2019/02/10 21:00

神戸の無店舗型ショコラトリーが発信 日本の食材を使ったアートなショコラ

 私が生まれ育った神戸の街では、古くから何種類ものボンボンショコラから1個、2個と選んで買えるショップがありました。

 フランス人のパティシエが営む小さなお店でも、冬になるとショウケースに何種類ものボンボンショコラが並び、ケーキを買おうか、ショコラにしようか、いつも迷ったものでした。

 新神戸近くには、マダムが手作りしたチョコレートが買える隠れ家のような一軒家のお店もあったのです(どのお店も、今はありません)。


「JHOICE」のチョコレート。

 バレンタインデーにむけて、年々ヒートアップするチョコレート商戦。この季節、毎年、新しいチョコレートが登場するので、ドキドキしながらチェックしています。

 今年新たに見つけたのは、神戸に工房を構える「JHOICE」。丈池武志さんがひとりで丁寧に作っている希少なショコラです。


焙煎したカカオを選別する丈池さん。

カカオは焙煎の前だけでなく後にも選別。

 丈池さんが開業したのは、2018年1月。1982年、徳島県出身で、料理とデザインに興味があり、ケーキ職人の道に進んだのだそう。

 大阪で数店舗を展開する老舗ケーキ屋で修業した後、神戸の有名ホテル・レストランでパティシエとして活躍。

 働きながら、チョコレートの知識や技術を習得し、コンクールなどに出品するなどして腕を磨くうち、チョコレートの魅力に強く魅かれるようになったと言います。

「チョコの可能性をもっと深く広く探っていきたいと思うようになった」と丈池さん。


焙煎、選別を終えたカカオ。

 それだけでなく、材料であるカカオに注目。生産地や生産者のことをもっと知りたいと、ベトナムのカカオ農園も訪ねます。

「昨年は現地で収穫や焙煎にも携わり、カカオの魅力と可能性を実感しました。チョコレートやカカオについての色々をいっぱい伝えたい」と、店舗を持たず、あちこちのイベントや依頼があった場所に出向いて、直接、買い手や食べ手に笑顔で語りかけています。

 丈池さんが作るのは、カラダにいいチョコレート。

 使用するのはミネラルを多く含むてんさい糖で、さらに、糖度を低く抑えています。そして、口溶けがいいよう水分量も多め。

 そのため、賞味期限が短い。「冷凍保存しない、フレッシュなチョコを提供したい」と丈池さん。


型からボンボンショコラを取り出す様子。

できたてのボンボンショコラ(ローズ・フランボワーズ)。

 そして、ガナッシュに使う素材は、兵庫県産のものがメイン。

 神戸市北区・オーガニックファーム&ガーデンヒフミさんの有機ホーリーバジル、淡路島・平岡農園のレモン、淡路島・五色浜のおのころ雫塩……。


イベント出店の時に持参する「チョコレートのジュエリーケース」。蓋を開けると香りが広がる。

「日本の素晴らしい食材と合わせたチョコレートを世界に発信したい」。丈池さんの夢は大きく広がります。

まるで芸術作品のような
美しいボンボンショコラ

 ボンボンショコラをご紹介しましょう。

 まずは、5種類の「ハーブ&エピス」シリーズ。


「ボンボンショコラ・ハーブ&エピス」箱入 1,800円。

「ボンボンショコラ・ハーブ&エピス」。左から「ポティロン・カネル」「フィグ・ルージュ」「トンカ」「バジリク・シトロン」「コリアンダー」。

「ポティロン・カネル」のガナッシュは、神戸・御影のカボチャ専門店Zuccaの「栗マロンカボチャ」とシナモン。

「カボチャのペーストに米飴だけを加えて炊いて、カカオバターで固めています。カボチャと相性のよいシナモンを加え、隠し味にオレンジの皮も」と丈池さん。消えるような口溶けの後、ほんのりシナモンの香りが残ります。

「フィグ・ルージュ」は、とても個性的。徳島県産イチジクの赤ワイン煮を、ポルトワインを入れたフランボワーズのガナッシュと組み合わせています。

 クローブ、アニスのスパイスがアクセント。イチジクのプチプチした食感も楽しい。


「ボンボンショコラ・ハーブ&エピス」の断面。

「トンカ」は、ベネズエラ産のトンカ豆と産地が同じカカオを合わせたガナッシュを、さらに同じベネズエラ産カカオのチョコでコーティング。「桜餅のような香りが特徴です」と丈池さんはにっこり。

「バジリク・シトロン」は、兵庫県産の有機無農薬栽培のスイートバジル、淡路島のレモン、オリーブオイルのガナッシュとカシューナッツのプラリネの組み合わせ。バジルの香りがレモンの酸味と風味で引き立ちます。

「コリアンダー」は、神戸市西区のファームのコリアンダーシードを使用したガナッシュ。「シナモンを加えることで、コリアンダーの香りを引き出しています。僕自身大好きな、JHOICEいち押しのショコラです」。

 もうひとつのシリーズは「アロマ」。香りに注目しています。


「ボンボンショコラ・アロマ」箱入 1,800円。

「ボンボンショコラ・アロマ」。左から「ほうじ番茶」「ジャスミン・ライチ」「ローズ・フランボワーズ」「キャラメル・ノワゼット」「アマレット・キャフェ」。

「ほうじ番茶」は、「兵庫県姫路にある井上茶寮さんに選んでいただいた京都府・和束町のほうじ茶・やぶきたとスコッチウイスキーのガナッシュです」と丈池さん。

 ほうじ茶の香ばしさがウイスキーのスモーキーなピート香にぴったりマッチ。ウッディなベネズエラカカオとで余韻を残します。

「ジャスミン・ライチ」は、ライチのリキュールとジャスミンティーを使っていて、優しい香り。癒される風味です。


「ボンボンショコラ・アロマ」の断面。

「ローズ・フランボワーズ」は、薔薇のペーストとフランボワーズのコンフィチュール、薔薇茶のミルクガナッシュ。甘酸っぱさと薔薇の香りが口いっぱいに広がり、女性好みの味わい。

「キャラメル・ノワゼット」は、淡路島・五色浜の「自凝雫塩(おのころしずくしお)」のキャラメルガナッシュとオリジナルのヘーゼルナッツのプラリネ。シャリシャリとした食感と後口の塩キャラメル風味が印象的。

「アマレット・キャフェ」は、アマレット(杏の核・杏仁のお酒)と深煎りベトナムコーヒーのガナッシュ。口の中にコーヒーの香りと杏仁の風味。オリエンタルな味わいがクセになる。

 それぞれ5種類ずつのオシャレな箱入り。口の肥えたお酒好きにプレゼントしたいショコラです。

 ボンボンショコラ以外にも、丈池さんらしいチョコがあります。


「カカオショコラ」(600円)はカルヴァドスとの相性が抜群。

「カカオショコラ」は、アマンド(アーモンド)ショコラのカカオ版。

 焙煎前と後、丁寧に選別したベネズエラ産カカオをてんさい糖を使ってキャラメルコーティングしてから、同じ産地のベネズエラ産76%のチョコレートでコーティングしています。

「カカオをそのまま食べてみてほしいんですが、ちょっとクセがある。一度キャラメルコーティングすることで食べやすくし、パリッとした食感にしました」と丈池さん。

 赤ワインやウイスキー、ラム酒、ブランデーとのペアリングを楽しんでほしいと言います。ベトナム産のカカオを使ったものもあり、そちらは「酸味があって、独特のスパイシーな香りが鼻の奥に残る」のだそう。


「カカオハニー」600円。

「カカオハニー」は、ベトナム産のカカオニブをベトナム産のコーヒーの花の蜂蜜に漬けた一品。パン・ド・カンパーニュに塗ったり、ヨーグルトにかけたりして、シンプルに香りと風味を楽しみたい。

「ミルキーなブルーチーズに添えて、お酒と合わせてみてください」。日本酒にも合うと丈池さんは言います。


「カカオハニー」はパンに付けて、お酒と。

「次は、ホップを使ったショコラを考えています。苦味のある柑橘と合わせる予定です」

 そして、さらに「産地別のカカオ×国産素材のショコラを企画中です。ベネズエラ、マダガスカル、ペルー、ジャワ、ベトナム……。日本の色々な素材と単一同士で組合わせます」と、近い将来の展望を情熱たっぷりに語ります。


「ボンボンショコラ」はワインやウイスキーと。

「ワインやウイスキー、ブランデーやリキュールと合わせて楽しむ場所が増えたらいいですね」

 神戸市内では、すでに数軒のバーで置かれているそう。チョコとお酒のペアリングをおおいに楽しみたいもの。

 店舗を持たないショコラティエのこだわりチョコを求めるファンが増えそうです。

JHOICE

所在地(工房) 兵庫県神戸市
電話番号 090-6985-2226(丈池)
※工房では販売はしていません。
https://www.facebook.com/JHOICEchocolatier/


宗田洋子(そおだ よおこ)

ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

文=そおだよおこ
撮影=上田浩江

今日の運勢

おひつじ座

全体運

優しさにあふれた今日のあなた。弱者に対する深い思いやりがあ...もっと見る >