2019/06/29 17:00

大手町の温泉旅館でゆったりくつろぐ 「星のや東京」で癒しの休日を

■星のや東京(前篇)

星のや東京(後篇)をみる

 国内のみならず海外に至るまで、さまざまなロケーションに魅力的な施設を展開する星野リゾート。その星野リゾートが、今、特に力を入れているのが「ウェルネス」です。

 この連載では、バラエティに富んだアクティビティ、そしてオーガニックな食事などが楽しめる、ヘルスコンシャスなステイを各地からご紹介します。


大手町のビジネス街にある
静かな「和」の世界


竹や和紙など日本らしい香りに包まれる都心の宿。

 なんでも手が届くところにある都心で、温泉に浸って、極上の料理を味わい、ゆったり静かに過ごす――。

 そんな休日は、なかなかイメージが湧かないかもしれない。でも、それが叶うのなら、これほど贅沢なバカンスはない。


縦の空間に旅館の要素を組み込んだ「塔の日本旅館」。

「星のや東京」は、都心でくつろぐことを実現した日本旅館。

 旅館=庭と木造平屋という伝統的な仕様を覆す、地下2階、地上17階のスリムな外観は、「塔の日本旅館」というコンセプトにふさわしい。


建物を覆うのは、「麻の葉くずし柄」の格子。

 大手町の高層ビルが並ぶ一角に、「星のや東京」は立つ。

 黒い外装はしっくりと周囲になじむが、近づくと江戸小紋をモチーフにしたデザインがあでやかに浮き立ち、日本旅館らしさを感じさせる。


玄関の縁台には歳時記を演出。

 ビジネスマンたちが忙しそうに行き交う通りから一歩館内に入ると、世界は一転。

 歳時記を表現した縁台の室礼(しつらい)が目に入り、ビジネス街から粋な江戸の世界へワープしたかのような、不思議な気分になる。


畳の心地よい香りに包まれながら、館内へ。

「ようこそ、星のや東京へ。お履物を脱いでお上がりください」。そう迎えられるこの感覚は、まさにニッポンの宿。畳の上を歩けば、イグサの青々とした香りと畳の感触に、ほっとする。


最も広い客室の「菊」。ダイニングテーブルやソファ、ウォークインクローゼットを備える。

 館内に入ったときから客室、温泉、エレベーターまでほぼ畳敷きの廊下は、スリッパは不要。

 青々しい香りに心地よく導かれる客室は、伝統の建築様式を大切にした、和の空間だ。ソファやテーブルの重心は低めで、素足でくつろぐにはちょうどいい。

 日本家屋のような雰囲気に身をゆだねれば、一気にリラックスモードに。


「桜」は、竹素材のクローゼットや太鼓張りの障子が特徴。朝は、江戸小紋柄の格子が陽に照らされ、美しい影を障子に描く。

都心に湧く露天風呂の温泉で
空を見上げれば……


一日に何度でも足を運びたくなる、お茶の間のようにくつろげるスペース。

「星のや東京」は全84室。満室でも混雑感がないのは、1フロアに6室という贅沢な造りだから。

 各客室フロアには共有スペースの「お茶の間ラウンジ」があって、お茶を飲んだり、おやつを食べたり、読書をしたりと、思いのまま過ごすことができる。


「お茶の間ラウンジ」には、厳選したお茶やオリジナルのコーヒーなども。湯上がりには、冷凍庫のアイスキャンディーが嬉しい。

 畳続きの客室から24時間自由に行き来できるこのスペースは、いわばお茶の間のようなもの。

 もちろん、客室にもコーヒーやお茶は用意されているけれど、気分を変えてくつろぐのもまた一興。

 旅先で居合わせたゲスト同士が語らいあう風景も、国際都市の東京らしい。


デザイン性と簡易性に優れた着物は、洋服よりも気分が盛り上がる!

 客室に用意されているのは、日本を代表する着物デザイナー、斉藤上太郎によるデザインの“キモノ”。

 着心地がよいジャージ素材を使用し、誰でも簡単に着られる滞在着は、館内だけでなく、タウンウエアとして着ることができるから、これを自慢するために、外を歩きたくなる。



内風呂から続く露天風呂からは、星が見えることも。

 さあ、着物に着替えたら、さっそく最上階の17階にある天然温泉へ。

 お湯は地下1,500メートルから湧く大手町温泉。

 内風呂から続く露天風呂で頭上を見上げれば、天井の隙間に空が。都会の真ん中に温泉が湧き出ている意外性もさることながら、静けさにも驚かされるはず。

 都会の上空に、こんな静寂があるなんて!


温泉の脱衣場に用意されているのは、昔懐かしい瓶入りの牛乳。

 褐色がかった色の温泉は、塩分が強くしょっぱい。温泉に入っているなあと実感するとともに、都心で露天風呂に入る優越感にも浸れてしまう。


日本酒を味わいながら、江戸時代から伝わる曲芸を鑑賞。

 湯上りは2階のロビーへ。ここでは、夕方になると太神楽が披露され、日本酒が振舞われる。

 季節ごとに選んだ日本酒の飲み比べやおつまみを楽しむ時間は、江戸の情緒が満載。現代にいることも、ここが都心であることも忘れてしまう贅沢な時間だ。


17~19時は、2階のロビーが「SAKEラウンジ」に様変わり。季節ごとにセレクトした日本酒や日本ワインが用意される。

フレンチでも和食でもない
「Nipponキュイジーヌ」


シグネチャー料理は「五つの意思」。五味(酸、塩、苦、辛、甘)をそれぞれ小さな一つの料理で再現。料理に合わせて、土台にする石の温度も変えている。

 日本旅館に泊まる一番の楽しみといえば、料理。ゆったりと旬の食材を慈しむ時間は、ああ、旅をしているのだなあと満足感を与えてくれる。

 ここ、「星のや東京」ならなおのこと。


地層をイメージした左官仕上げの壁と大きな岩に迎えられるダイニングは隠れ家のよう。

 魚をメインにその時々に届く最良の素材を生かし、調味料ひとつひとつまで厳選したコース料理のテーマは「Nipponキュイジーヌ」。

 フレンチでもなく、和食でもない。フレンチの世界で名を馳せるシェフ、浜田統之料理長の想いと技法から生まれる、日本ならではのフランス料理だ。


ある料理のモチーフは、蓮の葉に迷い込んだカツオ。ストーリーを想像しながら食べればいっそう美味しく。

「Nipponキュイジーヌ」は、地層をイメージしたダイニングで。

 テーブルに用意された品書きを広げると、そこに記されているのは、料理をイメージした一文字と、食材のみ。

 そんな謎解きのような品書きを眺めながら、これから運ばれてくる料理に思いを巡らせる時間も、ワクワクする。


品書きには「融」と記された鮪の料理。

 料理は、食材も盛り付けも、サプライズの連続。

 市場に出回らずにその地域だけで消費されていた珍しい魚や、調理法がなく注目されることがなかった魚が登場することも。

 そんな名もなき魚や、骨やガラまで無駄なく料理に使うスタイルは、日本古来の食を大切にする心をも感じさせる。


浜田料理長自ら、生産者の元へ出向き、森に入り、食材を吟味。

 それぞれの食材が育った背景に思いを巡らせた料理は、一品一品が一話完結のストーリーのよう。

 たとえば、岩陰に身を隠すように生きる魚はその身を葉で隠して皿の端に配置し、河川から海に注ぎ込む森のミネラルに育てられた魚は、野草やキノコとあわせる。

 器の上に表現されているのは、日本の豊かな海や清らかな川、栄養豊富な土。食べて、感じて、考えて。こんなふうに、料理を慈しむようにして食べるのなんて、何年ぶりだろう。

 美味しいだけじゃない、食べるほどに、幸せに、そして力がみなぎるような「Nipponキュイジーヌ」は、「星のや東京」でしか、味わうことができない。

星のや東京

所在地 東京都千代田区大手町1-9-1
電話番号 0570-073-066(星のや総合予約)
https://hoshinoya.com/


芹澤和美 (せりざわ かずみ)

アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.journalhouse.co.jp/

文=芹澤和美
撮影=鈴木七絵



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