2018/12/13 15:00

「下町ロケット」の出演俳優による 「太陽にほえろ!」のリメイクを妄想

80~90年代の再ブームネタに
感涙した秋ドラマ


織田裕二。私生活が全く想像つかないのもこの人の魅力である。コンビニでからあげとかおでんとか絶対買ったりしないんだろうなあ。

 心にすきま風がガビュンガビュン入り込む秋冬の夜長。寂しい独身アラフィフの心を慰めてくれるもの。それはドラマ!

 しかも新聞広げながら「ヨッシャヨッシャ今日は『リーガルV』」とかいいながら見ることに幸せを感じる世代である。皆さんはなにが好きでしたか。

「科捜研の女」? わかるわ沢口靖子の安定感はスゴい! 「獣になれない私たち」? 確かにガッキーは裏切らんですな! 

 私にも言わせてプリーズ。今クールは80年代、90年代の匂いを感じる再ブームネタが多くて祭りでしたからッ。

 まずこれを書かなくて何を書くかよ月9の「SUITS/スーツ」。

 27年ぶりの織田裕二と鈴木保奈美。カンチとリカのコンビがまた拝めるとは。ナイスキャスティング、グッジョブフジテレビ!

 超高そうな服を着てどこまでもアメリカンなボディランゲージとジョークをかっ飛ばすユージと保奈美のオレオレ演技。

 実際に知り合いにいるととてつもなく面倒臭いタイプだろうが、見ているぶんには最高に爽快であった。


「今日から俺は!!」の三橋役でコミカルな演技が見事な賀来賢人。12月24日(月・祝)放送の「犬神家の一族」では、犬神佐清役を演じる。シリアスなサスペンスドラマ、しかもキーマンである。「いつ白目で踊り出してくれるか」などと期待せず、真っ白な心で鑑賞したいところだ。

 日曜22時半からの「今日から俺は!!」もよかったなあ。

 今さら80年代ヤンキー物語なんざウケるはずがないと思った放送前の私の後頭部をドリブルしたいぜ主題歌が「男の勲章」という時点でイカシてるじゃねえか愛羅武勇。

 伊藤健太郎さんのファンになっちまったぜこの溢れる気持ち仏恥義理。

 これをやるんなら主題歌が「ジェームス・ディーンのように」だった、ドラマ「茜さんのお弁当」もリメイクしちゃいなよYOU! 『ビー・バップ・ハイスクール』『湘南爆走族』も見たいぜ夜露死苦!


阿部寛。「MEN’S NON-NO」時代から応援していたが、映画『はいからさんが通る』の時には演技が棒でまさかこんなスゴイ俳優さんになると思わなかった。いやもうその才能甘く見ていてsorry阿部ちゃん!

 じっくり語り合いたいのは日曜21時「下町ロケット」。

 重要キャストに昭和の大スターを配し、演技を自由にさせた結果、各々がオレオレ重厚な芝居を炸裂。それを有望な若手俳優が脇で健気にフォローするという、歌番組でいうと「思い出のメロディー」的バランスが見事であった。

 その愛しくて切なくて暑苦しいキャストをぜひもう一度振り返ろうではないか。

悪役がイキイキしていた
「下町ロケット」


2018年いっぱいで「ピーター」の名前を卒業し、本名の「池畑慎之介」で統一することを発表したピーター、いや、池畑慎之助。役者としてももちろん素晴らしいが、彼の地を這うような低音は歌謡界の宝。「人間狩り」は名曲なのでぜひ聴いてほしい!

「下町ロケット」で毎度物議の種になるのが「悪役イキイキし過ぎ問題」。

 前半の「ゴースト編」では悪だくみをまったく隠そうとしない弁護士の池畑慎之介を中心に、内場勝則、古舘伊知郎がケッケッケと盛り上がり、後半「ヤタガラス編」では福澤ジャストミート朗がモニカ(吉川晃司)に嫌味タラタラ絡みまくり、これまた料亭で悪役が「ケッケッケ」会議。

 もはや平成の物語にあらず。時代劇であった。

 途中でいきなり闇落ちするギアゴースト伊丹役の尾上菊之助に至っては、TV用演技からいきなり歌舞伎演技にチェンジ・ザ・ワールド。「伊丹さんになんか妙な霊が取り憑いた」と驚き、霊媒師が登場する展開を予想したのは私だけではないはずである。


吉川晃司。今や白髪が似合う芸能人といえば、男性はこの人、女性は草笛光子である。

 抑えた演技なのに誰よりも熱かったのが財前部長役のモニカこと吉川晃司である。

 若かりし頃「ザ・ベストテン」でロープにターザンの如くぶら下がりながら歌うという演出で、勢いがつき過ぎ、司会の黒柳徹子をあやうく蹴りそうになったヤンチャな姿を思い出し、目頭が熱くなった。落ち着きはしたが、昔も今も人の心を奮い立たせる魅力があるスターだ。

 そのほか、ちょいと登場するだけのシーンでも己の主演舞台に変えていた藤間社長役の杉良太郎。

「ヤタガラス編」では大江戸捜査網さながらにグイグイと部下のトラクターやらかし案件を追い込んでいた。テレビに向かって「いよっ、杉様!」と黄色い歓声をあげていたマダムも多数いたことだろう。


神田正輝。私は神田沙也加嬢の大ファン。彼女のニュースやインスタで神田正輝が出てくると親子仲良さそうでまあ微笑ましい微笑ましい。

 そんな濃いにもほどがあるキャストの中で、特に私のハートにジャストミートしたのは帝国重工の的場取締役、神田正輝である。

 同じ石原プロモーションの徳重聡がキモキャラを演じ「怪演」と評判になったが、いやいや神田正輝が100倍コワかったわ!

 中尾彬を邪険に扱う正輝。ロケットの打ち上げを見て、笑顔から口がへの字にひん曲がっていく正輝。佃社長(阿部寛)を「わかってるのかなぁ?」とねっしょり責める正輝!

 嗚呼、どれもナイス陰険。私の歪んだハートはトキメキ無限大でギブミー救心……。

 こうも神田正輝のレベルアップを見てしまうと、渡哲也御大の復帰を待ち、舘ひろしも合流させ、ガッツリ石原軍団のドラマを見たくなるというのが中年の心というものである。

 12月2日(日)からNHK BSプレミアムにて、石原軍団多数出演のプレミアムドラマ「クロスロード3 群衆の正義」も放送されている。風はまちがいなく熱い男たちの背中を押している!

 ならばもしかしてあの伝説のドラマの続編も可能なのかもと心浮き立たせてしまうのも中年の心というもの。

リメイクが難しい
石原軍団の刑事ドラマ


左は「太陽にほえろ! ドック刑事のテーマ」、右は「太陽にほえろ!2 オリジナル主題曲集」。「2」のジャケット下部にはヤマさんなら「ベテラン刑事」、デンカには「若くて二枚目」など簡単なメンバー紹介が記されているのだが、ゴリさんの紹介は「食欲旺盛」。もっと他になかったのだろうか。

 石原軍団伝説のドラマといえば「太陽にほえろ!」と「西部警察」。

「西部警察」――。凶悪犯を捕まえるため車をドッカンドッカンクラッシュさせ、団長がライフルを撃ちまくり、逆に市民を危険に晒すという、熱過ぎる刑事のストーリーだ。残念ながら絶対リメイクできない。時代が許さない。

 それに比べ「太陽にほえろ!」は人間ドラマがメインなのでリメイクも続編も可能。実際、七曲署のその後を描いたスペシャルが何度か放送されているようだ。


舘ひろし。彼がもし「下町ロケット」に出演していたら、佃製作所の開発したトランスミッションをバイクに仕込みそうである。それほどいまだに「バイクといえば舘」というイメージがあるのは私だけか。

 ウィキペディアで「七曲署捜査一係」を確認しただけでも、ボスは思いきり想定内の舘ひろし、特殊急襲部隊狙撃班なのに、犯人を射殺しPTSDで銃が撃てなくなった過去を持つという、任務と性格が絶望的に合っていない設定の吉田栄作、「デカ長」というなんのヒネリもないニックネームをつけられた石橋蓮司、似顔絵が得意な刑事として黒鉄ヒロシ登場など、方向性として守りに入るか攻めに出るか壮絶な葛藤があっただろう痕跡が窺える。

 今の時代これだけの名作の続編を作るなら、制作陣とキャストは想像を絶するプレッシャーと、ネットで火だるまになる覚悟をせねばなるまい。が、私は見たい。

 というのも、「下町ロケット」の佃プライドキャスティングにその可能性が輝いていたからだ。

 凄みを増した神田正輝には舘ひろしとともに本庁のド偉いさんを演じてもらえれば、それだけでもドラマに厚みが出る。七曲署ボスに阿部寛、若手育成に長けた良い兄貴分、2代目ゴリさんに安田顕はハマる。

 あとは「下町ロケット」の設定をそのままいただき、お金にしっかりしている刑事「トノさん」(立川談春)、頭はいいが社会的常識に欠ける一匹狼刑事「オタク」(徳重聡)、熱血で俊足の新人刑事「リクオー」(竹内涼真)、と少々番組はズレてきたが、キャスト陣がほぼスライドできるではないか。

 しかし「下町ロケット」はTBS、「太陽にほえろ!」は日本テレビ。局の垣根をどう超えるか……。ああ考えたら夜も寝られなくなっちゃう(by 春日三球・照代)!

 ともかく私は結果的に炎上丸焼けになろうが、「七曲署NEO」が見たい。上記のキャスティングに渡哲也御大が意外性溢れる「刑事以上に街の裏側を知る謎の情報屋」、大好きな緒形直人が2代目山さんとして「話は聞いた……」をやってくれれば、どれだけ脚本がオンボロロでも、私は最終話まで必ず見ることを約束する!


左は「太陽にほえろ!」のプロデューサーだった岡田晋吉さんによる裏エピソード満載の『太陽にほえろ!伝説―疾走15年 私が愛した七曲署 増補決定版』(日本テレビ)、右は『太陽にほえろ! ベスト オリジナル・サウンド・トラック』。有名にもほどがあるオープニング曲に、ベースとして岸部一徳さんが参加していると知った時興奮で鼻血が出そうになりました。

「太陽にほえろ!」は殉職シーンが有名だが、この場を借りてラガーこと渡辺徹の殉職シーンの思い出も共有したい。犯人を追って銃弾を浴びエレベーターで倒れ込み、彼の巨体を挟んでドアがガッコンガッコン開閉を繰り返す、というこれ以上なくビッグ・ボディを生かした殉職シーンであった。

 ところがその後、同じ演出を私はまさかのハリウッド映画『ディパーテッド』で目にすることになる。ラストシーンでディカプリオが全く同じ死に方をーッ(驚)!

 も、もしかして、監督のマーティン・スコセッシは「太陽にほえろ!」のファン? たまたま一緒になっただけの確率が限りなく高いが、想像するのは自由である。

 インタビューでもしマーティン・スコセッシにこのことを聞くチャンスが来たら。そして彼から最高の笑顔と「イエス、タイヨウニホエロ・ラブ!」という一言が聞けたなら、私は嬉しさのあまり卒倒するだろう!

忘年会・新年会で役立つ
「石原軍団歌謡」


「角刈りが最も似合う男ツートップ」の1人(あと1人は高倉健)、渡哲也「くちなしの花」。B面の「通りゃんせ仁義」も気になる。

 さて、石原プロモーションは近年お家騒動があったらしいが、現在もHPは限りなく熱い。幻の社歌「太陽と星たちの賛歌」も配信中である。

 そもそもムードで聴かせる石原軍団。心に忍び寄る歌唱なので、音程やリズムを細かく指摘するなどヤボの極みである。

 ちなみにお若いそこのあなた、石原軍団のスター達の歌声をまだ聴いたことがないのなら、今からでもぜんっぜん間に合う。

 基本中の基本、石原裕次郎「ブランデーグラス」、渡哲也「くちなしの花」は覚えておけば忘年会・新年会の季節、絶対に役に立つ。石原軍団とは関係ないが北島三郎の「まつり」もフルで覚えておくと絶対役に立つ(祝、サブちゃん紅白復活!)。


若かりし頃舘ひろし(真ん中)がボーカルを担当していたバンド、COOLSの2ndシングル「甘い暴力」。メンバーがオラオラ何見てんだよと睨みつけるジャケ写はどこまでも反抗的ムード。バンド結成の理由も「甘っちょろい世間に風穴空けるぜ」的な理由かと思いきや「メンバーを食わしていくため」という舘の切実な思いからだった、というエピソードがギャップ萌え。

 舘ひろしは2018年9月に13年ぶりの新曲「ビバ!ビバ!バンビーナ」も出しているが、私のオススメは俄然「冷たい太陽」。アイラブユーを「ィラビュウェェ」と発音する、ものすごい男の色気に度肝を抜かれるはずである!

 神田正輝は寺尾聰と似た子宮に響く歌声をされている。更年期真っ只中の私でも響くのだから相当なもんである。聴くなら腰砕ける覚悟で、レッツ・リッスン・トゥ正輝!

 毎度のことだが今回も着地点を見失ってしまった。

 とにもかくにも2019年はどんな名作ドラマが生まれるだろう。今から楽しみである。ワクワクとテレビ欄をおっぴろげ、私は待ってるぜ!


田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

文・撮影=田中 稲
写真=文藝春秋

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