2019/06/15 07:00

イタリアにも魚醤の産地があった! アマルフィ海岸で絶品パスタを堪能

#174 Cetara
チェターラ(イタリア)


町の背後の山は標高932メートル。レモンの段々畑も見えます。

 南イタリアのソレント半島の南岸、アマルフィ海岸。

 前回は海岸線に連なる町の中でもメジャーどころをピックアップしましたが、今回は「食」をテーマにさまよった、小さな町をご紹介しましょう。美味しい名物料理と出会えました!


アマルフィでは珍しく、観光ではなく漁業の町。

 まず向かったのは、コラトゥーラ・ディ・アリーチ・ディ・チェターラ(以下、コラトゥーラ)と呼ばれる、魚醤の一種の産地。


アンチョビや魚醤が名産の町、チェターラ。

 ナンプラーやニョクマム、しょっつるなど、アジアの調味料だと思っていた魚醤が、ヨーロッパにもあったとは!


港を囲むように漁の道具を収納する倉庫が。

 古代ローマ時代に使われていた調味料「ガルム」から変遷してきたというコラトゥーラ。

 そもそものガルムは肉料理、魚料理、デザートにまでも振りかけられ、食事に欠かせないばかりか、水で薄めたものは犬にかまれた時や赤痢などにも万能薬として使われたとか。

 オセアニアの万能薬「ノニ」をも超える、信頼ぶり。もはや魔法の域です。

 けれど古代ローマ時代の終焉とともにガルムの製造法も立ち消え、ヨーロッパではこのコラトゥーラくらいしか残っていないそう。


4月の昼下がりのチェターラ。観光客は見かけません。

 その産地が、アマルフィとサレルノのほぼ中間に位置するチェターラです。アマルフィ海岸では今や珍しい漁業を主産業とする小さな町です。


海岸線には他のアマルフィの町と同様、カラフルな家並みが。

コラトゥーラのパスタのお味は?


ラテン語で“マグロ漁の網”や“アルマドラバ(定置網漁)の大型魚を扱う魚屋さん”という名のチェターラ。

 標高932メートルのデマニオ山をはじめとするラッターリ山脈が背後に迫り、漁港へ降りていく道を軸に町が広がるチェターラ。

 町の中心には教会のドゥオーモがそびえ、埠頭には小さな漁船がずらりと並んでいます。

 町名がラテン語で“マグロ漁の網”や“アルマドラバ(定置網漁)の大型魚を扱う魚屋さん”などを意味するあたりからも、昔から漁業がさかんだったことを思わせます。

 人口は2,100人ほど。観光客は見かけず、レストランや公園のベンチには地元の知り合い同士が寄り集まって会話を楽しんでいる様子。日曜の午後、穏やかな時間が流れていました。


地元の「リストランテ・サン・ピエトロ」。

 さぁ、コラトゥーラを実食。

 旅行サイトの口コミを参考に、選んだレストランは「リストランテ・サン・ピエトロ」。


これがスパゲッティ・コン・コラトゥーラ・ディ・アリーチ。ペペロンチーノのような、コラトゥーラのスパゲッティ。

 コラトゥーラのスパゲッティは太麺にガーリックと唐辛子、コラトゥーラとオリーブオイルのシンプルな味付け。独特の臭みも、塩味もほどよく、風味豊か。

 3種のアンチョビの前菜も平らげ、すっかり大満足。


「ネットゥーノ」を切り盛りするご夫妻。

 コラトゥーラを買いに、レストランで教えてもらった「ネットゥーノ」という食料品店へ行ってみることにしました。

 店内の棚を見繕っていると、店のご主人が「作っているところ、見てみる?」。


コラトゥーラを漬けた樽。金属部分は塩でさびてしまっています。

工房の一角で、アンチョビの瓶詰を製造中。

 小魚の独特の香りで満たされた小さな工房には、塩をふいた樽がずらり。その脇で、いわしを開き、積み上げる作業をせっせとこなす女性が一人。

 日本にも輸出しているというけれど、なんとも家内工場的なスタイルでした。

ズッキーニのパスタもまた絶品!


古代ローマ時代、貴族たちが夏を過ごした浜辺。

 ソレント半島の先端近くにあるネラーノの町にも、「また、食べに行きたい」と胃袋が訴える一皿がありました。


小さな丸石を敷き詰めたネラーノのビーチ。

 ズッキーニのパスタ、“スパゲティ・アッラ・ネラーノ”。


「ダ・マリア・グラツィア」は船着き場にもテーブルを並べるほどの盛況ぶり。

 ネラーノは古代ローマ時代に貴族たちのヴァカンス地だった、小さな海辺の町。浜に海の家のような食堂が数軒、並んでいます。

 そのひとつ「ダ・マリア・グラツィア」が、この一皿の生みの親。1901年にこの店を開業したマリア・グラツィアさんが考案し、1952年頃にはすっかりこの町の名物になっていたとか。


これが、ズッキーニのスパゲッティ。

 さて、実食。

 お皿が前に置かれて、最初、目を疑いました。ズッキーニらしき具材が見当たらない。どうやらズッキーニは繊維状になるまで火を通してあるもよう。

 濃厚なチーズとバターが太いスパゲッティに絡み合って、口いっぱいに頬張ると、うーん、まったり、まろやか。鼻を抜けるチーズの香りに心満たされます。


元気な色使いの食器を探しにヴィエトリ・スル・マーレへ。

 素朴だけれど、美味しい料理を楽しんだ後は、料理を盛り付けるお皿探しにマヨルカ焼の産地ヴィエトリ・スル・マーレへ。


陶器店の中では絵付け教室を開催していました。

 メインのウンベルト1世通りには、陶器店がずらり。一軒ずつチェックしていくのも、楽しみです。


高台に広がるヴィエトリ・スル・マーレからの眺め。

 名産のレモンやフルーツ、タコやロバなど、地元の暮らしに欠かせないアイテムが描かれた、カラフルな陶器。

 ディスプレイとして飾っても、イタリアの太陽のように元気をもらえそうです。

チェターラ

●アクセス サレルノからアマルフィ行きのSITAバスでヴィエトリ・スル・マーレまで約15分、チェターラまで約30分。ネラーノへはソレントからネラーノ行きのSITAバスで約55分
●おすすめステイ先 ホテル・サンタ・カテリーナ
https://www.LHW.com/scaterina/

【日本での問い合わせ先】
ザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド 


古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

文・撮影=古関千恵子



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