2018/12/13 20:00

フラメンコの衣装の重さに心底驚き 歌と踊りに興奮するマドリードの旅

バリエーション豊かな
衣装にびっくり


「マティ」は、二股に分かれた道の間の三角形をした古い建物の中にある。

 スペインと聞いてフラメンコを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。フラメンコの発祥はスペイン南部のアンダルシア地方。アンダルシアの民族性に、ロマ族、アラブ系民族の影響が加わり生まれたと言われている。


ズラリと並んだカラフルなフラメンコの衣装。すべてデザインが違う。

 フラメンコの衣装を扱う「マティ」に行ってみた。広い店内にはズラリとフラメンコ衣装がハンガーに掛けられて並んでいる。ラックから1着外して見ようとすると店員さんに止められた。「私がお見せするから自分で動かさないで!」と。

 実は私の行為は大惨事を招きかねないのだった。フラメンコの美しく広がるスカート「ファルダ」に使われる生地はかなりのボリューム。それぞれがとても重いのだ。うかつにハンガーを引っ張ると、長いハンガーラックが自分に向かって倒れてしまって大惨事となる。

 店員さんに手渡された衣装はもの凄く重かった。これを着て軽やかに踊ることができるなんて凄い!



左:スカートの裾が長くて大きく広がるようになっているのがフラメンコ衣装の特徴だ。
右:こちらは街着としても着ることができそうなデザイン。

 衣装には流行があり、今年は水玉などの普通の服のような柄や、上下に分かれたデザインなどが人気だという。


人気のデザインのうちの1着をお店の方に着て見せてもらった。黒い衣装に赤いショールが情熱的だ。

 長いスカートとともに欠かせないのは「マントン」と呼ばれる大判の四角いショール。ショールの売り場の無数の引き出しの中には様々な色や柄のショールがあり、好みを伝えると店員さんが出してきてくれる。


こちらはショールのコーナー。テーブルに広げて見せてくれたのは、黒地に見事な刺しゅうが施された豪華なショール。

「一番値段の高いショールを見てみたい」とお願いすると、見事な刺しゅうが施されたショールを見せてくれた。こんなゴージャスなショールならシンプルな衣装に合いそう。ショールだけ買って、パーティドレスに合わせるのもいいかもしれない。


靴のコーナーにあるのは裏にビスが打たれたフラメンコ用の靴。

 ちなみにこの店、フラメンコだけでなく、クラシックバレエの衣装や各種コスプレの衣装、子供用の衣装も扱っているので、見るだけでも楽しめる。

Maty(マティ)

所在地 Hileras, 7 - 28013 Madrid
http://www.maty.es/

160年目の老舗専門店で
スペイン扇子鑑賞


1858年にオープンした扇子専門店「カサ・デ・ディエゴ」。

 次に行ったのは「アバニコ」専門店。「アバニコ」とは扇のこと。いわゆるスペイン扇子だ。


店の前の石畳には、マドリードで100年以上続く老舗の前に埋め込まれるプレートがあった。

 扇子のルーツは平安時代と言われている。文字を書くための檜の板(当時、紙は貴重品だった)を重ねて作った檜扇と呼ばれるものだ。

 その後、5~6本の細い骨に紙を貼った扇が作られるなど、変化していった。ヨーロッパに伝わったのは、16世紀の日本とポルトガルの交易が始まった頃。そこからスペインへと伝わりフラメンコを踊るときに使われるようになったのだという。


マドリードに2店舗あり、こちらはメソネロ・ロマノス通りのほう。カサとステッキはここで作られている。

 扇子の専門店「カサ・デ・ディエゴ」は1800年創業の老舗。1858年にソル広場に面した現在の場所にオープンした。


店内には、アンティークの扇子をはじめ、芸術作品のような扇子がズラリと飾られている。

アンティークの扇子に描かれた絵は、美術館に飾られていてもおかしくないクオリティの高さだ。

 今でもひとつひとつ職人さん達が手作りで製作する扇子は、まるで芸術作品のよう。とくにショーウインドウに飾られたアンティークの扇子は、扇子として使うのではなく、飾っておきたい美しさだ。


こちらは現代の扇子。レースのように彫られた木のベースに美しい絵が描かれている。

 店内には、扇子のほかにも、雨傘、日傘、ステッキ、ショール、カスタネットなども並んでいる。ステッキの持ち手の装飾は、職人技が存分に生かされていて素晴らしい。


店内には様々な手作りの傘も陳列されている。

 1939年オープンしたメソネロ・ロマノス通りの2店舗目は、傘とステッキの工房を併設している。店内にはたくさんの傘やステッキが、木製の棚に並んでいた。こんな傘を持っていたら雨の日が待ち遠しくなりそうだ。

Casa de Diego ソル広場店
(カサ・デ・ディエゴ)

所在地 Puerta Del Sol, 12 - 28013 Madrid

Casa de Diego メソネロ・ロマノス通り店
(カサ・デ・ディエゴ)

所在地 Mesoneros Romanos, 4 - 28013 Madrid

http://casadediego.info/en

目の前で繰り広げられる
歌と踊りに圧倒される


「コラル・デ・ラ・モレリア」の入口にはフラメンコフェスティバルのポスターが飾られていた。

 フラメンコの衣装とスペイン扇子を見て、予備知識はそこそこ得られた。そこで、夜は生のフラメンコを観に行くことにした。

 マドリード王宮に近い歴史地区にある「コラル・デ・ラ・モレリア」は、フラメンコのステージを楽しむことができるタブラオだ。「タブラオ」とは、フラメンコショーのあるバーやレストランのこと。


ショーが始まる前のステージ。歴史を感じさせる設えに期待が高まる。

「コラル・デ・ラ・モレリア」は、1956年にオープンしたマドリードでもっとも古いフラメンコタブラオのひとつ。数々の有名ダンサーを世に送り出してきた。


前菜のエスカリバーダ。野菜をオーブンで焼いてマリネ液に浸したスペイン料理だ。食事は前菜、メイン、そしてデザートのコース。前菜とメインは2種類から選ぶことができる。

 テーブルに座ると、まずはプリフィクスコースの前菜とメインを選ぶ。料理が運ばれてきて食事をしていると、食べ終わる前にショーが始まってしまった。

 料理も丁寧に作られていて美味しいのだけど、暗くなってしまうし、ステージに魅入ってしまうと食事どころではなくなってしまった。


ショーが始まった! ギターと男性の歌。これもかなりの迫力!

 最初の歌と、踊りの1曲目までは写真撮影OKなので、写真を撮りたい場合はその間に。その後のショーは踊り手の集中力が高まり、さらに観客を引き込んでいく。

 ギターと生の歌声、そこにカスタネットや足を踏みならす音。昼間見た、フラメンコ用の靴の裏に打ち付けられたビスが叩き出す音が、ステージで観客を魅了するのだ。

 情感たっぷりに美しく舞う踊り手と、それらの歌と音のすべてがひとつになったときにフラメンコという芸術になるのだと実感。


学生のようにも見えた女性が、踊り出すと情感たっぷりの大人になった!

 この日の夜の踊り手は、女性2人と男性1人。最初に踊り始めた女性は、ステージに上ってきたときには、女子学生のような、若くてやさしい顔つきだったのだが、踊りが始まると情念があふれ出し、何かに取り憑かれたかのような素晴らしい踊りを見せてくれた。


小さなステージいっぱいに踊るフィナーレは大迫力!

 その迫力のあまり、食べかけの料理のことを忘れてしまう人が続出だ。それぞれのソロも見とれてしまったが、最後は3人一緒にフイナーレの踊り! これがまた迫ってくるような気迫で圧倒されたか! 

 店の外に出ると、スポーツ観戦の後のような、ステージと一体化した後の心地よい爽快感があった。スペインに行ったら、滞在中1回は必ずフラメンコタブラオに行ってほしい。

Corral De La Morería
(コラル・デ・ラ・モレリア)

所在地 C/ Morería, 17-28005 Madrid
http://www.corraldelamoreria.com/jp

【取材協力】
イベリア航空

http://www.iberia.com/


たかせ藍沙 (たかせ あいしゃ)

トラベル&スパジャーナリスト。渡航約150回・70カ国、海外スパ取材約250軒超、ダイビング歴約800本超。日々楽しい旅の提案を発信中。著書は『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社)、薔薇でキレイになるためのMOOK『LOVE! ROSE』(宝島社)など。楽園写真家・三好和義氏と共著の『死ぬまでに絶対行きたい世界の楽園リゾート』(PHP研究所)は台湾と中国で翻訳出版、第2弾『地球の奇跡、大自然の宝石に逢いに… 青の楽園へ』(PHP研究所)も中国で出版された。新刊『ファーストクラスで世界一周』(ブックマン社)発売即重版決定!
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ブログ http://ameblo.jp/aisha
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文・撮影=たかせ藍沙

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