2019/02/25 21:00

昭和歌謡では指輪より意味深な贈り物 「イヤリング」は何を象徴している?

 刊行から半年以上が経つ今も、歌謡曲を愛するファンの間で話題となっている本がある。その名は、『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)。CREA WEBでは人気コラム「勝手に再ブーム」を連載している田中稲さんが、このジャンルの歌詞に頻出する単語を1,008語選び、絶妙な解説を加えた一冊だ。

 この中から、「た」「な」「か」「い」「ね」という5つの文字から始まる単語の解説を、特別に転載します!


第4回 「い」の部


【いじわる】

 期待したとおりに動いてくれないことに対しての、かわいい抗議の言葉。こう言っている間は、不満より愛情が勝っているので大丈夫。同じ響きでも「意地が悪い」となってしまったら、断然、嫌悪感が強くなるので要注意。

●用例
・シモンズ「恋人もいないのに」
・麻丘めぐみ「わたしの彼は左きき」

【生きがい】

 恋人に対する愛情の押しつけ。あなたの存在に支えられている、という感謝と同時に、「フラれたら死ぬ」的な脅迫めいた響きも含まれ、言われたほうは呪いにかかったような疲労感と責任感を負うことになる。

●用例
・黒沢明とロス・プリモス「ラブユー東京」
・植木等「ハイそれまでョ」
・三浦弘とハニー・シックス「愛の果てまで」

【イカれた】

 恋をしてテンションが上がり過ぎ、ワケがわからなくなっている状態。平成においては、メンタル面が危険な状態に陥っている人を指す場合が多いが、昭和歌謡の場合、「常識にとらわれない」など、プラスの意味合いが強い。

●用例
・沢田研二「決めてやる今夜」

【イヤリング】

 昭和歌謡では、指輪より意味深なプレゼント。ちょっとしたことで落ちてしまう失いがちな恋の象徴。これをわざと彼の部屋に落とし、ライバルの女性に自分の存在を知らしめる、ひとクセある使用法も生まれていった。

●用例
・松田聖子「ハートのイアリング」
・大橋純子「シルエット・ロマンス」
・桜田淳子「LADY」

【いなせ】

 かっこ良くサッパリしていること。江戸時代、日本橋魚河岸の若者が髪を鯔背銀杏(いなせいちょう)に結っていたのが由来だが、昭和歌謡の場合は、なぜか男性よりも、若くてイキがいい、華のあるオシャレ女子をこう呼ぶことが多い。

●用例
・ラッツ&スター「め組のひと」
・小泉今日子「ヤマトナデシコ七変化」
・サザンオールスターズ「いなせなロコモーション」


『昭和歌謡 出る単 1008語
 歌詞を愛して、情緒を感じて』

著・田中 稲
発行 誠文堂新光社
1,500円+税


田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

文=田中 稲
撮影=CREA WEB編集室



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