2018/11/27 12:00

恋愛が成就するレストランって? ロマンチックなメキシコの旅へ

 世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。

 第196回は、世界遺産にも登録されたメキシコの古都を、小野アムスデン道子さんが訪ねます。


石造りの建物が並ぶきれいな街


84年の歳月をかけ、18世紀に出来上がったモレリアのカテドラル。

 メキシコシティから飛行機で1時間ほど、メキシコ中央高原のミチョアカン州の州都モレリア。世界遺産の歴史地区にスペイン植民地時代の石造りの建物が並ぶきれいな街だ。

 メキシコ独立革命の英雄ホセ・マリア・モレーロスにちなんでモレリアと名づけられたこの街から、愛の小径、恋愛成就レストラン、コロニアルなホテルと、ロマンチックなスポットをご紹介。


噴水もあって居心地のよいピジャ・ロンヒン公園。大樹の陰で休む市民も。

 カンテラというピンクがかった石材で造られた重厚な建物、石畳の路、緑の公園と、モレリアの街は、歩いていてとても落ち着く。

 モレリアの象徴ともいえる2つの塔を持つカテドラルや、18世紀に建てられた州庁舎、メキシコ独立革命の指導者を輩出したサンニコラス大学、253本のアーチを持つローマ式の水道橋など、歴史的にも価値ある世界遺産の街は、16世紀以降のスペイン植民地時代の姿を今に伝える。

 と同時に、ラテンの国らしいロマンチックな風情があちこちに顔を見せる。


ローマ式水道橋は、20世紀初頭まで実際に使われていた。

 18世紀に造られたローマ式水道橋は、今は優雅なカーブを描く街のモニュメントのよう。



左:この通りが愛の小経。
右:この小経にある十字架には、カップルが絆を誓った愛の錠前を付けていく。

 このすぐ近くの横道は、昔は名産の石鹸を作る工房だった石造りの古い建物が両側に立ち、花と緑に彩られてとても美しい。ここは愛の小径と名づけられ、恋人たちが愛をささやく場になっている。噴水もあって、街中の通りなのにロマンチックな雰囲気が漂う。

 今回、モレリアを訪れた目的は、ここで開催された「魔法の村フェスティバル」。

 魔法の村と言っても、魔法使いがいるわけではない。メキシコ観光局が「魔法がかかっているように魅力的な村」と認定した村や自治体で、その数約120。

 メキシコ全州にある魔法の村が、毎年フェスティバルに大集合、文化や歴史、名産品や伝統の食などをアピールする。ミチョアカン州には、8つの魔法の村がある。モレリア自体は大きな街なので魔法の村ではないが、フェスティバルの会場となったのだ。

 モレリアには、スペイン植民地時代からの建物が多く残っているが、そのスペインからの独立運動を指導したホセ・マリア・モレーロスの生地でもある。

 生家(実際には彼が生まれた病院の建物)や後に住んだ家を改築したモレーロス博物館もある。生家にはモレーロスの像が展示されているが、定時に作動する驚くべき仕掛けがあってかなり見もの。


トレードマークのスカーフを頭に巻いたモレーロスが座っているが……。

なっ、なんと急に立ち上がって革命の演説を始める! かなりリアル。

メキシコのアートであふれかえる
恋愛成就レストランへ


メキシコの有名な祭り“死者の日”が近いのでカトリーナ(骸骨の貴婦人)がお出迎え。

 モレリアでぜひ訪れたいのが、地元でも人気の恋愛成就レストラン「レストランテ・サン・ミゲリート」。

 まず、職人の手によるカラフルなアートや工芸品の装飾であふれかえっている店内に驚かされる。


ダイニングチェアも、骸骨やフリーダ・カーロなどを描いたメキシコらしい絵で彩られている。

 コーナーごとにも雰囲気を変えたコーディネートがされていて、さらに2、3カ月ごとにすべて装飾を入れ替えるというこだわり。テーブルごとに異なった家具が使われていて、賑やかなメキシコアートのギャラリーのよう。


店の奥にある逆さ吊りの像にぎょっとするが、この方が恋愛の聖人。

 そして、何といってもココのいちばん人気は、恋愛成就コーナー。

 店の奥に、奇妙な神父の逆さ吊りのような像があって、よく見ると壁の絵や置物やらものすごい数の逆さまの神父様が並んでいる。この方は”聖アントニオ・デ・パドゥア”という恋愛・縁結びの聖人なのだ。


周りを見渡せば、おびただしい数の聖アントニオ像が並んでいる。

 まずは、大きな像の下に置かれた本に恋愛のお願いを書いて、そのお願いを唱えながら像の周りを1周するごとにコインを置いていく。13周回れば、その願いがかなうという。


聖アントニオ像に混ざって、恋愛成就したカップルから寄せられた幸せそうな写真も。

 実際に願いがかなってゴールインしたカップルの写真も飾られていて、なかなか霊験あらたかなよう。700以上置いてあるという聖アントニオ像が恋愛を見守ってくれるのかもしれない。


まずは皿に盛られた前菜で、ビールやマルガリータを。

 レストランであることを忘れてしまうぐらい迫力のある恋愛成就コーナーだが、料理もとてもおいしい。

 トルティーヤにチョリソーやチキン、チリ、トマトにチーズなどを載せた前菜は、ミチョアカン州の名産であるアボカドを使ったグアカモレがぴったり合う。

Restaurante San Miguelito
(レストランテ・サン・ミゲリート)

所在地 Av. de las Camelinas S/N, La Loma, 58290 Morelia, Michoacán
電話番号 0443-324-2300
https://sanmiguelito.com.mx/

コロニアルなホテルの
インテリアにうっとり


「ホテル・デ・ラ・ソレダ」のエントランス。

 世界遺産に登録されているモレリアの歴史地区にある1752年開業のコロニアルなホテル「ホテル・デ・ラ・ソレダ」は、時を遡ったかのような格式を感じる建物にモダンなインテリアがマッチして素敵。


カンテラの石造りが、格の高さを感じさせる。

 世界的なホテルブランドである“スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド”にも加盟している瀟洒なホテルで、エントランスから噴水のある中庭に進むと、そこはもう別世界という感じ。


入ってすぐの緑と花が彩る中庭の素敵な雰囲気にうっとり。

 中庭には噴水があって、緑と花に彩られている。

 そんな中庭を望んで食事ができるダイニングの洗練された料理も魅力的だが、きりっとしたマルガリータのおいしさは特筆に値する。


フローズン・マルガリータは、きりっとしていて香り高く、おいしさにうなる。

お料理は、メキシコ料理をベースにしたインターナショナルな味。チキンのベーコン巻きグリーンチリソースは、スパイシーさはあっても辛くはない。

 客室など建物内は、完全にモダンに改装されているが、歴史地区にあるホテルだけあっていろいろと制約もあったそう。また、わざと歴史的な建物の一部をそのまま生かした内装デザインにしているところも。


ダイニング内の壁の一部は、創業時からの十字架をそのまま生かしてリノベーション。

 約20平米と小ぶりながらキングベッドを備えるゲストルームから、約50平米のスイートまで、全40室の客室は、歴史的建造物とモダンなインテリアがお互いを生かしあって、とても洗練されている。



左:石や木材の歴史を感じる重厚さの中に、モダンなデザインのモチーフがアクセントとなっている。
右:洗練されたインテリア。

 中庭を見下ろす2階の回廊の手すりにはブロンズの鳩がデザインされていて、こんなところもロマンチックな遊び心を感じさせる。


中庭を見下ろす手すりには、寄り添い合うハトの彫刻が。ロマンチックなモチーフがあちこちに。

 レストランテ・サン・ミゲリートで恋が成就したなら、このホテルに泊まって愛を深めたい感じ。

 メキシコのモレリアは、コロニアルで歴史を感じさせる街の中、ロマンスが生まれる予感がした。

Hotel de la Soledad
(ホテル・デ・ラ・ソレダ)

所在地 Ignacio Zaragoza 90, Centro Histórico, 58000 Morelia, Michoacán
電話番号 0443-312-1888
http://beta.visitmexico.com/ja/

【取材協力】
メキシコ観光局 

http://www.visitmexico.com/


小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)

ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

文・撮影=小野アムスデン道子

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