2019/04/20 17:00

渋谷哲平のナンバーに捨て曲なし! 「Deep」なアイドルを今こそ再評価

松本零士の映像作品は
音楽もまた素晴らしい!

 特に注目していないにもかかわらず、やたらとある人物のネタが勝手に視界に飛び込んでくる現象がたまにある。私はこれを「神様のアプローチ」と呼んでいる。

 そしてこの春。ドエラいきっつい花粉とともに、神様のアプローチは訪れた。それは松本零士作品。


『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』のポスター。描かれていた古代進と森雪は、私が昔見た彼らとは別人のようであった。しかし久々に再会したら「誰?」状態だったというのは、アニメ続編あるある&同窓会あるある。動揺していたらキリがない。

 道を歩けば『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』のポスターが目に入り「おおっ」。本屋に行けばマンガ『銀河鉄道999 ANOTHER STORY アルティメットジャーニー』が目に入り「ぬぬぅッ」。


『銀河鉄道999 ANOTHER STORY アルティメットジャーニー』第1巻(チャンピオンREDコミックス)。メーテルが行方不明だという。これは大変だ!

 マイ・スプリングはなにげなく松本零士テイスティ。うーむ、たまらなくミステリーだ。これは偶然? それとも必然?

 答えは公式HPを見てすぐにわかった。必然も必然。2018年は松本零士先生生誕80周年、『銀河鉄道 999』40周年。

 神様のアプローチ、それはアニバーサリーの余韻だったのである。もう少し早く気付かせてよ、オーマイガーッド!

 松本零士作品といえば、宇宙&ロマン&生命&アドベンチャーが絶妙なミックスフレイバーを醸し出している世界観。


松本零士先生。公式サイトのプロフィール欄にある「お酒は飲めるが、飲まれるのは嫌いというように『酒乱』を見るのは大嫌い」というコメントがあり、なぜか大反省した私であった。

 その素晴らしさは言うまでもないが、音楽もこれまた見事なまでにド名曲揃い。聴けば最後。仕事にならない。覚悟はしていたが、視聴&動画サーフィンで深い深いデンジャラス・ゾーンにはまってしまった。

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の主題歌、ジュリーの「ヤマトより愛をこめて」を久々に堪能したことで心のたき火に火が付き、ささきいさお「真赤なスカーフ」、堀江美都子「別離」、「銀河鉄道999」に飛んでこれまたささきいさお「青い地球」、そこからさらに「1000年女王」に飛んで高梨雅樹「コスモスドリーム」。

 10年は夢のよう 100年は夢また夢。1000年は夢また夢また夢とくるかと思いきや「一瞬の光の矢」。ひいぃ作詞家天才すぎ。誰? エエッ阿木耀子やんホンマに天才が作ってたーッ、と一人ボケツッコミをしながら延々聴いてしまった。


日本を代表する作詞家であり美魔女である阿木燿子さん。73歳って!! コラーゲンをがぶ飲みしているとしか思えないつややかさ。天は二物も三物も与えとるやんどういうことやと思ってしまう。

 松本零士作品で育ったヤマト世代の諸君。君たちなら気持ちをわかってくれるだろう。レッツゴーイスカンダル!

 ……とまあ、ヤバいテンションになりながらあの曲この曲渡り鳥をしているうちに、わたしはどうしてもあるアーティストのCDが欲しくなった。その人こそ1982年の映画『わが青春のアルカディア』の主題歌を歌った渋谷哲平である。

 数十年前、この曲を初めて聴いた時、

「えっ渋谷哲平ってこんないい声してたの?」

 とビビった記憶が甦ったからだ。そして、数十年が経った今、視聴して再びビビった。

 私の人生2度もビビらせた哲平ボイスを今一度確認したい。いや、しなければなるまい。

 よし。波動エンジン用意。準備よし。渋谷哲平ベスト盤、ワープ(お急ぎ便)!

浪漫声・渋谷哲平の威力を
改めて思い知る


『渋谷哲平ゴールデン★ベスト』。超プッシュ曲は「ときめきの二人」「ダンスに夢中」。特に「ダンスに夢中」で彼が小さく囁く♪ウォンチュッは日本で歌われる数多の「want you」の中で3本の指に入るくらい最高な♪ウォンチュッであると言い切ろう!

「渋谷といえば」と問われ「すばる」でも「109」でも「ハロウィン」でもなく、迷いなく「哲平」と答えたあなたは「レッツゴーヤング」黄金期世代。名曲「Deep」(作詞/松本隆 作曲/都倉俊一)を、

 ♪ディープディープ青い海うみうみ!

 とコーラス含め己で歌い、ブレスのタイミングを逃し酸欠になったにもかかわらず、続けて太川陽介の「Lui Lui」も振りつきで歌わねば気が済まないという症状に苦しむ方も多いと聞く。

 そう。それほどレッツヤンメンバーの歌のすり込み威力はハンパではないのだ。


妻である藤吉久美子の不倫報道を受けた記者会見の場でなぜか「Lui Lui」のポーズを決めさせられる太川陽介。このぐらいの懐の深さがなければとても蛭子さんとバス旅行はできない。

 早速渋谷哲平のベスト盤を聞いてみると、これが背筋が伸びるほどのクオリティ!

 前情報の時点で「Deep」、そして「わが青春のアルカディア」のサビ「宇宙よー!」だけでCD代の元は取れると踏んでいたが、いやもうそれ以上であった。

 奇跡の捨て曲ナッシング! 嗚呼なぜ当時、もっと彼を追っかけなかったのか私!

 とにかく凄まじくエエ声なのだ。挫折を知る前の真っ直ぐな青年の主張。「ヤング・セーラーマン」なんて汚れきった己の心を反省したくなるほど爽やかだし、「ジンギスカン」のカバーはマジでモンゴルの荒野が見えた。


『宇宙海賊キャプテンハーロック』第1巻 (サンデーコミックス)。ハーロックを見ると自動的に「男なら負けると分かっていても、戦わなければならない」という井上真樹夫さんの激シブな声が聞こえてくるというあなた、重症だ。そして仲間だ!

 空、海、宇宙を漢の魂の舞台に変えてしまうヒーロー声。ところがなぜか恋愛ソングを歌うと「ピュア過ぎてこじらせてる男」的になるのも萌えポイントなのだ!

 例えると、キスどころか手をつなぐのに2年くらい時間をかける男の声である。

 恋人が業を煮やし「今夜は帰りたくない」と言ったとて、自分の部屋やホテルを素通りし車で一晩かけて遠くの海に連れて行き「さあ朝日が昇る。一緒に拝もう」と笑顔で言い放つ、そんな男の声である。

 とてもいい意味で、汚れなき理想を抱く青春バカの声である!

 歌声は西城秀樹級のセクシーさがあるのだが、そこはかとなく漂う森田健作風味。そのバランスが絶妙で萌える。恋なんてケッ愛なんてペッという草食系の方はぜひ渋谷哲平の歌を聴いてほしい。

「彼にならセーターを編んでもいい」

 と、純愛妄想を広げられることをお約束しよう!


セーターを編むぜと決めたらまずセーターブックをチェック!?

酒を飲んでタイムスリップ!
いざアルカディアへ

 さて、松本零士先生のホームページを見ると、「わが青春のアルカディア」熱をさらにエキサイトさせる文字が。

「戦国のアルカディアプロジェクト始動」!? おおぅアルカディア! ミラクルとはこういうことかーッ。

 ハーロックが宇宙だけでなく時代まで超えてしまう!

 戦国にタイムスリップするという想定外のスケールには驚いたが、この「戦国のアルカディア」はふるさとから未来に繋げる一大プロジェクトだという。注目しない訳にはいかない。

 特に「名将銘酒47撰 ~戦国のアルカディア~」は、全国47都道府県の日本酒の酒蔵とコラボ。


GWまで我慢ならず購入してしまった……! チョイスしたのは茨城県の日乃出鶴(蔵元:井坂酒造店)。助さん格さんは松本零士キャラだが、黄門様は、ドラマの初代黄門様である東野英治郎に激似というバランスが決め手。味も爽やか。「名将銘酒47撰」、全国制覇しようと企み中である。

 銘酒のラベルに各県代表の名将・武将が松本零士キャラクターで描かれており、見るだけでも楽しい。原稿の手が止まるほどに!

「名将銘酒47撰 ~戦国のアルカディア~」のいずれかを購入し、酒瓶を抱きかかえ「わが青春のアルカディア」をBGMに流しつつ一人で飲んで泣く。私のゴールデンウィークの予定は決まった。


アルカディアといえばキャプテンハーロックが乗り込む宇宙戦艦。スペースシップの乗員となるのはなかなか難しいが、「アルカディア市ヶ谷 私学会館」なら誰でも自由に入りできる。文藝春秋からはドア・トゥー・ドアで10分ちょっと!

 いやはやウキウキがあちこちに散らばり本当に忙しかった今回。

 ヤマト! 999! ハーロック! そして渋谷哲平!

 こういった再ブームのわらしべ長者状態は本当に楽しい。一つのきっかけでたくさんの「もう一度見たい聞きたい」がドップンザッパンと押し寄せてきて、んもう沈んでしまうよ溺れてしまうよ深みにはまる罠ッ。

 嗚呼、なんと幸せなノスタルジーのDeep!


田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

文・撮影=田中 稲
画像=文藝春秋



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