2019/06/10 11:00

西城秀樹一周忌フィルムコンサートへ 客席は高音低音涙声情熱の嵐よ

WOWOWのヒデキ特集で
ウォーミングアップは万全


東京・豊洲PIT「HIDEKI SAIJO FILM CONCERT 2019 THE 48」会場の入り口では、ヒデキの特大パネルがお出迎え。記念撮影するファンが後を絶たず、私も自撮りを試みたが、肝心のヒデキが入らない、私が入らない、ブレるを繰り返し断念。

 2019年4月末。私は悩んでいた。ツイッターで新時代の盛り上がりと絡まり合いながらガスガス流れてくる西城秀樹フィルムコンサート開催の情報――。

 なにぃッ、東京の豊洲PITで5月14日から17日まで開催!? 大阪に住む私にとっては行きたいが遠い。財布と時間と締め切りが許さない。

 ところが「平成」という漢字が「西城」に見え始め、「レイワ」と聞くと「ローラ」と聞こえてきたあたりから、こりゃ重症だと自覚した。

 人間行かねばならぬ時がある。ヒーローに会う時、それは今。よっしゃ豊洲PITにピットインしてやろうじゃねえか!


熱唱するヒデキの姿がプリントされている方が豊洲PITでいただいたチケット。この写真を撮ったあと、まさかの紛失(泣)。私としたことが……。今でもその面影を探している。

 ということで17日の昼の部のチケットを掴んだ私。

 さらにグッタイミンなことにWOWOWが16日、『ブロウアップ ヒデキ』『西城秀樹ライブ~バイラモス2000~』、そして映画『傷だらけの勲章』という、5時間半ブチ抜きヒデキ特集をしてくれたのである。

 私はこれを勝手にWOWOWが「心のウォーミングアップにどうぞ」と用意してくれたと受け取った。視聴せずにいらりょうか!


『ブロウアップ ヒデキ』劇場公開時のポスター。本作は、1975年に開催された「西城秀樹・全国縦断サマー・フェスティバル」の模様を収めたドキュメンタリーである。

 クーッ『ブロウアップ ヒデキ』。鉄棒にしがみつき「悲しみのアンジー」を歌うヒデキの問答無用な色気に呼吸が一時停止。さらには客席の熱狂を映したことにより舞台上のヒデキは脚しか映らないというシーンに「上! もっとうえッ!」と絶叫し。

 カーッ『西城秀樹ライブ~バイラモス2000~』。「愛の十字架」「サンタマリアの祈り」の聖なる歌声にリビングで膝をつき祈り始め。

 ヒーッ『傷だらけの勲章』のハードな展開に直面する若手刑事ヒデキの奔走にピーナツ一袋を消費し。

 そんな私の一人どんちゃん騒ぎを見ていた老母の憐れみの視線と「アンタはいつ落ち着くの」という一言が痛かったが、秀樹愛は120%充電に成功。

 よし、エンジンは存分に温まった。行くぜ豊洲。待っててヒデキ!

会場に響き渡る
ヒデキコールに泣く


購入したTシャツ(M寸)。情熱的に手を伸ばすヒデキのプリントは卑怯! こんなの買ってしまうに決まっているだろうが。背景を彩る地味なカーペットについては触れないでいただきたい。

 いざ、「HIDEKI SAIJO FILM CONCERT 2019 THE 48」17日昼ライブ当日。開演20分前にたどり着き、ドリンクチケットで交換したビールを一気に飲み干し慌ててグッズ売り場へ。

「Tシャツ下さいッ。なに黒のL寸が売り切れ? じゃあM寸カモンバイラモス!」

 一人参戦の緊張と急なアルコール摂取のため、ハイテンションどころかハイハイハイテンションになってしまっている自分が怖い。

 ペンライトも購入してみた。人生初である。

 振る。光らない。振る。光らない。先を叩いてみる。下のほうをヒネる。光らない!

「うおおおおお!!」

 私は50年も生きてきて、ペンライトの光らせ方一つ知らん(崩れ落ち)! 無力。あまりにも無力。


「HIDEKI UNFORGETTABLE」と書かれたサイリウム。ブルースカイブルーのブルーを買おうと思っていたのに、なぜか勢いで「ピンク」と注文していた自分がよくわからない。

 このままではただのぼんやりしたピンクの棒を振る人になってしまう……。そんなこっちゃヒデキに申し訳なくて大阪に帰れない。誰か~ッ!!

「ペンライトを輝かせたいのですがなにぶん初めてのことでして」
「ひえっ」

 突然呼び止めたのでスタッフ嬢が一瞬飛びあがっていたが、すぐ聖母のような微笑みで「折るんですよ」と教えてくれました。いやもう本当にありがとうございます、サンタマリア……。

 何でも、最近使われるこのタイプのペンライトのことは「サイリウム」と呼ぶらしい。

 会場はほぼ満席。一人参戦の人も多いようである。おおッ、横の席の上品な装いのマドモアゼルもまさに!

「私も一人参戦なんですよ」と話しかけたい。いや待て。馴れ馴れしい話しかけが苦手という人も多いと聞く。でも「ヒデキのどの曲が好きですか?」とか聞きたいッ。

 そんなモジモジを続けながら、結局モジモジ以上のなにもできないまま、会場は暗転した。

 さあ始まるわ!

「走れ正直者」で涙腺崩壊!


会場に貼られた案内ポスターの角のめくれ具合からも、このフィルムコンサートの迫力、そしてファンの「じっとしていられない感」が漂っている。

 この日はデビュー20周年の際に開催された、1991年の『HIDEKI SAIJO CONCERT TOUR '91 -FRONTIER ROAD-』の映像がメイン。

 そしてコンサートの1時間、私は興奮で我を(取材を)忘れた。

 デデンと大画面に映るヒデキの麗しい顔。その途端ザッという音とともに立つファン。会場にドドッと溢れる、ペンライトの光の波!

「ヒデキ――――ッ!!」

 気がつけばここ何年も出したことのないカン高い声をはりあげていた。

 私だけではない。んもうあちらこちらから高音低音涙声金切声あらゆるトーンで聞こえる秀樹ひできヒデキHIDEKIの歓声。

 その一体感に背中を押され、二の腕をブルンブルン振り回し、もう夢中で聴く叫ぶ踊る!

「やめろと言われても~♪」「ヒデキー!」
「Y! M! C! エーイ!」

 歌とともに揃う合いの手。ペンライトが揺れる、会場全体が揺れる!

「走れ正直者」で涙腺が崩壊したのは我ながら驚いた。まさかソーセージだのハムだの、泣きながら加工食品の名称をさけぶ日が来ようとは。それほど大画面で見るヒデキのシャウトがロックだったのだ!

 洋楽のカバーも多く、その声量・歌唱力の迫力に「海外でも絶対通用するよなあ」と改めて驚愕し、時々混じる涙声の歓声にもらい泣きし。

 終わった……。あっという間だった。振り過ぎてペンライトを飛ばしそうになったよ!

「なんであんなにかっこいいんですかね」
「ハイ、本当に」

 会場の電気がついて、自然に隣のマドモアゼルと感動の交換会。ああ、これか。無理に話しかけなくてもいいんだな。お互い満面の笑みだが、瞳はうるうるである。

 一緒にペンライトを小さく振って、声が揃った。

「ヒデキ、最高!」

 そうなのだ。ヒデキを追う人は不思議と、

「かっこいいですよね」

 現在進行形で彼を語るのである。

 愛は止まらない。それどころか最近初めて彼の歌声に触れ、愛し始めた若きファンも増え、新たな「西城秀樹」が始まっている。これってなんてすごいことだろう。

 ただ、ライブは楽しいほど帰りが寂しい。

「リーンリン、ランラン……」

 会場を出ると、豊洲のブルースカイブルーが猛烈に沁みる。「走れ正直者」、良かったなあ。一周忌記念、で終わらず、またこういったイベントがあってほしいなあ。

 その時はまた思いきりペンライトを振るぞ。そして叫ぶぜ、ヒデキ最高、と!


田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

文・撮影=田中 稲



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