2018/12/05 20:00

ピカソ、ダリ、ミロの名画に親しみ マドリードで文化芸術の底力を実感


古くて美しい建物がそのまま使われていて、散策しているだけでも楽しい。

 スペインのほぼ中央にある首都マドリードは、スペインの文化・経済の中心地だ。

 大航海時代の16~17世紀に栄華を極めた街でもあり、当時の美しい建築物や庭園が今も残されていて、旅行者でも気軽に観光することができる。まずは街の要所をご紹介しよう。


マヨール広場の青空オーケストラ。広場全体を和やかな雰囲気にしてくれていた。

 マヨール広場は、かつては街の公示の場であり、闘牛や祭りが催され、市場が開かれていた場所だ。この日は週末ということもあって大勢の人々が集っていた。


暖かい日差しを浴びながらランチを楽しむ人々。週末だからか、美味しそうに昼ビールを飲んでいる人もいた。

 カフェでおしゃべりしたり、ショッピングアーケードで買い物をしたり、しきりに写真を撮ったり。大きな広場の一角ではミニオーケストラが青空コンサートを開いている。美しい BGMも手伝って、広場は笑顔であふれていた。


美しく手入れされたレティーロ公園の花壇。かなり広いので時間をかけて楽しみたい。

 レティーロ公園は、カスティーリャ王国のフェリペ4世のために17世紀に造られた王族の公園。今は一般公開されていて市民の憩いの場となっている。


週末ということもあり、公園内の池にはたくさんのボートが浮かんでいた。

 四季折々の花が美しく手入れされた公園内には、温室のクリスタル館や、アルフォンソ12世の記念碑を囲む池、カフェなどがあり、池ではボートに乗ることもできる。


オリエンテ広場のフェリペ4世の騎馬像と王立劇場。

 数々のオペラが上演される王立劇場は、1850年に建てられた歌劇場。現在はオペラだけでなく、音楽コンサートやバレエなども催されている。


ロビーの吹き抜けは曲線美が素晴らしい!

館内にはいくつものボールルームがあって、名画が飾られている。

 1997年に改装されたものの、ボールルームなどは改装前の姿をそのまま残している。かつてのダンスホールはレストランとなっている。


絵画が描かれたグランドピアノ。どんな優美な音がするのだろうか。

 また、劇場の歴史や、舞台機構の図解など、さまざまな裏側を知ることができる情報室もあって、舞台を観るためだけでなく、見学するだけでも訪れる価値がある建築物だ。

 館内を一通り案内してくれるガイドツアーも毎日開催されている。


建物の大きさに圧倒させるアルムデナ大聖堂。王宮の隣に建っている。

 もうひとつ、マドリードを代表する建築物が、アルムデナ大聖堂。1879年に設計され、1883年に着工し、110年後の1993年に完成した。


聖堂内に入ることもできる。

8世紀にこの場所に隠され、11世紀に奇跡的に発見されたという白いマリア像。

 当初設計されたフランス・ゴシック様式は、紆余曲折の後に変更され、最終的に1944年に公募して現在の建築デザインが決められた。地下にはネオ・ロマネスク様式の大規模な埋葬所がある。

 大聖堂は、外からは全体を見ることが難しいほど壮大な規模。中に入ってその大きさを実感してほしい。

Teatro Real(王立劇場)

所在地 Plaza de Isabel II, s/n, 28013 Madrid
http://www.teatro-real.com/en/

有名なプラド美術館の向かいにも
見逃せない美術館が!


プラド美術館の正面玄関とベラスケス像。ほかのふたつの入口にも、それぞれゴヤ、ムリーリョの銅像がある。

 マドリードには大型美術館がいくつもある。

 なかでも、スペインを代表する美術館で、世界有数のコレクション数を誇るのがプラド美術館。館内が撮影禁止なので今回は詳しくご紹介できないが、マドリードで最初に訪れたい美術館だ。

 3万点を超えるコレクションは、もともとスペイン王家が所蔵していた絵画コレクションを中心として、1818年に美術館として開館した。美術の教科書で見たことがあるような名画を多数鑑賞することができる。

 建物はもともと1785年に自然科学博物館として建てられたもの。建築物としても一見の価値ありだ。

Museo Nacional del Prado
(プラド美術館)

所在地 Paseo del Prado, s/n, 28014 Madrid,
http://www.museodelprado.es/en/


3階建てのティッセン・ボルネミッサ美術館は遠くからでも目立つ配色。この部分が改装時に残されたファサードだ。奥に見える白い建物が2004年に造られた新館。

 プラド美術館のすぐ向かいにあるティッセン・ボルネミッサ美術館は、その名の通り、もともとティッセン・ボルネミッサ男爵の個人コレクションだった作品を展示している美術館だ。


美術館外観の色と同系色の、淡いオレンジの壁に絵画が飾られている。

 親子二代にわたって収集した膨大な絵画コレクションを、スペイン政府が買い取って美術館に所蔵したもの。13世紀から20世紀の後半まで、800点を超える絵画、彫刻、タペストリー、オブジェなどが展示されている。


イタリアのドメニコ・ギルランダイオが1480~90年に描いた「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」。写実的な表現が特徴だ。

裸婦像のコーナーでは、バックライトを当てられた展示もある。

 本館は、もともと貴族の邸宅だった建物を改装して1992年に造られた。改装と言っても、ネオ・クラシック様式のファサード以外は近代的な美術館に生まれ変わっている。2004年には男爵婦人のコレクションを展示するための新館も完成してさらに充実した。


エドゥアール・マネの「乗馬服の女」。1882年の晩年に描かれた四季をテーマにしたシリーズのうちのひとつで、未完成作品。

フィンセント・ファン・ゴッホの「オヴェールの風景」。この地で1890年に自殺を図ったゴッホが、最後に描いたいくつかの絵のうちの1作。

 コレクションは年代順に展示されている。エレベーターでまずは3階へ。そして下に降りてくるという順路だ。


フランスの印象派を代表する画家、彫刻家の、エドガー・ドガが描いた「緑の服の踊り子」。数多くの踊り子の絵を描いたドガの代表作のひとつ。大胆な構図と柔らかな色使いが特徴だ。

パブロ・ピカソの「鏡をもつアルルカン」は、1923年にアルルカンを描いた3作のうちのひとつ。他の2作はパリとスイスのバーゼルにある。3作のうちでもっとも自然な表情を描いている。

 エル・グレコ、ムリーリョ、マネ、ゴッホ、ドガ、ルノアール、ミロ、ダリ、ピカソなど、歴代の名画家の作品も多く、その質の高さもこの美術館を見逃せない理由のひとつ。


スペインのカタルーニャ地方出身の画家ホアン・ミロの、1955年の作品「月光で盲目になった雷鳥」。ミロはシュールレアリストの中でも異彩を放っている。

20世紀のポップアーティスト、ロイ・リキテンスタインの「入浴する女」。

Museo Thyssen-Bornemisza
(ティッセン・ボルネミッサ美術館)

所在地 Paseo del Prado, 8, 28014 Madrid
http://www.museothyssen.org/en/

ソフィア王妃芸術センターで
ピカソの「ゲルニカ」を拝む


ソフィア王妃芸術センターは、古い建物に2本のスケルトンタイプのエレベーターがアクセントになっている。

 ソフィア王妃芸術センターは、もともと病院として使われていた18世紀の建物を改装し、ガラス張りのエレベーターを取り付けて1992年に開館した近現代美術館。フアン・カルロス1世の王妃ソフィアの名前が付けられている。


建物がロの字型になっていて、中庭に面した回廊沿いに展示室が並んでいる。

 建物自体はロの字型になっていて、中央に中庭があるという造り。エレベーターを降りて廊下を歩きながら展示室を見終わると、もとのエレベーターにもどるという具合だ。2階と4階が常設展となっている。


大小さまざまな展示室があるので、お目当ての絵を見逃さないように気をつけよう。

 所蔵されているのは20世紀の現代美術を中心とした作品が2万点以上。絵画、版画、デッサン、写真、彫刻、ビデオなど多岐にわたる。なかでもピカソ、ダリ、ミロの作品を多く所蔵していることでも知られる。


スペインを代表する画家、パブロ・ピカソが、青の時代と呼ばれる1901年に描いた「青衣の女」。20歳の時の作品だ。

パブロ・ピカソの「静物(死んだ小鳥)」。1912年、立体派という意味のキュビスム後期の作品。造形を一度分解して再構成するという手法で描かれている。

 もっとも人気が高いピカソの「ゲルニカ」は撮影禁止。それでも常に大勢の人々に囲まれているので、一番前で鑑賞したい場合は前の人が満足して立ち去るのを気長に待とう。


サルバドール・ダリの「窓際の少女」。ダリと言えばシュールレアリズムの絵が有名だが、妹をモデルにして、1925年、21歳の時に描いた作品。

サルバドール・ダリの「大自慰者」は、シュールレアリズム初期の作品。「窓際の少女」の4年後の1929年に描かれた。中央にあるのは故郷カタルーニャの海岸の岩であり、横顔の自画像だという。

 もともと病院だったこともあり、展示室は比較的小さな部屋に分かれていて、一度廊下に出て次の部屋に行く、という順路が多い。

 時間がなくてお目当ての作品だけ観たいという場合は、廊下や展示室にいる美術館員に聞くといい。たいがいはどの展示室にあるか、番号を教えてくれる。


ホアン・ミロの「ペインティング(パイプをくわえた男)」。「ミロの夢絵画」と呼ばれた時代の、混沌とした象徴的な作品を多く描いていた1925年の作品。

 展示室を回り終えたら中庭にも出てみよう。樹木の合間にミロの彫刻作品などが展示されている。展示室で見る作品とはひと味違う芸術鑑賞を楽しむことができる。


中庭に飾られたホアン・ミロの「ムーンバード」。1966年の青銅製の作品だ。

 入館が無料になる曜日や時間帯があるので事前に確認してから行くといい。この日は夕方19時から無料ということで、19時前に長い列ができていた。

Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía
(ソフィア王妃芸術センター)

所在地 Calle Santa Isabel, 52, 28012 Madrid
http://www.museoreinasofia.es/

【取材協力】
イベリア航空

http://www.iberia.com/


たかせ藍沙 (たかせ あいしゃ)

トラベル&スパジャーナリスト。渡航約150回・70カ国、海外スパ取材約250軒超、ダイビング歴約800本超。日々楽しい旅の提案を発信中。著書は『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社)、薔薇でキレイになるためのMOOK『LOVE! ROSE』(宝島社)など。楽園写真家・三好和義氏と共著の『死ぬまでに絶対行きたい世界の楽園リゾート』(PHP研究所)は台湾と中国で翻訳出版、第2弾『地球の奇跡、大自然の宝石に逢いに… 青の楽園へ』(PHP研究所)も中国で出版された。新刊『ファーストクラスで世界一周』(ブックマン社)発売即重版決定!
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文・撮影=たかせ藍沙

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