2019/02/07 17:00

能登のイタリアン民宿「ふらっと」で 世界が注目する発酵食を味わう

 地産地消や郷土料理といった従来の概念から離れ、進化した旬なオーベルジュに注目。土地の滋味や文化を目で舌で、五感で味わおう。


日本の三大料理民宿と称された
「さんなみ」が衣替え

●民宿ふらっと


運がよければ海上に浮かぶ立山連峰が望める。

 新幹線のおかげで金沢の旅はぐんと身近になったが、その先の能登はまだ少し遠い印象。でも、調べてみると羽田から能登までわずか1時間、たまにはひとり旅も気楽かも、と思い立ち、一路能登へ。


鄙びた風情が趣味のよさを物語る門構え。

 目指したのは海を一望する「民宿ふらっと」。


外観。

 実はここは、かつて日本の三大料理民宿と称された郷土料理の宿「さんなみ」があった場所。


炉端で朝餉を支度する智香子さん。

 娘である智香子さんがそのスピリッツと建物を受け継いだが、料理は和から離れ、オーストラリア人の夫・ベンジャミンさん(以下、ベンさん)が繰り出す“能登イタリアン”に。


夏みかんを摘むベンさん。2千坪の敷地には柚子や山椒の木が実を結ぶ。

「能登特有の発酵食品に出合って魅了されたベンさんが、私の両親に弟子入り。昔ながらの郷土の味や文化が薄まらず、伝わっているのが能登のよさなんです」と智香子さん。

世界中のシェフが視察に来るほど
手の込んだ発酵食品を堪能



左:民宿とは思えない秀逸ワインの品揃え。
右:【かぶのスープ】のどごし滑らかで、余韻にいしりと柚子味噌の香りがふわり。



左:【ぶりのカルパッチョ】びっくりするほど肉厚の干し椎茸をもどし、ふわふわのパルミジャーノをたっぷりと。嚙みしめると椎茸の旨みがじゅわっ。
右:【原木椎茸「のと115」 パルミジャーノ添え】ネギとにんにくでくつくつ煮込んだ、パンのすすむ一品。アンチョビの数倍も旨み成分を持つ、こんかさばを漬けた糠が隠し味。

 イカのゴロ(肝)を塩で3年漬けたいしり(魚醤)に、糠に漬けたこんかさば、アジとごはんを乳酸発酵させた海のチーズといわれるひねずしなど、驚くほどたくさんの発酵食品を夫婦で手づくり。



左:【こんかさば風味のガーリックサザエ】ネギとにんにくでくつくつ煮込んだ、パンのすすむ一品。アンチョビの数倍も旨み成分を持つ、こんかさばを漬けた糠が隠し味。
右:【白子のフリッター 柚子果汁添え】細かいパン粉とチーズでさっくり揚げた、たらの白子。柚子果汁や中島菜の塩と一緒に味わって。



左:【甲箱蟹の手打ちクリームパスタ】蟹はゆでずに蒸して、濃厚な旨みをキープ。蟹味噌と内子の入ったクリームが手打ちパスタに優しく絡む。甲箱蟹が終わると毛蟹のシーズンが始まる。
右:【自家栽培野菜のサラダ】味の濃い葉野菜やハーブは、山の腐葉土を運んで耕した畑で育てたもの。いしりゆずドレッシングも味わい深い。

 2年、3年熟成させ、旨みが増すまで待つのは当たり前。一流レストランでもなかなかできない手のかけようで、発酵食品に注目しているシェフが世界中から視察に来るほどだ。



左:【酒粕ソースのさわらのグリル】魚のブロードにさわらを浸し、地元酒蔵で入手した濃厚な大吟醸の酒粕をぬってオーブンへ。感動的なしっとり食感。
右:【赤ワインのグラニテ】ラストはひんやりデザートで爽やかに。

 さんなみから受け継いだ発酵食は何も変えず伝統製法をそのままに、旨みや隠し味としてイタリアンに斬新に組み込むのがふらっと流。


干し柿や鰹節も自家製。

 ワインに合う料理も目新しい一皿も、味の根底には能登の海を凝縮したかのような「いしり」があり、これは郷土料理なんだとナチュラルに感じられてくる。


朝の食卓には昔ながらの能登の味がいろいろと。いしりで漬けた大根を炭火で炙るべんこうこ、ごはんを何杯もお替りしたくなる二年物のこんかさば、大きな輪島塗の椀でいただくアツアツのあら汁。これもまた能登の口福。

 食べることは土地の文化と未来を知ることだなと、しみじみ思える食いしん坊のための宿。

民宿ふらっと

所在地 石川県鳳珠郡能登町矢波27-26-3
電話番号 0768-62-1900(受付時間9:00~21:00)
宿泊料金 
◆1室1名利用時の1名最低料金 (平日、休前日ともに) 17,000円~
◆1室2名利用時の1名最低料金 (平日、休前日ともに) 14,000円~
ひとり料金 1泊2食付き 17,000円~
ひとり対応 通年可
客室数 4室
食事 朝:食事処/夕:食事処
チェックイン 15:00/チェックアウト 10:00
交通 能登空港より車で約25分(乗り合いタクシーあり。前日までに要予約)。
https://flatt.jp/

※宿泊料金は、とくに表記のない場合は、税金・サービス料別の最低料金を記載しています。入湯税は含まれている場合もあります。詳しくは施設にお問い合わせください。

●推薦したのは……
CREA編集部

Text=Kaori Minetsuki
Photographs=Tamon Matsuzono



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