2019/06/05 17:00

慶應義塾大学医学部教授が証言! 「ピーナッツは太る」という常識の嘘

 世界中でいま、ピーナッツに注目が集まっています。栄養バランスが優れているにもかかわらず、値段が安く、しかも美味しいから。

 その健康効果を慶應義塾大学医学部の井上浩義教授・著『ハーバード大の研究でわかった ピーナッツで長生き!』よりご紹介します。



カロリーは高いが
コレステロールは含まれていない


 ピーナッツと聞くと、「脂肪分が多い=太る」と早とちりして、敬遠される方がいらっしゃいます。では、「ピーナッツの栄養素は、“畑の肉”と称される大豆と似ているんです」と聞いたら、どうでしょう?

 ピーナッツは、ヘルシーかつ栄養たっぷりな点で豆の仲間を代表する大豆に、成分が似ています。大豆は、タンパク質が38%、脂質が18%、炭水化物15%、糖質15%、水分14%といった栄養成分。ピーナッツは49%が脂質、26%がタンパク質、19%が炭水化物ですから、大豆に比べると、タンパク質はやや少なく、炭水化物と脂質が多くなっています。

 いわゆるナッツ類だと、脂質の多いのはマカダミアナッツ、ヘーゼルナッツ、クルミ、アーモンド、カシューナッツという順。ピーナッツはその下に位置します。

 脂質は毎日摂らなければならない、身体に必要な栄養素です。成人の身体を作る60兆個の細胞は、タンパク質で出来ています。しかし、その周りを取り囲んでいるのは、脂肪です。食べ物から脂質を摂らないと、細胞は新陳代謝を起こせないのです。

 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、食事のエネルギーのうち、約25%は脂肪から摂ることを勧めています。すなわち、1日で脂肪(油脂)40~50グラム程度を摂ることが必要です。どうせ脂肪を摂るのなら、身体にいい脂肪を選びたいものです。

 確かにピーナッツは、半分が脂質でできています。問題は、脂質の中身です。ピーナッツの場合、摂りすぎるとよくない飽和脂肪酸は、約20%。残りの約80%は、身体にいい不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸の内訳は、オメガ6と呼ばれるリノール酸が約30%。残りのうち約半分は、オメガ9と呼ばれるオレイン酸です。

 オレイン酸といえば、健康にいいからたくさん摂りましょうと言われるオリーブオイルの主な成分です。ピーナッツの脂質の中心であるオレイン酸は、その栄養的価値と共に、酸化されにくく安定性が高いために、ますます注目を集めています。

身体にいいオレイン酸が
ピーナッツにもたっぷり


ピーナッツのオレイン酸とリノール酸と他の食品の比較。

 ピーナッツが含むオレイン酸の健康効果について、6カ月かけて行なった試験があります。片方のグループは、低脂肪食を食べます。もう片方のグループは、ピーナッツから作った高オレイン酸をそれにプラスした食事を摂り続けます。

 結果、低脂肪食だけのグループは中性脂肪が増えてしまいましたが、低脂肪食+ピーナッツの高オレイン酸グループは、わずかとはいえ減っていることがわかりました。悪玉と呼ばれるLDLコレステロールの数値は、低脂肪食だけのグループも減りましたが、低脂肪食+ピーナッツの高オレイン酸グループは、大きく減少していることが明らかとなりました。

 総コレステロール値は、低脂肪食だと247mg/dlから241mg/dlと、わずかしか減少しませんでした。しかし低脂肪食+ピーナッツの高オレイン酸グループでは、264mg/dlから238mg/dlへ、大きく減らすことができたのです。こうした結果から、ピーナッツのオレイン酸は身体を健康な状態に改善してくれることがわかります。ピーナッツの脂質は、身体にいい脂質。日頃の食事に、上手に活かしたいものです。

コレステロールを
適正に保てば太らない

 コレステロールというと、天敵のように思われるかもしれません。しかし実は、細胞膜を安定化させたり男性ホルモンや女性ホルモンを作る原料となる、人間の身体に必要不可欠な物質です。コレステロールの値が低すぎると、細胞膜や血管が弱くなったり、免疫力が低下したり、脳内出血の危険があるといわれます。

 このコレステロールが血液の中を動く時に被るリポタンパク質の種類によって、悪玉(LDL)コレステロールと善玉(HDL)コレステロールに分類されます。悪玉コレステロールが多いと、血管に付着して動脈硬化の原因となり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす危険があります。善玉コレステロールは、血管に付着した悪玉コレステロールを除去します。

 中性脂肪が増えると、善玉コレステロールが減り、悪玉コレステロールが増えてしまいます。身体には常に一定量のコレステロールが必要なのですが、量とバランスを適正に保つことが難しいのです。食事由来のコレステロールは、実は20%にすぎません。

 80%は肝臓から分泌されます。食事からコレステロールをたくさん摂ると、肝臓は生産量を減らし、体内のコレステロール総量が一定に保たれるように調節します。つまり、食べた食品に含まれるコレステロールの量が、血中のコレステロール値にそのまま反映されるわけではないのです。

 ところが、この調節機能には限度があります。うまくいかなくなってバランスの崩れた状態が、脂質異常です。肝臓で合成する量が増えたり、食事の脂肪分が多くて悪玉コレステロールが増えすぎると、血管に付着して動脈硬化の原因になります。

 肝臓で作られるコレステロールの原料は、動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸です。したがって悪玉コレステロールの値が高いときは、肉や乳製品から魚や野菜が中心の食生活に切り替えて、飽和脂肪酸の摂取を抑え、甘い物やアルコールを控えて中性脂肪を増やさないように心がけることが必要です。

 食物繊維には、コレステロールが腸から吸収されるのを防ぎ、便として体外に排出させる働きがあります。このことは、肥満の解消にも繋がります。ピーナッツの脂質に、コレステロールは含まれていません。その代わり、不飽和脂肪酸や食物繊維が豊富です。


ハーバード大の研究でわかった
ピーナッツで長生き!

著・井上浩義
定価1,300円+税
文藝春秋


井上浩義(いのうえ ひろよし)

1961 年福岡県出身。慶應義塾大学医学部教授。医学博士、理学博士。九州大学理学部化学科卒業。同大学院理学研究科博士課程修了。専門の薬理学、原子力学、高分子化学のみならず「食と健康」についても造詣が深く、ナッツやえごま油など「健康によい油」の有用性研究の第一人者でもある。NHK『あさイチ』などテレビ出演多数。著書に『知識ゼロからの健康オイル』(幻冬舎)、『カカオでからだの劣化はとまる』(世界文化社)、『食べても痩せるアーモンドのダイエット力』(小学館101新書) など多数。

文=井上浩義



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