2019/01/27 15:00

兵庫のローカル線駅舎のパン屋には 地元の米粉で焼き上げたパンがずらり

 米粉を使ったパンを作るお店が少しずつ増えています。今回は、そんな米粉パンのお店の1軒を訪ねました。

 場所は、兵庫県加西市。JR山陽線加古川駅から加古川線で約25分。兵庫県小野市の粟生駅で全長13.6キロのローカル鉄道・北条鉄道に乗り換えます。

 1両のワンマンカーは、日替りのカラフルなカラーだそう。取材日は鮮やかなエメラルドグリーンでした。


北条鉄道の列車は、カラーが日替り。毎日、違う色の列車が走る。

 のどかな田園地帯をゴトゴトと走ること10分程。目指した法華口駅は、兵庫県加西市の北条町駅まで続く北条鉄道の真ん中にあります。


駅舎の横には、法華口駅のシンボル、三重塔のミニチュア。

 ホームから大正4年に建てられた木造の駅舎に入れば、パンの香りがほんのり。

 20種類余りのパンが並んでおり、奥が工房。待合室は、ほっこりした雰囲気のカフェスペースになっています。


入口。

カフェは、元は駅の待合室。

 現役の駅舎を活用したパンのお店「駅舎工房 モン・ファボリ」は、2012年11月にオープン。


駅舎を使った工房でスタッフが丁寧にパンの袋詰め作業中。

風情たっぷりの木造駅舎は国指定の登録有形文化財。

「私のお気に入り」という意味の店名そのままに、近辺の常連客がお目当てのパンを買いに来ます。

 それだけでなく、週末には、手の込んだ「列車パン」を求めて遠方から鉄道ファンやパン好きが訪れる名物パン屋さん。


「豊穣鉄道列車パン」(1380円)は、1週間前までの予約販売制。土・日・祝日には、ハーフサイズ600円を限定販売。

「すべてのパンに、地元・加西市産の米粉を使っています。それも、背丈が高くて育成が難しく幻の酒米といわれる品種・野条穂の米粉。加西は、品種改良して野条穂が誕生した地でもあるんですよ」と工房を管理する坪井昭二さん。


すべて小麦粉ではなく米粉を使ったパン。

パン集合。形も色々、味わいも多彩。

 オープン当初、女性の駅長兼パン職人が話題になったお店でもあります。今は、そのレシピを受け継ぎ、同じく女性職人の手によって、丁寧に米粉パンが作られています。


地元・加西市産の野条穂の米粉。

パンは、近辺の保育園などの施設にも納品され、親しまれている。

色々な米粉パンを
ご紹介しましょう


左から時計回りで「米粉ゴマチーズ」170円、「米粉ウインナーロール」170円、「米粉クルミ(オレンジ風味)」220円、「米粉焼きカレー」220円、「米粉たこピザ」170円。

 一番人気は「米粉たこピザ」。半分にしたたこ焼きが並んだ見た目も楽しいパン。

 サクッと香ばしい生地はお米を感じさせる優しい甘さで、ソース味がよく合います。花かつおがトッピングされており、旨みたっぷり。アクセントの紅生姜が効いています。

 地元で穫れる季節野菜と牛スジ肉を煮込んだ自家製カレーが自慢の「米粉焼きカレー」も人気の1品。

 スパイシーですが、たっぷりの野菜の甘みがプラスされているので、子供でも食べられます。

「米粉ウインナーロール」は、ふんわりした生地にプリッとしたウインナーの歯応えがいい。

「米粉クルミ」は、砂糖、油脂不使用。クルミがたっぷり入って香ばしく、コリコリした食感が楽しい。 

 プレーン生地に白ゴマと角切りチーズを練り込んだ「米粉ゴマチーズ」は、ゴマの香ばしさとチーズの旨みがじんわり。


「米粉ワンローフブレッド」500円、「米粉プレーンロール」1袋3個入 300円。

 食パンにあたる「米粉ワンローフブレッド」は、お米本来の甘みを生かした配合がポイント。トーストすると、サックリ軽い歯触り。噛む程にほんのり優しい甘さが広がります。

「米粉プレーンロール」は、米粉ならではのほんのりした甘み。

 そのまま食べるとモチモチで、軽くトーストするとサクサク。「和風のおかずと相性がいいんですよ」と坪井さん。きんぴらやひじきなど、お総菜と一緒に食べたい。


きまぐれサンド「米粉クルミ(オレンジ風味) パン×ビーフパストラミ」380円、「米粉ゴマチーズパン×コロッケ・オーロラソース」380円。

 きまぐれサンドは日替り。食パン「米粉ワンローフブレッド」や「米粉プレーンロール」「米粉クルミ」や「米粉ゴマチーズ」など、様々な米粉パンを使って作られるのだそう。

 取材時には「米粉ゴマチーズ」にオーロラソースをプラスしてコロッケを、また、「米粉クルミ」にスパイシーなビーフパストラミを、それぞれサンドした2種類がありました。どちらもボリュームたっぷりでリーズナブルな価格です。

「地元障害者施設の農耕班が水耕栽培しているベビーリーフや地元農協のチンゲンサイなど、地元の野菜を使うようにしています」と坪井さんはにっこり。

 甘いパンはおやつにぴったり。

 抹茶を加えた生地にあっさり味の粒餡を包んだ「笠松山」は、市南部にある笠松山がモチーフ。ゴツゴツした岩をクルミで表現し、標高の低い山にちなんで平たく焼かれています。

「加西アルプスハイキングのお供にぴったりのパンです」と坪井さん。


左上から時計回りで「笠松山」170円、「米粉チョコリング」150円、「ほっけぱん~山下さんちのゆかりの舞」150円、「米粉レーズン」150円。

 加西特産の黒米・紫黒米を圧力釜で炊いて生地に練り込んだ「ほっけぱん~山下さんちのゆかりの舞」は、ほんのり薄紫色。シャリシャリした食感の粗精糖と自家製豆乳クリームをはさんでいます。

 モン・ファボリのパンは、乳製品や卵を使っていないのも大きな特徴。

 チョコチップを生地にたっぷり入れた「米粉チョコリング」は、もちもち生地のほろ苦いチョコ風味がクセになります。

「米粉レーズン」は、米粉と同じ野条穂で醸された姫路市・田中酒造場のお酒「純米吟醸 白鷺の城 喜縁」で風味付けしたレーズンを生地に練り込んでいます。トッピングには粗精糖と発酵バター。芳醇な味わいにびっくりします。


「揚げ米パン(きなこ)」220円、「ホットコーヒー」250円。

「揚げ米パン」左・きなこ220円。右・プレーン150円。

 パンを買ったら、カフェでコーヒーなどの飲み物と一緒に食べられます。

 なかでもおすすめが「揚げ米パン」。地元の百花蜜「北条鉄道蜂蜜」を使用しており、上品な甘さ。「プレーン」は、米粉生地のモチモチ感がしっかり味わえ、「きなこ」は、中にあっさりした粒餡がたっぷり入って和菓子感覚。


「揚げ米パン(プレーン)」150円と「北条鉄道サイダー」200円。

 北条鉄道に乗った記念に「北条鉄道サイダー」を飲みながら、ホームのベンチで食べるのも楽しい。


「米粉ラスク」プレーン、きなこ、チョコチップ 各1袋300円。

 おみやげに「米粉ラスク」を買って帰るのもいいでしょう。プレーン、きなこ、チョコチップがあり、どれも軽やかな食感。コーヒー、紅茶、日本茶など、何にでも合いそうです。

 パンはどれも米粉独特の香ばしさとふんわり、もっちりした食感で、優しい味わい。地産地消のパンなのも面白い。

「米粉パンは、店舗販売のみで、発送はしていません。春には駅舎の前の桜が、順に咲いて長く楽しめるんですよ。旧日本軍の鶉野飛行場も近くにあります。北条鉄道に乗ってぜひパンを買いにいらしてください」と坪井さん。

 ローカル鉄道の存続のため、そして地域の活性化、福祉支援のための店でもあります。美味しく食べて、ささやかながら応援したいもの。

駅舎工房 モン・ファボリ

所在地 兵庫県加西市東笠原町240-5 法華口駅駅舎内
電話番号 0790-20-7368
https://m.facebook.com/ekisyakoubou/


宗田洋子(そおだ よおこ)

ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

文・撮影=そおだよおこ

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