2018/12/07 18:00

「魔界顔」を持つミステリアスな俳優 玉城裕規のディープな魅力に迫る

 現在、最新出演映画『ONLY SILVER FISH ‐WATER TANK OF MARY'S ROOM』が公開中の俳優・玉城裕規。2.5次元のフィールドを飛び出した舞台「魔界転生」も絶賛上演中、今後の活躍も期待される彼の魅力に迫った第2回。

転機となった舞台
「少年ハリウッド」


――多くの2.5次元舞台に携わられている玉城さんにとって自身の転機となった作品は?

 多くの人たちの目に触れる機会が増えた作品となった「少年ハリウッド」(11年初演)です。伊達竜之介という役は、台本にセリフは書かれているんですけれど、あえて聞き取れない方言で喋るという特殊なキャラクター。地方を転々としている設定なので、沖縄弁が6割で、あとはほかの地方の方言を入れました。役作り的には、あまり周りを考えず、“自由”を、意識しましたね。


――舞台「Messiah メサイア」で演じられた公安四係・周康哉は、「映画版」でも同じキャラクターを演じられました。

「メサイア」は、周という役とともに成長していった気がしますね。なぜかというと、次がどんなストーリー展開になるかは、台本をもらうまで分からないからです。舞台版の演出家さんも作品ごとに代わりますし。そのため、「今後どうなっていくんだろう?」って、自分で想像しながら、役作りをしていくんです。次回作で分かることも多いため”「メサイア」あるある”として、ほとんどの役者さんは「こういう展開になるなら、こういう芝居をしておけばよかった」と後から振り返っているはずです(笑)。とはいえ、それが楽しい作品でもありました。

キャラに似せるなら
とことんやるべき


――2.5次元のキャラを演じるうえで、いちばん心掛けていることは何でしょうか?

 とにかく原作に寄せることを大切にしています。見た目が100パーセントと考えるので。所作や動きは稽古をしながら身に付けていきます。原作となる作品がゲームの場合、ゲームも参考にしますが、静止画が多い原作の場合だと、「こういう動きをするかも?」という自分の想像で演じていますね。少しだけルックスを寄せる程度ならオリジナルでいいと思いますし、やるんだったら、とことんやる。そのなかで、自分がやる意味合いを見つけていきたいと思っています。


――そんななかで、いちばん寄せることが大変だったキャラクターは?

「刀剣乱舞 悲伝 結いの目の不如帰」の小烏丸ですね。引くぐらいガリガリ体型なので、炭水化物抜きダイエットが大変でした。でも、炭水化物を抜くとパワーがなくなるし、頭が回らないので、舞台上でも大変でしたね。しかも、キャラ設定上、ずっとつま先立ちしてないといけなかったりするので(笑)。

謎多き「白ネクタイの男」を
演じた最新出演映画


――今年公開された映画『一人の息子』では、引っ越し業者で働く普通の青年役を好演されましたが、舞台とは違った芝居のアプローチはいかがでしたか?

 これまで舞台でも映像でも、特殊な役が多かったのですが、僕自身、日常を淡々と描いた作品は好きですし、是非出てみたいと思っていたタイプの作品なので、スゴく楽しかったです。じつは2年ほど前に、舞台と映画の芝居の違いについて考えすぎてしまったことがあって。それで相談した先輩から、「カメラマンさんもプロだし、好きにやっていいと思うよ」と言われたんです。その言葉を聞いた瞬間、「舞台、映像とか関係なく、その場にいることを心掛けて、芝居しよう」と、スッキリしました。なので、今ではその違いを意識していません。


――最新出演映画『ONLY SILVER FISH ‐WATER TANK OF MARY'S ROOM』。18年1月に上演された西田大輔さん作・演出の「舞台版」に続いての出演となります。

 キャストも「舞台版」と一緒ですが、どんな願いも叶う一匹の魚を巡る話という設定以外は、まったくの別作品なんです。約1カ月のあいだに、映画の撮影をして、舞台の稽古をして、本番を迎えたので、余計なことを考える暇もなく、とにかくセリフを入れて、2作品を連続してやるという、とても不思議な感覚だったのを覚えています。

「魔界顔」「ダミ声」を武器に
自分しか出せないものを出したい


――本作では、「白ネクタイの男」を演じられていますが、どんな玉城さんが観られますか?

 ホントはもっと泥臭く白ネクタイの男を演じるつもりだったんですが、西田さんから「『アウトレイジ』っぽい」と注意されたので、ちょっと軽い感じになりました(笑)。その場にいるだけで、違和感を与えられるような面白いキャラクターになったと思います。正直な話、僕はこの作品を観て、分からないところだらけだったので(笑)、ご覧になる方には、西田さんが仕掛けた難解な展開に挑んでほしいと思いますね。一回観ただけで分かった人は西田さんと同じ頭の構造をしていると思います。


――今後、どのような俳優を目指したいなど、目標はありますか? また、今憧れている先輩の存在などは?

 今現在「魔界転生」という舞台で、松平健さんや上川隆也さん、浅野ゆう子さん、あと溝端淳平くんといった第一線でやられている方と同じ現場にいさせてもらうことで、各々の個性のスゴさを感じています。そして、改めて「自分であること」が大事だと思いました。その人しか出せないものを大事にしたい。僕の場合は、この舞台の前から言われていた“魔界顔”や“蛇顔”と呼ばれる顔、あとはダミ声などを武器に、これからも頑張っていきたいと思います。


玉城裕規(たまき ゆうき)

1985年12月17日生まれ。沖縄県出身。2011年、舞台「少年ハリウッド」の伊達竜之介役で注目を浴びる。翌12年、舞台「弱虫ペダル」の東堂尽八役でも人気を博し、17年のドラマ「弱虫ペダルSeason2」にも同役で出演。舞台「ライチ☆光クラブ」では、劇中「奇人で変人」ジャイボ役を熱演。辻仁成氏の初の脚本・演出作「海峡の光」にも出演。大ヒットコミックの舞台「曇天に笑う」では主演を務め、18年は映画『ゼニガタ』『一人の息子』に出演するなど、幅広く活躍。19年には、舞台「画狂人 北斎」(2019年1月10日~20日・新国立劇場)、ミュージカル「ふたり阿国」(2019年3月29日~4月15日・明治座)が控える。


『ONLY SILVER FISH ‐WATER TANK OF MARY'S ROOM』

とある洋館に集められた男女の目的は、“オンリーシルバーフィッシュ”という一匹の魚。その魚は本当の名を呼ぶことで、過去を振り返ることが出来ると言われているが、魚の本当の名前を知ることが出来るのは、ゲームの勝者だけだ。最初のゲームは、一斉に指をさして脱落者を一人決めるというもので、開始直前、黒ネクタイの男(松田凌)はユキ(皆本麻帆)が誰を指そうと考えているかを言い当て、負けるはずだったユキを救う。その後も男は彼女を脱落させないため、白ネクタイの男(玉城裕規)らと、誰にも気付かれぬようヒントを与えるが、徐々にゲームの歯車は狂い始める。
http://www.mmj-pro.co.jp/onlysilverfish/
全国順次公開中。
(C)2018「ONLY SILVER FISH」製作委員会

くれい響 (くれい ひびき)

1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

文=くれい響
撮影=佐藤 亘
ヘアメイク=泉脇崇(Lomalia)
衣装=瓢子ちあき

今日の運勢

おひつじ座

全体運

面倒見がよくなっている今日のあなた。下の人に声をかけたり助...もっと見る >