧港にて露店を発見。

ルイ14世によって厳しい基準が定められたマルセイユ石鹸。天然のオリーブ油またはパーム油、地中海の海水とマルセイユ塩とバリラ(海藻の灰)が原料。

新旧の名建築に出会えるアートの街


プロヴァンス語で“麻”を意味する“カネーブ”から名づけられたカヌビエール大通り。

 旧港からメインストリートのカヌビエール大通りを伝って街中へ。

 メリーゴーランドの陽気な音楽とマルシェで賑わう広場を横目に、ショッピングセンターの「ギャラリー・ラファイエット」に寄り道しつつ、グングンと街歩き。


大通り脇の広場には、どこか懐かしいメリーゴーランドが。その周囲にマルシェも。

 約1キロ続く大通りの東側には19世紀建造のサン・ヴァンサン・ド・ポール教会、通称レフォルメ教会、さらに東へ行くとこれまた19世紀建造のロンシャン宮へ。


人口増加による水不足と干ばつ対策に造られた運河の終着点、ロンシャン宮。

 ロンシャン宮のあたりまで来ると、地元の暮らしぶりが感じられるというか、くつろいだ空気に変わります。

 18~19世紀に建造された家並みが続き、並木道に面したオープンテラスのカフェでくつろぐ人や、ロンシャン宮の芝生で寝ころびながら読書する人。木漏れ日の中をガタゴトとトラムが通り過ぎます。


18~19世紀のマルセイユの富裕層の関心はもっぱら商売。そのせいか、建造された建物はシンプルなデザインが多いとか……。

 かつてマルセイユは治安が悪かったと聞いても、俄かには信じられない、のどかさです。とはいえ、気を許しちゃいけませんね。


旧港の魚売りスタンドに隣接した、建築家ノーマン・フォスターによるアートな屋根。天井の鏡に、天地逆さな風景が映っています。

 マルセイユの治安が以前より改善された一因には、1990年代からスタートした文化・芸術都市としての再開発計画もあるでしょう。

 旧港の入口近く、パニエ地区西側のウォーターフロントには隈研吾設計のマルセイユ現代美術センターや、ザハ・ハディドによるCMA CGMタワーなど、目を引く建築物が登場しています。

 そして、街の南には2016年に世界遺産登録されたル・コルビュジエによる集合住宅の「ユニテ・ダビタシオン」が! こちら、一部がホテルとして一般に開放され、宿泊が可能です。

 建築めぐりもマルセイユの新たな魅力になっているようです。

マルセイユ

●アクセス パリ・リヨン駅からマルセイユ・サン・シャルル駅までTGVで約3時間20分。またはニース駅からTGVもしくはTERで約2時間40分
●おすすめステイ先 東横INNマルセイユ サン シャルル駅前
https://www.toyoko-inn.com/search/detail/00272


古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/

文・撮影=古関千恵子

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