2019/05/26 07:00

芳醇な香りと酸味、抜群の口溶け! 神戸・和田岬の人気熟成チーズケーキ

 神戸市兵庫区和田岬。

 神戸の中心街、三宮や元町、神戸駅からそう遠くないのに、観光客はもちろん神戸っ子もなかなか足を運ばないエリア。

 古くは平清盛ゆかりの地として知られ、勝海舟の指揮で造られた砲台や明治時代に開削された兵庫運河が残っており、歴史散歩を楽しむことができます。

 近年は、ヴィッセル神戸のホーム「ノエビアスタジアム神戸」があるので、試合の日は多くの人でにぎわうようになってきました。

 そんな街の隠れたお菓子の名店が「PATISSERIE ET… ARUKUTORI(歩く鳥)」。

 神戸市営地下鉄海岸線・中央市場前駅から徒歩約5分。本町公園近くのビルの2階ですが、外や入口には看板がありません。


店内。小さなショウケースと1枚板のカウンター。

店内のショウケース。「熟成チーズケーキ」1800円の他、「プリン」300円、「クレームダンジュ」400円など。

 ドキドキしながら細い階段を上がると、パティスリーとは思えないほど素っ気ない入口。

 中に入ると、小さなショウケースとスタンディングのカウンターで、奥にはテーブル席も。

 ウィリアム・モリスの壁紙やクラシックな家具が印象的な、ゆったり落ち着いた雰囲気。店主・赤松大輔さんが迎えてくれます。


テーブル席は2席。他はスタンディングのカウンター席です。

テーブル席。

 赤松さんは、1979年生まれ、和田岬の出身。「当時ブームだったオシャレなカフェに憧れて(笑)」、製菓専門学校で学び、23歳で「神戸北野ホテル」へ。デザートやケーキ作り、ホールも担当します。

 その後、南京町にあったカフェ、結婚式場も経営するレストランなどで働きながら、独立開業を目指して物件探しをしつつ、「チーズケーキを作り、口コミで注文を受けて配達したり、週末のイベントに出店するようになりました」とにっこり。

 オシャレなアパレルショップにも赤松さんのチーズケーキが注目されて、店で扱われるようになります。

 2014年に開業すると、赤松さんが作る「熟成チーズケーキ」は芳醇な香りと酸味、抜群の口溶けが口コミで広がり、ますます人気に。

 そして、2019年1月18日、実店舗をオープン。


「熟成チーズケーキ」ホール1,800円。

「地産地消で、神戸のものを手土産にしたり、地元のものを食べようという意識の高まりのおかげで、少しずつ広まり、コツコツ手作りでやってきました」と赤松さん。


オリジナルのスリップウェア。

 純国産鶏にこだわる淡路島の北坂養鶏場から直送された卵を「プリン」に、また、以前ご紹介した神戸市北区の「弓削牧場」の生チーズ・フロマージュ・フレを「クレームダンジュ」に使用。

 また、季節限定のイチゴは、神戸市北区淡河の個人農家・森本聖子(しょうこ)さんが栽培するもの。生産者を赤松さん自ら訪ねて使っているのです。


神戸市北区淡河の個人農家・森本聖子(しょうこ)さんが栽培するイチゴを使用(期間限定)。

 大人気のベイクドチーズケーキには、フランス産のクリームチーズを使用。サワークリームを加えて、軽やかな風味に。

「マダガスカル産の高級バニラビーンズを使っているのもポイントです」と赤松さん。

 底のクランブルはキャラメリゼしており、作りたてはシャリッとした食感。冷蔵庫で数日寝かせると、水分を含んでしっとり。食感と口溶けが変化します。

 これが、赤松さんが言う「熟成」。味の変化を楽しむチーズケーキは、濃厚なのに後味すっきり。虜になるおいしさです。

コーヒーと共に楽しみたい
絶品イートインメニュー

 お菓子をご紹介しましょう。

 持ち帰りや通販もありますが、何といってもお店でしか食べられないイートインメニューに注目です。


「2種のチーズケーキとイチゴのパフェ」1,300円。

パフェを作る赤松さん。

「2種のチーズケーキとイチゴのパフェ」は、ベイクドチーズケーキとクレームダンジュの2種類のチーズケーキが一度に味わえる贅沢な一品。

 ベイクドチーズケーキの底に敷くクランブルのキャラメリゼの甘さ、カシスとブルーベリーのソースの酸味がアクセント。メレンゲもトッピングされて、様々な食感、風味が楽しい。

 イチゴは季節限定で、なくなると他のフルーツになります。


「プリン・ア・ラ・モード」800円。

「プリン・ア・ラ・モード」は、北坂養鶏場の卵を使った固めのプリンが主役。

 どこか懐かしい味わい。ほろ苦いカラメルソースとプリン本体の甘さが絶妙です。

 トッピングのバナナの断面をわざわざキャラメリゼするこだわりがうれしい。


イートインの「クレームダンジュ」400円。グリオットチェリーのソースで。

テイクアウトの「クレームダンジュ」400円。中にグリオットチェリーが入っています。

 イートインの「クレームダンジュ」は、まるでレストランのデザートのような皿盛り。

 グリオットチェリーのソースのしっかりした酸味が、生チーズの優しい風味を際立たせます。さわやかで、クセになるおいしさ。


イートインの「熟成チーズケーキ」400円。生クリーム、カシスのソースを添えて。

 同じくイートインの「熟成チーズケーキ」は、生クリームとカシスのソースを添えて。

 ソースは季節で色々変わります。口の中ですうっと消える、はかない口溶けを堪能。

「家では食べられないスタイルで味わってほしいんです」と赤松さん。

 まずはそのままで、次に自家製のソース、生クリームを付けて味わえば、ひとつで二度おいしい。


同じ兵庫区にあるオリジナル土鍋自家焙煎の『tent-coffee(テントコーヒー)』の豆を使用。

 スイーツに合うように赤松さんはコーヒーも厳選。地元・兵庫区湊川にある土鍋自家焙煎の「tent-coffee(テントコーヒー)」の豆をペーパードリップで。

 香り高くコク深いのに軽やか。チーズケーキによく合います。

「椅子席が2席しかなくて」と赤松さん。カウンター席で立ったまま食べるお客さんも多いのだとか。

 友人宅でおしゃべりしながらのスイーツタイムといった気軽さもいいのです。

「小さい頃、ヒヨドリの雛を拾って14年も飼ったんです。自分の店には“鳥”を付けたいと思っていた。そして、甘いお菓子はゆっくり食べてほしい。ゆっくり歩いていきたいという思いも込めて、歩く鳥と名付けました」と赤松さん。

 チーズケーキは全国発送していますが、「季節に合わせて、僕がおいしいと思うフレッシュケーキを色々作り、出していきたいと思っています。お店では、できたてのデザートを食べてほしい。コーヒーも合わせて楽しんでもらいたいです」。

 隠れ家パティスリーで、甘い密やかな時間を満喫しましょう。

PATISSERIE ET… ARUKUTORI(歩く鳥)

所在地 兵庫県神戸市兵庫区島上町2-2-22-2F
電話番号 078-381-6163
http://arukutori.com/


宗田洋子(そおだ よおこ)

ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

文=そおだよおこ
撮影=坂上正治



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