2018/11/15 18:00

ナイル川をボートでのんびりクルーズ 古代の神殿と陽気な集落をめぐる

 世界最大の石造建築物ピラミッドの内部を上ってみよう。ツタンカーメンの煌びやかな宝物を間近で見てみよう。古代エジプトのファラオたちが成し遂げた偉業を、およそ5,000年の時を超えた今、体験できるのはまさに奇跡!

 偉大なるエジプト体験は時を超越して人の心を動かし、価値観さえ変えてしまう。2017年10月から直行便が復活し、日本からカイロへは約14時間。ファラオたちの栄華が花開く地へ、ひとっ飛びだ!


エジプト南部の中心都市
アスワンへ


アスワン駅。往来が激しく、アスワンが南部の中心都市であることを実感。

 エジプト最南端の中心都市、ナイル川の東岸に築かれたアスワン。

 急流地帯のナイル第一カタラクトが街の手前にあり、かつてカイロなどの川下から上ってきた船は流れに阻まれて先へ進めず、ここで下船しなければならなかった。


ナイル川を軸に、暮らしも観光もある。

 そうした地理的条件から、南部地方へのゲートウェイとなり、隣国ヌビアとの交易が栄えた。アスワンのかつての地名“スウェネト”は“トレード”を意味し、エジプトの初期のコミュニティが発生した地でもある。


ナイル川に浮かぶ島に立つピラミサ・イシス・アイランドリゾート&スパ。

 今回の宿はナイル川に浮かぶ島に築かれたピラミサ・イシス・リゾート&スパ。

 対岸の駅や賑やかなダウンタウンへ行くにも、観光スポットへ向かうにも、どこへ行くにも、まずは敷地内の桟橋からボートに乗ることになる。急いでいる場合は面倒だが、ナイル川の癒しのパワーか、優雅なクルーズ気分だ。


ヌビアの伝統的な住居を模したリゾートの前を通過。涼やかな水音を聞きつつ、優雅に移動。

 ホテルの対岸に渡ったのち、車で船着き場へ。見るからに馬力のなさそうなボートに乗り込み、ゆっくりとナイル川を南下する。


フィラエの神殿に向かう、ボートタクシーのドライバーさん。

 ナイル川の中でも川幅が広いエリアなので、川というよりも海のよう。ところどころに岩が折り重なったような島も浮かんでいる。小島に建てられたヌビアの伝統的な住居をモチーフにしたリゾートも通り過ぎる。

フィラエの神殿は見どころいっぱい

 ボートで約20分、フィラエの神殿に到着。

 小さな島に築かれているのは、古代エジプト最後の王朝プトレマイオス朝からローマ時代にわたって建造された神殿。


船着き場から降りて、最初に目にするのが、「ネクタネボ1世のキオスク」。

十字架の刻印は、キリスト教の教会として使われた形跡。

 古代エジプトで信仰された来世の神オシリスの妻、イシス女神が祀られ、ふたりの子供であるホルス神が生まれた場所とされている。550年頃にローマ皇帝によって閉鎖されるまで、古代エジプトの信仰を支えた最後の神殿だ。


「ネクタネボ1世のキオスク」の柱に見るハトホル女神。

 上陸していきなり現れる「ネクタネボ1世のキオスク」は、太い石柱が連なる広場。この柱の中には、隠れキャラのようにハトホル女神の頭が乗ったものも交じっている。


プトレマイオス1世が神々に生贄を捧げるレリーフ。キリスト教時代に削られてしまったレリーフも。

「イシス神殿」の第1塔門には、プトレマイオス1世が、イシス女神、ホルス神、ハトホル女神に生贄を捧げている巨大なレリーフが描かれている。


思わず柱を見上げる列柱室。

 神殿は第2塔門、列柱室、至聖所と続くが、どれも壁や柱には繊細なレリーフがびっしりと描かれ、比較的新しい神殿ゆえ、保存状態が良好なことに目を見張る。


レリーフがくっきりと描かれているのは、比較的新しい神殿で、保存状態がよいから。

 一番奥まった至聖所では、本来はハヤブサの頭であるホルス神が人間の赤ちゃんの姿でイシス女神のお乳を飲んでいるレリーフも見どころだ。


花を模した柱が美しい「トラヤヌス帝のキオスク」。“キオスク”とは“休憩所”の意味。

 島の東側、船着き場へ戻る途上にある「トラヤヌス帝のキオスク」は、花をモチーフにした柱が印象的。紀元前100年頃にトラヤヌス帝の命で建てられたもので、船着き場に戻ったイシス女神の休息所(キオスク)だとされる。

 実はこのフィラエの神殿、かつては“ナイルの真珠”と称された、緑が美しいフィラエ島にあった。

 ダム建築により半浸水した状態に陥り、さらにアブシンベル神殿同様、アスワンハイダム建築計画で水没の危機にさらされることに。

 ユネスコによって現在の島に移されたが、なんと元の島をフィラエ島と同じ形に作り変えたというから驚きだ。この神殿も世界遺産に登録されている。

カラフルなヌビアの村にお邪魔


ヌビアの村へ向かってナイル川を移動中、観光ラクダの一軍を見かけた。

 タクシーボートでクルーズ気分を味わいながら、ヌビアの村へも訪問。


伝統的なドーム状の天井をパステルカラーで染めたヌビアの村の住居。

 地元のガイドブックによると、アフリカ系のヌビアの人々は、お祭りが大好きで、カラフルな色遣いを好むという。船から対岸を眺めていると、色とりどりのパレットのような家並みが見えてきた。


ヌビアの船着き場近く。土産物店や観光ラクダの人々で賑わっている。

 ヌビアの村の船着き場は観光ラクダの呼び込みとおシャレした眠そうなラクダたち、スパイスや彫像などの土産物店などが並び、黒ずくめの装束の女性たちやツーリストが行き交っている。


土産物店の中に交じって、カラフルなスパイスの露店も。

イスラム教の服をまとったヌビアの女性。カラフルな村の中で黒が目立つ。

 ガイドに連れられ、カラフルな民家のひとつに入る。


天然染料のヘンナ・ペイント。失敗されてしまい、2週間ほど、手を人前に出すのが恥ずかしい状況に……。

 どうもカルチャー体験ができる場所らしく、手の甲に模様を描いてもらう天然染料のヘンナ・ペイントや、魔よけとされるペットのワニの見学、お茶のおもてなしもいただいた。


何が合図だったのか、その場の一同が太鼓に合わせて踊りだした。盛り上がりは周囲を巻き込み、誰もが笑顔でダンス。

 そうこうするうちに、誰ともなく太鼓を打ち鳴らし、そこにいる人々が踊り始めた。まさに“ヌビア人はお祭り好き”のとおり、根っから陽気な人々らしい。

 アスワンでは、移動は陸路よりも、もっぱらナイル川をタクシーボートで。

 エジプトといえば、灼熱の砂漠というイメージがあるけれど、緩やかにながれる川の流れや、河畔や小島を縁取るナツメヤシなどの、風景がすがすがしい。


文明を育んだナイル川。水の眺めに癒される。

 歴史家ヘロドトスは「エジプトはナイルの賜物」という言葉を残した。これはナイル川が氾濫を繰り返し、肥沃な土地が堆積して形成されているという意味だとされる。

 雄大なナイル川をボートでゆったりと進んでいると、歴史家が意図した地勢的な意味のみならず、心を潤す風景も古代エジプト文明を育んだゆえんであるように思えてくる。

【取材協力】
エジプト政府観光局

http://www.egypt.travel/ja


古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/

文・撮影=古関千恵子

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