2019/07/07 17:00

沢田研二はあと100年歌える! そう確信させた最新ライブの一部始終

ジュリーの歌声が
進化しているというのは本当か


今回のツアータイトルと同名のシングル「SHOUT!」は、2019年3月11日(月)にリリースされた。この日付からメッセージが伝わってくる。

 ある日、ご近所に住む沢田研二ファンのマダムとばったりお会いし、ジュリーのライブの話になった。

「とにかく素晴らしいから。本当に素晴らしいから! 最高に素晴らしいから!!」

 彼女はきっと前前前世からジュリーが好きなのだろう。語りに愛が吹き出ていて、立ち話ながら猛烈に感動してしまった。

 かくいう私もずっとジュリーのライブに行ってみたいと思っていたのだ。そもそも今のコロンとした体形のジュリーは私の好みど真ん中。しかも、

「ジュリーはライブで飛んだり跳ねたり動き回るらしい」
「歌声が全く衰え知らずらしい」
「昔のヒット曲はあまり歌わないらしい」

 などなど、漏れ聞こえる噂がとにかくワイルド&タフ。

 どこまでが真実なのかジュリーよ……。が、心で何度そう問うたところでジュリーが突然目の前に現れ「本当のところはですね」とか答えてくれるはずもない。

 ならばこの目でそれを確認せねば! レッツゴー、フェスティバルホール!

 そして2019年5月14日(火)、ライブ「SHOUT!」に行ってきました。


フェスティバルホールに貼り出されていた、ドシンプルな告知。ここからもジュリーの歌に対する自信とライブのストレートな意気込みが垣間見える。

「ちょっと待て。2カ月前ではないか」。おっとその突っ込み、ごもっともである。

 が、言い訳sorry聞いてよアムール! 沢田研二の歌声の衝撃をどうお伝えしようか、表現に悩み続けたエブリデイだったのである。

「すごく上手い」平凡。「パネェ」軽い。私は最終的に平成末期の若者が生み出したミステリアス・ワード「マジ卍」の応用性の高さに気づかされた。

 そう。ジュリーはマジ卍であった。

 いや待てそんな一言でここまで読んでくださった方が納得するはずはない。もうあの時間の興奮をそのまま伝えよう。そしてファンの方の怒りを覚悟で言おう。

 彼は人間じゃなかった。歌のモンスターだった、と!

ジュリーが走り回るというのは
本当なのか



背中の「OLD GUYS ROCK」がイカすわ! お出かけにも着ていける、オシャレなデザインである。背景に映る地味なカーペットについては触れないででいただきたい。

 沢田研二ツアー「SHOUT!」。今回は、サウンドは柴山和彦さんのギターのみと言うではないか。

 どこまでも粋な演出であり、自信の表れと見た。

 なるほど、この目で確認させていただくわ。ふふふ……と独り言をつぶやきつつ物販でTシャツゲット。

 そして暗転。

 いざ、私がフェスティバルホール2階席から目を凝らし見た人生初生ジュリーは!

「あれっ、思ったよりお痩せになってる!」

 であった。もっともっと表情とか見たいのに視力が(泣)。必死で身を乗り出すと、

「ジューリーー!」

 隣でニコニコと談笑していた上品な美女2人が突然ジュリーモードスイッチオン!

 両手をガッと伸ばし、叫んで手を振る! た、高まるー!

 私も眼鏡を拭いて体勢を整えた。そしてあの噂の真実を知るのだった。

【検証1】舞台を走り回る説

 本当だった。彼は飛んだり跳ねたり、とにかく舞台を走る走る。見ているこちらが心配になるほど走る! 

 アグレッシブな曲の時は、左から右まで舞台をダ―ッと走る!

「ぜいぜいぜい……」

 腰をかがめ、ひょうきんに「疲れた」ポーズを取るが、再び走るし飛ぶ。そして歌う! しかも声量、すごい!

 私は50歳だが、今彼と体力測定勝負をしたら確実に負ける。そう思った。

【検証2】声が進化している説


2009年に上演された音楽劇『探偵~哀しきチェイサー~』のDVD。作・演出はマキノノゾミ、音楽はcoba、振付は南流石が手がけている。

 これまた本当だった。時々カスレる声がやだセクシー! 特に「探偵~哀しきチェイサー」はハートをスクリューパンチで殴られた。あの色気なに!??

 私は若かりし頃、彼の声を「“アダムとイブ”という歌詞がこの世で一番似合うアーティストベスト1」に認定していたが、こちらも今回、「ス・ト・リ・ッ・パー」の歌唱で全く衰え知らずのアダムとイブっぷりを確認することができ、殿堂入りが決定。


『ス・ト・リ・ッ・パ・ー』ジャケット。帽子を粋にかぶったジュリーがセクシーなのは言わずもがなであるが、向かって左のタンクトップ3人衆の圧もなかなかのものである。

 なにより特筆すべきは深みを増した低音。昔より何倍もどっしり重量感がある。ビリビリと腹に響き、おおげさでなく仰天してしまった!

「毎度!」「おいど!」の
コール&レスポンス

 沢田研二。あと100年いける!

 ライブは和やかに進んでいく。そしてジュリーが「毎度!」と叫び、会場が「まいど!」と返すコール&レスポンス……と思い込み、私もハイテンションで「まいどーっ!」と返していた。

 なーんか周りと響きが合わない気がするが、まあ私の声が甲高いせいじゃろうて、と勝手に自己完結し、最後まで「まいどーっ!」で貫いた。

 ところが、後から知ったのだが「おいど」と返すのが大阪流だったそうなのである。

 ひーっ、あの違和感は「ま」と「お」の違いだったか―ッ! OHミステイクッ。

 ありがとう、サンキュー、ありがとうねえ。ジュリーは歌うごとにそう言って手を振る。

 かかカワイイ。ジュリーがかわいい!

「ジュリーちょっと怖い人かも」という先入観は、スカッとファラウェイ。

 両手を振って「ジュリー!」と叫ぶ人の手と声が波のようだ。きれい!

 それを見ているうちに、噂その③の「ジュリーは昔のヒット曲をあまり歌わないらしい」に関しては、検証をやめた。

 少なくとも、私が口ずさめる曲は5曲あったが、ファンの方々にとって、どこまでが“昔のヒット曲”なんだろう? とわからなくなってきてしまったからである。

 舞台狭しと走り回る70代のパワーボイスは、マジ卍。明かりがついても現実に戻れない。

 私は今ジュリーの魔法にかかったシンデレラよ。あえてジュリーをお前呼ばわりする失礼をお許しいただきたい。ああもう「お前が魔法使い」だってば!

 沢田研二大好きなマダムは照れくさそうにこう話していた。

「ジュリーのライブの前には、ヘアカットに行って髪を整えるの。ふふ、もうね、片思いよね。でもいいの。生きる支えなのよね。これからもずっと、ずっとファン!」


1986年6月、東京プリンスホテルにて行われたデビュー20周年パーティーで鏡割りを行う沢田研二。この時、38歳である。

 以前沢田研二の記事を書いた時も、ファンの方から、

「ジュリーがずっと大好き。いつか彼のライブを見に行きたいから頑張っています」

 というメッセージをいただいたことがあった。

 わかる気がした。私も、ライブから2カ月経ったが、あの深い声が腕とか腹とかにまだ響いて忘れられないもの。

 沢田研二ツアー「SHOUT!」は2019年11月28日(木)まで。彼のSHOUTに魂ぶち抜かれに行く人がたくさんいる。彼の歌声が支えという人も、何人もいるのだろう。

 70を過ぎたジュリーの魔力、いまだ進化中である。

 そして、今もだれかを若返らせている。


田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

文・撮影=田中 稲
画像=文藝春秋



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