2019/03/05 17:00

2泊3日でぶらり北海道の東側へ 名物おばあちゃんの絶品朝食も堪能!

 世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。

 第202回は、芹澤和美さんが北海道の東側を訪ねました。


心を水面に映す(?)
森のなかの神秘的な湖へ


神秘的な風景を見せるオンネトーは、何度でも訪れたい場所。

 雄大な自然とおいしい食事、おおらかでユニークで優しい人たちに惹かれ、20年来、幾度となく訪れているひがし北海道。緑あふれる夏から雪深い冬まで、行くたびに、四季それぞれの風景で迎えてくれる。

 そんなひがし北海道へ直近で旅をしたのは2018年秋。

 同年の9月に起きた北海道胆振東部地震の後の観光復興を応援するための「北海道ふっこう割」を利用して、2泊3日の旅に出た。


訪ねたのは10月中旬。ちょうど紅葉まっさかり。

 地震直後は全道で一時的に停電があったものの、震源地からはるか遠いエリアには、地震の影響はほぼなかった。

 それにもかかわらず、各地のホテルや観光地で旅行キャンセルが相次ぎ、その数は2週間で94万人にも上ったという。

 そこで生まれたのが「北海道ふっこう割」。北海道好きにとっては、リーズナブルに旅ができて復興支援のお手伝いもできるという、素晴らしいチャンスに恵まれたのだ。


刻一刻と表情を変えるオンネトー。湖面に映るのは、雄阿寒岳と雌阿寒岳。

 ひがし北海道とひとくちにいっても、エリアは広い。この旅で選んだのは、釧路空港に入り、帯広空港から出るコース。

 まずは、20年前に訪ねてその美しさに感動したオンネトーへ。

 アイヌ語で「年老いた沼」や「大きな沼」を意味するとおり、約2万年前の雌阿寒岳の噴火によってできた、周囲約2.5キロの湖だ。

 エメラルドグリーンともブルーともいえない、なんとも複雑な色は神秘的。オンネトーは、天候や風向き、見る位置によって湖の色がさまざまに変化することから「五色沼」とも呼ばれている。

 20年前と湖面の色が違って見えたのは、見る人の年齢や心境によっても、変化して目に映るものだからかもしれない。


オンネトーから約30分のドライブで、秋色に染まる北見相生駅跡に到着。

 オンネトーを後にし、紅葉のなかをドライブしながら立ち寄ったのは、津別町内にある北見相生(きたみあいおい)駅跡。

 北見相生駅は、旧国鉄の相生線の終着駅として1925年(大正14年)に誕生し、1985年(昭和60年)に同線が廃線となるまで存在していた駅。

 現在、周辺は「道の駅あいおい」の一部として整備されている。神秘的な大自然もあれば、こんな趣ある場所がふとしたところにあるのも、ひがし北海道の魅力だ。


かつて人々が乗り降りした北見相生駅の跡。役目を終えた現在は、まるで時間が止まったかのように静か。

 切妻屋根の簡素な木造平屋の駅舎は、古き佳き昭和そのもの。復元されてはいるけれど、廃止された当時の時刻表が掲げられていて、郷愁をかきたてる。


「駅舎cafe ホロカ」が、この日は隣接する「道の駅あいおい」でコーヒーを販売。自家焙煎珈琲の香りに誘われる。

 旧駅舎の隣には、熊の形をしたスイーツ「クマヤキ」で有名な「道の駅あいおい」がある。

 店内に入ってみると、香ばしい香りが。通常は駅舎構内で営業している「駅舎cafe ホロカ」の名物、自家焙煎珈琲の香りだ。ドライブ中は温かなコーヒーが嬉しい。

 ほっとひと息ついたところで、帯広方面へ向けて出発。

美しい英国式庭園に囲まれた
ブッフェレストランの主は?


帯広郊外にあるガーデンのレストランで、十勝の恵みたっぷりの朝食に舌鼓。

 帯広に到着した翌朝、素晴らしい朝食が食べられるレストランがあると聞いて訪ねたのは、美しいイングリッシュガーデン。

 なぜ、ご飯を食べるのにお花畑へ? といえば、園内のレストランには、オーナーであるおばあちゃまが作る、おいしい朝食ブッフェがあるから。

 郊外にある「紫竹ガーデン」は、十勝平野に広がる壮大な観光ガーデン。15,000坪もの敷地には、約2,500種の季節の花々が咲き乱れている。

 ガーデニングはすべて、無肥料、無農薬、無灌水。まるで北海道の野原のように、美しく穏やかな景観がそこにある。


ガーデンの営業は4月21日~11月30日。レストラン(要予約)と売店はその他の時期も営業。

 この広大なガーデンを手がけている方こそ、1927年(昭和2年)生まれの “おばあちゃん”こと、紫竹昭葉さん。

 90歳を超えた今もほぼ毎日、庭に出て草花のケアをし、レストランでゲストを迎えている。

 お会いしてみると、とてもキュートで可愛らしいお方。華やかな色のコーディネートや、上品なチークやリップがとてもよく似合う。

 おばあちゃんがここにガーデンを作ったのは、63歳のとき。56歳で最愛のご主人を病気で亡くし、悲しみに打ちひしがれていたころ、「これからの人生は花に包まれて暮らそう」と一念発起。

 周囲からは心配する声があったもの、白樺の木が5本立っていただけの土地を開墾し、みごとな花畑を完成させた。


庭作りのお話を楽しそうにしてくれるおばあちゃん。「鳥やリスが種を運んでくれる。お庭作りには、動物たちも協力してくれるのよ」

 その胸の内にあったのは、「子どものころ、日が暮れるまで駆けまわっていた花いっぱいの野原を再現したい」という思い。

 そんな地元の自然を愛するおばあちゃんがメニューを考え、家族と手作りする朝食は、ヘルシーで、ボリュームもたっぷり。

 野菜は、自家栽培のものやご近所の畑から届いた新鮮なものをふんだんに使っている。



一見するとシンプルな料理は、食べてみるとおいしくて何回もおかわりしてしまった。

 サラダに温野菜にハッシュドポテト、チキン、ハンバーグ、野菜のソテー、煮物、おひたし、フレッシュフルーツジュース、お手製スイーツ……。

 ブッフェテーブルにずらりと並ぶのは、バラエティ豊かな料理たちだ。



万願寺とうがらしはパプリカのような甘さ(左)。スイーツももちろん手作り(右)。

 料理は奇をてらったものはひとつもなく、素材のおいしさを大切にしたものばかり。新鮮な食材を使うから、何が並ぶかは、その日のお楽しみ。

 それにしても、朝からこれだけの料理を作るおばあちゃんは、とってもパワフル!

「元気の源は、よく食べ、よく遊ぶこと。大地の恵みをたっぷりと食べて、お庭で存分に遊んで、あなたも元気になって!」と、おばあちゃん。

 料理は、新鮮なもの、飽きないもの、手を加えすぎないものを心がけているのだとか。

 朝からたっぷりと大地の恵みをいただいた旅の最終日。ひがし北海道はいつだって、お腹も心も満たしてくれる。

 旅を終えてすぐに、次のひがし北海道への旅を計画した。

紫竹ガーデン

所在地 北海道帯広市美栄町西4線107
電話番号 0155-60-2377
http://shichikugarden.com/


芹澤和美 (せりざわ かずみ)

アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.journalhouse.co.jp/

文・撮影=芹澤和美



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