2019/02/28 11:00

セーターブックを語り尽くす座談会 三大出版社の濃厚な個性を比較する

 1980年代から1990年代にかけて流行した「セーターブック(SB)」。編み図と共に人気モデルや駆け出しの若手俳優が鮮やかで個性的なセーターを身にまとった写真実用書について、2回にわたり「基本篇」「会社訪問篇」とお送りしてきました。

 第3回となる今回は、調子に乗ってラジオ出演までしてしまったSB愛好会の面々がSBを多く出していた出版社の傾向や、斬新な楽しみ方を語り合います。


それぞれの個性が光る
SB三大出版社

ハルナ 著名人のセーターブック(以下、SB)の出版元といえば、その多くを占めているのが「雄鶏社」「日本ヴォーグ社」「ブティック社」の三社。いずれもハンドメイド・手芸書の分野ではおなじみの老舗です。

コイシー 多量のSBと向き合っていると、うっすらとだが各社の特徴が見えてくると思うのだが。まずは我々が訪問した「日本ヴォーグ社」の特徴ね。

オモムロニ。 10万部以上の売上を記録したという、陣内孝則、小堺一機などのSBに共通するんだけど、全体的に雑誌っぽいつくりというか、構成、どれをとっても、なんとなくお洒落だよね。

コイシー デザインセンスがある。安心して見られる。ニヤニヤすることも少ない。

オモムロニ。 担当編集のセンスなのかもしれないけど、今見ても洗練されているし、古くない!

ハルナ ちなみにTwitterでも“私も持っています”という反応が多かったオダギリジョーのSBも日本ヴォーグ社が手がけたもの。びっくりするくらい爽やかなオダギリさんを見ることができる1冊だよね。

オモムロニ。 まさに“ブレイク前夜”のね。




左から所ジョージが出ている『ヤングパパのニット』、そして『AKAI 赤井英和 SWEATERS』『オダギリ ジョー SWEATER BOOK』(すべて日本ヴォーグ社)。このオダギリジョーSBは所有率がとても高い。そのナゾについても追求したいと思っている。

コイシー ちなみに“ニットの貴公子”こと広瀬光治先生も、かつては日本ヴォーグ社で編集者としてSBを作られていた、と。

オモムロニ。 先日、日本ヴォーグ社の皆さんが広瀬先生の思い出を語られていたよね。“バレーボールがお上手だった”ってね。

ハルナ では続いては“ONDORISM(オンドリズム)”で我らを虜にした「雄鶏社」。こちら会社は残念ながら2009年になくなってしまったのだが。

コイシー なんてったって、観音開きのページが自由! 本当に自由度が高い。

オモムロニ。 人によってはセーター全然着てないページがあったりするし。『風間トオルと仲間たち』なんて、海パン姿で騎馬戦しているし……。

コイシー 第1回でも触れたけど、雄鶏社の自由さは本当にすごくて、編集者さんの“いろんな形の愛”が込められているのが誌面を越えて伝わってくるよね。

オモムロニ。 “あれ? ちょっとこれ、なに? どうかしてる! 買ってよかった”というページに出合えるのは、だいたい雄鶏社のSB。

ハルナ その点においては本当に信頼度高いよね。裏切らない。

オモムロニ。 しかも、実際に編み物をされる方が“雄鶏社さんのSBは本当にわかりやすくて今も困った時に助けてもらうことがある”と言っていた。実用書としても素晴らしい!

コイシー SBの本来の目的はそこだから、とっても大事なこと。




左から『僕らのセーターアイランド 風間トオルと仲間たち』『風間トオル'91 CITY』『風間トオル セーターアイランド』(すべて雄鶏社)。“ONDORISM”の醍醐味を感じたいならおすすめなのはトオルのSB。

ハルナ 余談になるかもしれぬが、雄鶏社から合計3冊のSBを出している風間トオルは、セーターボーイ歴がとても長い。

コイシー そっか。単独本を出す前にも、モデル時代に何冊か出てるもんね。いわば、“群集から単独”へ。芸能人としてステップアップしている。

ハルナ 先輩のバックで踊っていたジャニーズJr.が、晴れてグループとしてデビューを果たす感じとやや似てるかも。

オモムロニ。 SBを通して、芸能人としてのサクセスストーリーを垣間見られるね。

ハルナ では最後に「ブティック社」のSBの特徴をまとめようか。

コイシー 若手はブティック社を経ていくイメージ。ジュノン・スーパーボーイが多い。

ハルナ 確かに。袴田吉彦、柏原崇、葛山信吾……。みんな若いね。



左から『袴田吉彦 彼の好きなセーター(レディブティックシリーズ no.845)』『葛山信吾が着る 彼のニット(レディブティックシリーズ no.653)』(以上ブティック社)。とにかく初々しい。まさかこの後にアパ不倫が発覚するなんて想像もできないくらい眩しいよ袴田クン。

オモムロニ。 内容はしっかりしているというか、質実剛健。

コイシー “セーターを編むための本”というか、リアル“彼”に似合うようなシンプルなセーターが多いね。

オモムロニ。 掲載されているセーターの点数が多いのも他の2社との大きな違いかも。平とじだし。あと、表紙のカラーが着ているセーターの色としっかりリンクしている。この中山秀ちゃんの表紙を参考にしてみると、セーターも背景色もどっちも茶系とか。


「中山秀征 彼のセーター(レディブティックシリーズ no.749)」(ブティック社)。秀ちゃんもキラキラしている。中面では海辺でウクレレを弾いている。

コイシー 芸が細かい! 細部にもこだわりが!

ハルナ ちなみに「レディブティックシリーズ」は現在も出版されていて、電子書籍でも購入できるみたい。SBはないけど。

コイシー 編み物実用書も日々、進化している模様ね。

明朝体の斜体でトンがった発言が!
本を開けばワンダーランド

ハルナ では、続いて気になる中身について。基本的には前半はグラビア(インタビューやポエムを添えて)で、後半はガチの編み図で構成されているのがSB共通の構成だよね。

オモムロニ。 結構、トンがってるインタビューあるよね。

コイシー この頃に抱いていた夢や野望が、今、どうなってしまっているか確認するのも楽しみのひとつ。

オモムロニ。 織田裕二は“30歳から35歳の間にドカンと大きなことをやりたい”って語ってる。30歳目前で、「踊る大捜査線」の主演、「世界陸上」の司会の座も手にした。裕二、有言実行。

ハルナ 中には“よく事務所が許したよね、これ”みたいな内容のものも……(笑)。

コイシー 誰とは言わぬが、カウチンセーターを着ているページに掲載されているコメントが“僕はカウチン持っていません”て!?

ハルナ ページに付けられているキャッチフレーズにも味があるよね。

オモムロニ。 書体はね、最近ではあまり見かけない“明朝体の斜体”が多い。

コイシー 中でも、大鶴義丹のSBはキャッチが秀逸。“コルベット アメ車が好き”とか。知らんがな! みたいなキャッチフレーズのオンパレード。

ハルナ SBの中で“グレース! グレース!”って、愛犬に呼びかけているからね。

オモムロニ。 ちなみにグレースはラブラドールであることもカッコ書きで表示されている。

コイシー “セーター元年”っていうキャッチも見つけたよ。もしや新元号(笑)?  

ハルナ それ、平成の最初ってことだから!

オモムロニ。 編集後記やスタッフクレジットも見逃せない。

コイシー 編集後記につらつらと1日の撮影スケジュールが載っているものも見かけたし、担当編集が愛を込めてラブレター的な文章を綴っているものもある。本当に自由。

オモムロニ。 たまにすごい大物がスタイリングを担当しているものを発見したりするので、ここも見逃せない。

ハルナ 本当に見どころだらけなんだよ、SB。

コイシー SBにプロフィールはもちろん、これまでの仕事歴もびっしり書かれているものもあるんだよね。挙げ句、事務所の住所まで入っていたり、当時はホームページがなかったから、営業資料として使われていた可能性もあるよね。

ハルナ SBで成功を手にした俳優やモデルがいたりして!?

オモムロニ。 隅から隅まで、本当に楽しめるのがSBの醍醐味だよ、編み図、以外はね。

SBを収集していて出会った
“どこかの誰かの痕跡”

ハルナ SBを収集していて、印象に残った出来事ってある?

オモムロニ。 元ジュノン・スーパーボーイの袴田吉彦のSBを開いたら、こんなメモが入っていたのよ。古本屋さんで購入したものなんだけど……。


泣けるメモがこれ。このセーターはきちんと誰かに渡せて着てもらえたのだろうか。「探偵!ナイトスクープ」に依頼したい。

コイシー これは! かつて“編んでいた人”が記した細かいメモだ!

ハルナ 「正」の数は、編んだ段数を記入しているらしいよ。忘れないようにカウントするそうだよ。

オモムロニ。 古本屋さんでSBを購入すると、以前に所有していた人の痕跡をたまに確認できるのも魅力のひとつだよね。

コイシー 全く知らないどこかの誰かの歴史を垣間見ることまでできてしまう……。すごい。


 いかがでしたか。SB愛好会による座談会。

 次回は、ついつい暴走しがちなSB愛好会のSB愛ほとばしる、妄想対談です。突っ走れ! SB愛♡

●SB話、一緒に盛り上がりましょう!

Twitter、Instagramなどで、ハッシュタグ 「#セーターブック会議」をつけて、SBについて自由につぶやいてください。
SNS上でまとめたり、次回以降の記事で参考にさせていただきます。


今なら誰のSBが欲しい?アンケート

2019年の今、SBを作るなら誰に、どんなセーターを着せたい?
SNSをやってない方、SNSに書き込みづらい(けど熱い思いがある!)方は、ぜひ下記URLのアンケートフォームにて教えてください!
締切は2019年4月1日(月)18:00です。

https://goo.gl/forms/WEKYvomeKIcMrUjT2


ハルナ(執筆と分類担当)

mixi「平成のセーターブック」コミュニティ管理人。SB連載では執筆とデータベース作成を担当。ちなみに今、最もセーターを着せたいのは休日課長(ゲスの極み乙女。)。課長のセーター姿は日本一。本業は寺社仏閣広告の編集やテレビ番組関連記事のライター業務など。



コイシー(交渉担当)

面白そうなことには乗っかる気質から、ハルナが作った、mixi「平成のセーターブック」コミュニティの副管理人に。SB連載では外部との折衝など事務方を担当。本業は食のライター。セーターを着せたいのは、実は手脚が長くてプロポーション抜群の荒川良々。



オモムロニ。(収集担当)

のめり込むと身銭を切らずにはいられないタイプで、本特集に掲載のSB殆どを所有。本業は雑貨コーディネーター。雑誌CREAでギフトコラムを連載中のほか、2019年1月に『DAILY GIFT BOOK 気持ちが伝わる贈りものアイデア』を刊行。プロ野球選手にチームカラーのセーターを着せたい。

構成=水野春奈
撮影=平松市聖



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