2019/05/24 17:00

「大人計画」出身の矢本悠馬が 演じてきた愛すべきキャラを語る

 人気TVシリーズの映画化である『映画 賭ケグルイ』で、奇跡の復活を遂げるギャンブラー・木渡を演じる矢本悠馬。原作者からのお墨付きをもらうほどのハマリ役を獲得した彼は、なぜここまで現場で愛されるのか?

現場では常に親しみやすい
可愛らしい人でいたい


――その後も、『君の膵臓をたべたい』でのガム君役のような“愛すべきキャラ=矢本悠馬”のような流れにもなっていきます。さらに、『トリガール!』では「賭ケグルイ」へと繋がっていく英勉監督との出会いを果たします。

 どの作品でも「愛されたい」とかまったく意識していないです。役の見え方のことしか考えてないです。だから、そういうキャラは後から付いてきたオマケのような感じがします。英監督は、とにかく僕の芝居を面白がって、笑ってくれるんです。それにほかの監督の作品より自由度が増している感覚もあって、どんどん監督を面白がらせたいし、想像を上回るものを見せたいという欲求が高まるんです。大人計画にいたときに、先輩から「芝居で自慰行為することも大事」と言われたことがあって、あえて自分のパフォーマンスで自分に酔うことも大切にしていて、そんな“悪ふざけ”がいちばん発揮できる場だと思っています。


――これまで学生役が多く、現場では最年長の立場が多いと思いますが、現場で心掛けていることは? また、そんななかでNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の現場のように年上の俳優ばかりの現場で感じることは?

 学園モノではできるだけ、共演者と近い距離でいたい、と心掛けています。どこかでナメられたいというか、年上がいることによる窮屈な感じを取っ払いたいんです。性格的に怒ったり、イラついたりしないんで(笑)。年下の俳優さんからもらう刺激もありますけど、自分よりも年齢を重ねて、芸を重ねている人と芝居することは貴重ですね。同じような壁にぶつかって、乗り越えてもいますから、教えてもらうことも、学べることも多いですし。常に親しみやすい、可愛らしい人でいたいという想いはあります(笑)。

共演者を悔しがらせる
“純粋に悪”のキャラ


――そして、ドラマ「賭ケグルイ」で演じられたギャンブル学園に通う、暴力的で残忍な生徒・木渡。先ほどの肉まんくん以上に、原作のヴィジュアルとは違いながら、今回も原作者のお墨付きをもらうほどのハマリ役になりました。

 役を演じるうえで、毎回ハマらなきゃいけないとは思っていますが、いつも自分とかけ離れた役ばかりで、「どうしたらいいんだろう?」という戦いの連続ですからね(笑)。木渡に関しては、どういうアプローチで、どういう怖さで仕上げたら、「賭ケグルイ」という作品に生かせるかと考えましたね。“生まれたときから、純粋に悪”という設定を勝手に作って、『ダークナイト』のヒース・レジャーや『レオン』のゲイリー・オールドマンの手振りや顔つきを意識しました。現場では盛り上げ隊長として、ほかの俳優を悔しがらせ、憧れさせてナンボだと思ってやっているだけです(笑)。


――ドラマ「Season1」における木渡の主役回では、これまでほかのキャラも登場していたオープニング映像をジャックしてしまいました。

 自分の回が神回になれば、役者として成功だと思っていましたが、あのオープニングは休憩中、ごはん食べていたときに監督から「木渡だけの別ヴァージョンも撮ってみよかー?」と言われて、何も決めずに自由にやらせてもらったんです。それで、監督に「俺の主役回は、これだけでいいんじゃないですか?」と冗談で言ったら、ホントにやってくれて! これは、今までの役者人生で、いちばん嬉しかったことかもしれません。

家族とともに立ち向かう
30代の壁


――そこまでの人気キャラだけに、今回の『映画版』にも続投することに対するプレッシャーはありましたか?

 自分のなかでは「Season1」で、完全燃焼してしまった部分もあったので、そこにプラス要素を加えるのはプレッシャーでした。だからこそ、登場シーンは今までとはまったく違ったアプローチにしましたし、そこからの復活劇が見せ場かもしれません。また、クライマックスの戦闘シーンでの(早乙女)芽亜里との掛け合いで、優しさはなくても戦友になり、いつの間にか恋愛感情も芽生えてるんじゃないの? と思わせるアドリブ芝居をやらせてもらいました。あのシーンは好きですね。


――今年はドラマ「トレース~科捜研の男~」で演じた刑事役も印象的でしたが、29歳を迎えるにあたり、将来の目標・今後の展望などを教えてください。

 30代が俳優の中でいちばん大切なとき、本番だと思っています。新人でもベテランでもなく、ふるいにかけられていきますから。その戦い次第で、自分の将来が決まるといっても過言ではないので、より腕を磨いていかなきゃいけない、と毎晩寝る前に思っています(笑)。でも、幸運なのは今度、子どもが生まれるんですよ! 自分の力だけじゃ、その戦いに負けちゃうかもしれないけれど、家族がいるから心の持ち様が違う。今まではビビッて、できなかったこともできると思うし、それによって、30代を乗り越えられると思います。それで、矢本悠馬を観て、役者を始める人が出てきてくれたら最高ですね。

一人の男としても憧れる
阿部サダヲの存在


――もし、目指している先輩などがいれば、教えてください。

 若いときはカッコつけて、「いない」とか「持たないようにしてる」と言っていましたが、大人計画にいた頃から、阿部サダヲさんはずっと憧れの人です。自分の芝居を切り開いてくれた人ですし、主演も助演も脇も、二枚目も三枚目も全部やられていて、カリスマ性もある。今でも仲良くさせてもらっていますし、研究生の頃、お酒を飲んだときに「俺みたいになりたければ、俺を見とけ。俺から盗め」と言ってくれて、芸は盗むものだと教えてくださったんです。役者としてはもちろん、一人の男としても憧れているんです。


矢本悠馬(やもと・ゆうま)

1990年8月31日生まれ。京都府出身。03年、『ぼくんち』で俳優デビュー。11年、大人計画に研究生として参加し、その後も『ちはやふる 上の句・下の句・結び』「おんな城主 直虎」「今日から俺は!!」など、舞台やドラマ・映画などで活躍。今後公開予定作に、『アイネクライネナハトムジーク』(今秋公開)、舞台「アジアの女」(Bunkamura シアターコクーン/9月公演)がある。


『映画 賭ケグルイ』

「ギャンブルの強さ」で生徒の階級が決まる私立百花王学園内で、非ギャンブルを掲げる集団「ヴィレッジ」が台頭。ヴィレッジ解体とギャンブル狂の転校生・夢子(浜辺美波)潰しを企む生徒会は、全校生徒を強制参加させるギャンブルイベント「生徒代表指名選挙」の開催。「ヴィレッジ」の一員になっていた木渡(矢本悠馬)も参加することに。
全国公開中!
http://kakegurui.jp/
(C)2019 河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX・『映画 賭ケグルイ』製作委員会

くれい響 (くれい ひびき)

1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。

文=くれい響
撮影=佐藤 亘



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