2019/07/16 07:00

ロンドンの「食」エキシビションで ユニークすぎるカナッペを試食する


エキシビションの入り口。賑やかな看板が吊るされています。

 食への関心が世界的に高まっている昨今、ただ「おいしく食べる」というところから一歩進んで、環境やサステイナビリティなどとの関連を考えるエキシビション「FOOD: Bigger than the Plate」が、現在、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(以下、V&A)で2019年10月20日(日)まで開催中です。

 エキシビションでは、会場を「Compost(堆肥)」「Farming(農業)」「Trading(取引)」「Eating(食)」の4つのセクションに分け、食材の生産から流通、調理されて堆肥になるまで、それぞれの工程において、生産者やシェフ、科学者などとアーティストがコラボし、新しいアイデアを提案しています。

◆Compost(堆肥)

 最初のセクション「Compost」では、食べることによって生まれる廃棄物に光を当てています。

 自然のサイクルのなかでは、有機廃物は土に帰り、新しい命のもとになるところ、現代社会では埋め立て地となったり海に廃棄されたりすることで、有機的な連鎖が途切れがち。

 世界的な廃物問題を受けて、無駄を防いで有機的なサイクルを再構築することや、廃棄物を再利用するための斬新なアイデアの数々が展示されています。


食卓や農業の場で廃棄されるものを使った新素材の数々。特に微生物によって分解可能な素材へと変化させることで自然のサイクルに戻ることが可能に。コーヒーの廃物から作られたメガネフレームは、2年後にもまだコーヒーの香りがするそう。

 たとえば、人間の排泄物を再生エネルギーと堆肥に変える水を使わないトイレや、今までなら捨てられていた動物の骨、フルーツの皮などを使った新素材も盛りだくさんです。

◆Farming(農業)

 次なる「Farming」では、現在の生産にまつわる問題を浮き彫りにするような作品や、新しい提案を展示しています。

 人間の基礎的な活動のひとつでありながら、現在の英国において農業に直接的に関わっているのは、全人口の1.5%。また現在の農業のあり方は気候変動に悪影響を与えているとも言われています。


コーヒー豆のかすを集めた袋で栽培されているマッシュルーム。©Naoko Tamiya

 ここには、サステイナブルな技術を使って、おいしい食材を育みながら、人と人とを繋ぐ農業を模索する多様なアプローチについて展示されています。

 なかでも印象的なのが、「アーバン・マッシュルーム・ファーム」という展示品。吊り下げられた巨大なサラミのような見かけのものから、にょきにょきと生えているマッシュルーム。

 土台は、なんとV&Aのカフェから毎日1,000杯分排出されるコーヒー豆のかすです。育てられたマッシュルームは、カフェで食材として使われているそう。廃物の有機的な再利用の一案です。

◆Trading(取引)

 さらに進んで「Trading」のセクションへ。ここでは、食材の売買から流通に関する問題が、アートというフィルターを通して展示されています。

 英国の大手スーパーマーケット・チェーンのパッケージに用いられているモチーフを再構成したアートパネルや、エクアドルで摘み取られたバナナがアイスランドのスーパーマーケットに辿り着くまでの8,800キロの旅路に注目する作品など、考えさせられる展示ばかり。


ブラジルの田舎で太陽光発電を使って製造されたパイナップルのビール。環境的にも経済的にも、また文化的にも地元を助ける役割を担っているのだそう。

 また、東ロンドンの地域住民によるグループが、自分たちで摘み取ったフルーツやハーブ、ホップを利用して製造しているドリンクの試飲カウンターも要チェック。

 暑い日にのどをさっぱりと潤してくれるハーブ・ウォーターが味わえます。


東ロンドンの地域住民によるグループが、自分たちで摘み取ったフルーツやハーブ、ホップを利用して製造している「カンパニー・ドリンクス」。この写真は、2018年のホップ収穫時の様子。写真提供:Company Drinks、©Nick Matthews

◆Eating(食)

 最後のセクションが、日々の食生活と最も関わりの深い「Eating」。


「Eating」セクションの内観。©Victoria and Albert Museum, London

 調理することと食べること、食文化に関する展示品が集められています。

 伝説的なスペインのレストラン「エル・ブジ」のシェフ、フェラン・アドリアによるアートワーク、歴史的なレシピや、SNSインフルエンサーによる写真、また有名ミュージシャンやシェフの粘膜からとったバクテリアから作られたチーズ、V&Aのコレクションからの食に関する歴史的な広告や食器なども並んでいます。


「エル・ブジ」のシェフ、フェラン・アドリアによるアートワークや、デザイン性に優れたケーキの仕様書ポスターも。

 このセクションの目玉は、「LOCI FOOD LAB」のカウンターです。自分が食に求める最も重要なキーワードを3つ選ぶと、それをベースにパーソナライズされた小さなカナッペをその場で作ってくれる、というもの。


カウンターで「A great food system should be」の後に入るキーワードを3つ選ぶと、パーソナライズされた小さなカナッペを作ってくれる「LOCI FOOD LAB」。「Delicious」「Zero Wasting」「Open Source」を選んだら、なんとこれまでに同じ組み合わせを選んだ人はゼロ、という結果に。写真提供:Victoria and Albert Museum (C)Center for Genomic Gastronomy。

 エキシビション出口にあるショップのインテリアも、ファームショップ風。


専用ショップは、まるでファームショップのようなインテリアです。©Naoko Tamiya

以前CREA WEBでご紹介した「Cult Vinegar」もずらり。

 以前にご紹介した「Cult Vineger」など、普段のV&Aでは扱っていないような、興味深い食品のラインナップもお見逃しなく。

 日常生活と関わりの深い食と環境を、現代的な切り口で展示しているので、食べること・料理をすることが好きな人には楽しめるエキシビションです。

FOOD: Bigger than the Plate

会期 2019年10月20日(日)まで
会場 Victoria and Albert Museum
所在地 Cromwell Road, London SW7 2RL
開場時間 10:00~17:45(金曜 10:00~22:00)
料金 17ポンド
https://www.vam.ac.uk/exhibitions/food-bigger-than-the-plate

安田和代(KRess Europe)

日本で編集プロダクション勤務の後、1995年からロンドン在住のライター編集者。日本の雑誌やウェブサイトを中心に、編集・執筆・翻訳・コーディネートに携わる。
●ロンドンでの小さなネタをつづったインスタグラム @gezkaz
●運営する編集プロダクションのウェブサイト http://www.kress-europe.com/

文・撮影=安田和代(KRess Europe)



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