2019/05/10 11:00

『映画 賭ケグルイ』でも怪演! 気になる個性派俳優・矢本悠馬

 映画『ちはやふる』の“肉まんくん”など、いま気になる個性派・矢本悠馬。衝撃の映画デビューを果たし、一度は離れた役者の道を歩み続けている理由とは?

 現在公開中の『映画 賭ケグルイ』でも怪演している彼の活動を振り返ります。

初出演映画の演技が
評価されるも……


――03年、『ぼくんち』で、観月ありささん演じるヒロインの息子役としてデビューされますが、オーディションを受けた理由は?

 当時は10歳ぐらいだったんですが、親が勝手に応募して、「え、映画のオーディション?」ぐらいの気分で、よく分からないままオーディションに連れていかれたんです。でも、負けず嫌いな性格なので、それに後押しされて、さらに「やってやるぜ!」みたいに変わっていきました。

――ちなみに、当時の矢本さんの夢は?

 ダウンタウンさんが好きだったこともあって、お笑い芸人。学校の友だちとコントもやっていました。あとは、自分が想像していることを描くのが好きだったので、マンガ家になろうと思っていました。


――初めての映画出演での堂々とした演技は、当時評価されましたが、その後、芸能界から離れました。その理由は?

 現場で芝居するのは楽しかったんです。『ぼくんち』の効果もあって、(NHK朝ドラ)「てるてる家族」にも出させていただいたんですが、それを学校でイジられたり、イロモノ扱いされるのがキツくなってしまったんです。そのこともあって、役者になるという発想はまったく浮かびませんでした。それは親もすぐに認めてくれて。

ふたたび、役者の道へ


――その後は、どういう道に進むという将来のプランに?

 大学にも行きたくなかったし、ずっとやりたいことが見つからなかったんです。それを理解してくれた両親が「東京の専門学校に行って、好きなものを見つけてこい」と言ってくれ、そのなかで“俳優”というキーワードが出てきたことで、舞台芸術学院という専門学校に入学しました。

――それで、ふたたび俳優への道に進もうと決心されるわけですね。

 いやいや。入ったばかりの頃は、慣れない発声練習とかバレエダンスをやっていたことで、恥ずかしいし、すぐにでもやめたかったですね(笑)。周りは学校の演劇部出身やダンス経験者ばかりですから、普通の高校生活を送っていた自分とはまったく話が合わないし、どこか場違いな感覚もありました。

――卒業後、11年より劇団・大人計画に研究生として参加します。


 専門で2年生になると、みんな事務所や劇団に入ることを目標にするなか、大人計画はみんな受けていたし、先生も勧めていたんです。当時の自分は卒業後に、大学に行って、普通の職業に就くつもりだったんですが、“記念受験”で受けたら、受かってしまいました(笑)。

オーディションに臨む姿勢は
「いかに落ちないか」


――その後、『銀の匙 Silver Spoon』や『クローズEXPLODE』などにも、小さいながらインパクトある役で出演されますが、当時はオーディションで役を勝ち取っていったのでしょうか?

 大人計画の研究生同期5人のなかで、僕だけヴィジュアルがダメだったんで、オーディションにもなかなか呼ばれませんでしたね。その数少ないチャンスのなかで、「いかに受かるか」というより、「いかに落ちないか」ということばかり考えていました。正直メンタル弱いんで(笑)。だから、そのための準備は怠らなかったですね。

――さらに、15年にはドラマ「ブスと野獣」で初主演を務めます。

 前の年(14年)には、ほぼ無名状態なのに、朝ドラ「花子とアン」や「水球ヤンキース」にも呼ばれたり、奇跡が連続してるんです。だから、本当に有難いことですし、その感謝の気持ちだけで、一生懸命やらせてもらいました。今もそうですが、宮藤(官九郎)さんが脚本を書かれた「ごめんね青春!」に出してもらえた影響も大きいと思います。「ブスと野獣」で初めて主演させてもらったことで、自分の芝居のスキルが上がっていくのを体感できました。


――ちなみに、ご自身の転機となった作品は?

 今後、役者としてやっていくスイッチが入った作品でいえば、「ブスと野獣」と『ちはやふる』です。それまでは大人たちに応援される立場だったんですが、『ちはやふる』では大きなプロジェクトの中で、西田(肉まんくん)という役を担う責任があって、それが自分にとって刺激的だったんです。ちなみに、『ちはやふる』の『下の句』と同時に、「ブスと野獣」を撮っていました。

『ちはやふる』の
人気キャラができるまで


――注目を浴びることになった『ちはやふる』における西田(肉まんくん)の役作りはいかがでしたか?

 あまりにも原作のヴィジュアルとはかけ離れていますから、自分の中では原作の末次(由紀)先生やファンの方には申し訳ないと思いながら、新しい肉まんくんをゼロから作り出すことにしたんです。衣装合わせのときに、小泉(徳宏)監督から「原作をしっかり読み込まなくてもいいかもね」と言われたことも大きくて、セリフやリズムを変えたりしているんです。それで撮影現場にやってきた、末次先生が「めっちゃ肉まんくんだね」と言ってくれたので、「根っこにあるものは、しっかり表現できているんだ」と自信が付きました(笑)。

 ~次回は最新出演映画『映画 賭ケグルイ』についても語っていただきます~


矢本悠馬(やもと・ゆうま)

1990年8月31日生まれ。京都府出身。03年、『ぼくんち』で俳優デビュー。11年、大人計画に研究生として参加し、その後も『ちはやふる 上の句・下の句・結び』「おんな城主 直虎」「今日から俺は!!」など、舞台やドラマ・映画などで活躍。今後公開予定作に、『アイネクライネナハトムジーク』(今秋公開)、舞台「アジアの女」(Bunkamura シアターコクーン/9月公演)がある。


『映画 賭ケグルイ』

「ギャンブルの強さ」で生徒の階級が決まる私立百花王学園内で、非ギャンブルを掲げる集団「ヴィレッジ」が台頭。ヴィレッジ解体とギャンブル狂の転校生・夢子(浜辺美波)潰しを企む生徒会は、全校生徒を強制参加させるギャンブルイベント「生徒代表指名選挙」の開催。「ヴィレッジ」の一員になっていた木渡(矢本悠馬)も参加することに。
全国公開中!
http://kakegurui.jp/
(C)2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・『映画 賭ケグルイ』製作委員会

くれい響 (くれい ひびき)

1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

文=くれい響
撮影=佐藤 亘



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