2019/03/15 07:00

草彅剛の天然っぷりが炸裂! 映画『まく子』舞台挨拶レポート

 直木賞作家、西加奈子の同名小説を映画化した『まく子』。

 小さな温泉街を舞台に、大人になることに抵抗を覚えている11歳のサトシが、なんでも「まく」ことが好きな不思議な転校生・コズエとの出会いを通して少しずつ成長し、周囲も変化していく姿を、ファンタジーを交えて描いている。


主演二人の成長について
剛のテンションアップ

 その舞台挨拶付き完成披露上映会が2月20日にシネ・リーブル池袋で行われた。

 主演の山﨑光、新音(にのん)、サトシの父親で女好きな板前の草彅剛と、母親で旅館の女将役の須藤理彩、鶴岡慧子監督が登壇。挨拶では草彅剛の天然っぷりが炸裂し、驚きのエピソードも明かされ、大いに盛り上がった。

 映画『まく子』の持つユーモアと希望そのままのようなトークの模様を一部紹介しよう。


左から須藤理彩、新音、山﨑光、草彅剛、鶴岡慧子監督。

 西加奈子作品のファンだという須藤は、「西加奈子さんの描く『まく子』の世界観と、そこに監督の奇想天外なアイデアとやさしさとが溢れた作品になっています」と語る。

 草彅も「すごいピュアな心がつまった映画で、僕は浮気をしたり、ものすごいダメおやじを演じています。僕としては新境地をちょっと切り開くことが出来た役だと思っています」と、ちょっと色っぽい役どころについて語った。

 だが、1年前の撮影を振り返り、二人の成長について話しはじめると、草彅のスイッチが入ったのか、一気にテンションがあがる。


草彅 山﨑君が撮影のときと違いすぎて。そんなかっこいい服を着るなんて。立派な俳優だよ。新音ちゃんも大人っぽくなった。新音ちゃんは撮影のときから大人っぽかったけど、大きくなったね。

新音 165センチくらいになりました。

草彅 もう抜かれちゃうなあ。でも俺も40歳を越えてから、2センチ身長が伸びたの。(会場どよめく)だからあきらめないで(笑)。サトシは?

山﨑 撮影のときが、155か156だったんですけど、いまは163センチ。


草彅 8センチも? コズエ(新音)ちゃんより伸びているじゃない。撮影では見上げてたもんね。

山﨑 はい。5センチくらい違ったので。

草彅 原作でもそういう設定で、本当にあのときにしかいない、サトシとコズエちゃんなんだよねえ。それだけ、僕らも年取ってるってことだけど(笑)。

須藤 皺が2本分くらい増えてますね(笑)。

草彅 僕らはわかりにくいけど、二人は1年でこんなに目に見えて成長してるという。

須藤 私たちも成長って言えばいいじゃないですか(笑)。

草彅 成長か。そのすべての瞬間を映画が切り取っている。

鶴岡 ギリギリのタイミングでしたね。アフレコのときにはもう声変わりしはじめていて。

草彅 瞬間を切り取って。やりましたね、監督! 群馬の温泉地で泊まり込みでずっと撮影していて、僕は軽い気持ちでしたが、二人はすごく役に入っていて。僕は適当なオヤジの役だったので、それくらいがいいかな、と(笑)。

須藤 完成した映画を観たら、「初めて見る草彅さんだ」と思って、すごく感動しました。

草彅 ありがとうございます。それは新たな一面を、皆さんが引き出してくれたので。

 ここで須藤理彩から草彅剛の、びっくりエピソードが明かされる。

原作が好きな方にも
完璧な映画だと思います


須藤 でも原作読まれたのは昨日?

草彅 昨日、沖縄に行っていて、今朝、帰りの飛行機で読みました。さすがに舞台挨拶の前には原作を読んでおこうと思って読んだら、すごく面白くって!

須藤 ツイッターでそれを読んで「いま!?」ってひっくり返りました(笑)。その飾らないところも、草彅さんらしいな、と。

草彅 逆から行くんで(笑)。でも監督、素晴らしいですよ。あの原作をこのような形に仕上げていただいて。

鶴岡 こういう話だったんだー、っておっしゃってましたね。

草彅 自分のところしか(台本)読まないから(笑)。どう二人は? 原作は撮影前に読んだの?

山﨑 はい、撮影前に読みました。

新音 はい。

須藤 普通のことです(笑)。

草彅 (山﨑さんと新音さんに対して)頭いいねえ、あなたたち。漢字いっぱいあるでしょ? 出来上がったのを観てどう思った? スクリーンに映っている自分を。

山﨑 照れくさいのもあったけど、原作に出来るだけ近づいていたんじゃないかな、と思いました。

草彅 俺も思った(笑)。すごい山﨑くん原作に近づいてるって。新音ちゃんはどう思った?

新音 原作の本が好きな方でも、忠実に再現されているところが沢山あるので、完璧な映画だと思います。

草彅 うぉー、素晴らしいね! 須藤さんはどうでした?

須藤 私の周りにも西加奈子さんのファンという方がすごく沢山いらっしゃって、「『まく子』をどうやって映像化するの?」と聞かれたんですが、「言えません、楽しみにしておいてください」としか言えなくて。監督はものの見事に映像であの世界を見せてくださったな、と。

草彅 自画自賛だね!(笑)。この気持ちを今日からこうやって届けられるのは幸せなことですね。

食べ過ぎちゃって
しゃべれなくった本番


山﨑くんのサインは、撮影の合間に草彅と須藤も一緒になって考えたものだそう。ちなみに足立区出身の筆者は、映画を観るまで『まく子』は追っ手を「まく」のが巧い子のことだと思い込んでいた。犯罪者か。

 板前である父親が、サトシのためにおにぎりを握って食べさせるシーンは、草彅、山﨑にとって印象深いシーンだったという。

草彅 僕はほとんど山﨑君とのシーンだったからね。おにぎり食べるシーンは、本当に沢山食べてたもんね。

鶴岡 8個くらいですね。

山﨑 本番のときに、食べ過ぎちゃって、しゃべれなくって。

草彅 難しいよね。しゃべりながら食べるの、大変だったろう? あれどうやってやるの?

山﨑 結構早く飲み込みました。

草彅 できないよ、それ。僕は食べているふりするよ。監督もそこを見逃さないで、丁寧に撮ってましたよね?

鶴岡 全部撮りました。カットせずに。

草彅 あそこは結構見どころかも。あと、サトシとコズエの崖のシーンも好きなんだよ。

鶴岡 大人になりたくない、という気持ちを言うところですね。

草彅 映画のメッセージが詰まっている気がして、あそこが一番好き。僕のシーンも好きですよ(笑)。須藤さんも素敵なお母さんで。僕がダメなオヤジなので、心の中では耐えているけど、それは子供の前では見せられないという。あれ、どうやってるの?

須藤 草彅さんと私、舞台で6年前に共演させていただいて。

草彅 「二都物語」という舞台ですね。

須藤 そのときも敵対する役で、最後は刺されて死ぬという。今回も、ほとんど目を合わせないで、心を通わせない。でも最後の最後に、家族が笑顔になる。なんか、家族っていいな、って思いました。

草彅 僕も本当に思いました。

 役柄と同様に、終始、子供たちを温かく見守る両親といった表情の草彅と須藤。

 草彅が「本にもありましたけど、人間というのはその瞬間、瞬間に新しい粒に入れ替わって。細胞というのかな、簡単に言うと。そのときの自分は今しかいない。そういう当たり前のことを考えさせてくれる。この作品がすごく好きなんですよ。小学5年生の自分とは僕も全然違うわけで、でも、再生していきたいですよね。ただ朽ち果てていくだけじゃなくて」とテーマを見事にまとめると、須藤が「本当に今日は良かったですね、(読むのが)間に合って」と突っ込むなど、まるで夫婦漫才のように見事な掛け合いを見せてくれた。

 最後に子役の二人は未来予想図として、山﨑はアカデミー賞のレッドカーペットでサインを求められる自分を、新音はいくつもの顔を演じられる女優という自画像を披露。

 大人たちは二人のしっかりした夢に、感嘆することしきりだった。

 草彅は最後に、15歳になった山﨑へ「山崎くんのままで進んで行ってよいと思います! 凄い才能を持っている。撮影の時は山崎くんとのシーンで僕も緊張するくらいでした。このまま頑張ってください」とエールを送った。

 子供たちは成長し、大人たちは再生していく。そんな映画の魅力を感じさせる、舞台挨拶だった。


『まく子』

ひなびた温泉街にある旅館の息子サトシは小学5年生。思春期の入り口で、体の変化に悩み、浮気性の父親に反感を抱いていた。ある日、美しいコズエが転校してきた。コズエはとても変で、とてもキレイで、なんでも「まく」ことが大好きで、秘密を持つ少女だった。

2019年3月15日(金) テアトル新宿ほか全国ロードショー
出演:山﨑 光、新音、須藤理彩/草彅 剛
原作:「まく子」西加奈子(福音館書店 刊)
監督・脚本:鶴岡慧子
http://makuko-movie.jp/
(C)2019「まく子」製作委員会/西加奈子(福音館書店)

文・撮影=石津文子



【関連ニュース】

今日の運勢

おひつじ座

全体運

リラックスできる好調日。ボディメンテナンスに力をいれよう。...もっと見る >