2019/09/01 11:00

マティス・ブルーの海でダイビング! 息をのむほど美しいファカラバへ

 赤道を越えた南太平洋に、“楽園”という響きが世界でいちばん似合う島々がある。

 19世紀後半から20世紀にかけて、欧州の画家やシンガーなどアートに心捧げた人々は、文明によって失われた楽園を求め、タヒチを目指した。

 彼らを惹きつけてやまなかった何かを探しに、タヒチの島々――ボラボラ島、ファカラバ島、マルケサス諸島のヒバオア島、タヒチ島へ渡った。


マティス・ブルーを生んだ?
ファカラバの澄みわたる青


大きな空と水平線が広がるツアモツ諸島のファカラバ。

 ボラボラ島やタヒチ島があるソシエテ諸島は“ザ・タヒチ”的な緑の高峰とラグーンが織りなすコントラストが印象的。

 それに対し、ツアモツ諸島は海面すれすれの島々がネックレス状に連なり、遮るもののない大きな空が広がる。


南ファカラバの沖にあるピンクサンド・アイランド。

よろず屋さんの前で集う島の子供たち。

 タヒチ島から北東へ約450キロに位置するツアモツ諸島のひとつ、ファカラバは、フレンチポリネシアで2番目に大きな環礁。

 島々の連なる環礁は全長約60キロもあるけれども、陸地の総面積はわずか15平方キロメートル、およそ渋谷区ほどしかない。

 人口は806人。ちなみに、渋谷のスクランブル交差点の1回の青信号で横断する人数は約3000人だとか。


水中はマティスのブルーのよう。魚の群れの密度と大きさにもびっくり!

 無垢な自然がたっぷりと残るファカラバは、ユネスコの生物圏保護区に認定されている。

 特に水面下の魚影の濃さは超絶モノで、ダイバーにとってのパラダイス。群れのサイズが大きく、それこそ渋谷のスクランブル交差点よりもぎゅうぎゅうに魚たちが密集している。


浅瀬は自然発光しているようなネオンブルー。

深い紺碧など、青にもいろいろある。こちらはテタマヌ・ヴィレッジ&ソバージュ。

 “色彩の魔術師”との異名をとるアンリ・マティスが、この環礁へ訪れたのは1930年ごろ。

 ファカラバの海と空の色は、きっとマティスの記憶のどこかに刻まれていたのだろう。晩年の作品『ブルー・ヌード』のような、明るく深いブルーの空と海に包まれている。


日曜日のロトアヴァの教会。敬虔なクリスチャンが多い。

南洋の大らかな自然と、のんびりとした島時間を満喫できるファカラバ。

 滞在の拠点は、「北ファカラバ」と「南ファカラバ」に分かれる。

 北の中心地のロトアヴァは宿の選択肢が多く、島民とのふれあいも楽しめる。

 一方、南のテタマヌは素朴なダイビングリゾートが1軒あるのみ、沖に浮かぶピンクサンド・アイランドが絶景だ。

世界中のダイバーを集める
“サメの壁”にびっくり!


“ウォール・オブ・シャーク”と呼ばれるほど、サメが多いファカラバ。怖くはない種類なのでご心配なく。

 北ファカラバと南ファカラバでダイビングエリアは異なるが、どちらもサメの遭遇率が高く、“ウォール・オブ・シャーク”と呼ばれるほど、群れで出没することが多い。

 サメといっても、ホワイトチップやグレイリーフシャークなど怖がる必要のない種類だ。


北ファカラバは、サンゴも元気いっぱい。

ロトアヴァの村にあるトップダイブ。

 北ファカラバではフレンチポリネシア最大の幅1.6キロのチャネル(水路)をメインに潜る。

 潮の干満の動きによって、リーフの外側から内側へ、またはその逆を、潮流に乗ってダイビングする。

 見どころはサメを筆頭にマンタやバラクーダ、そしてサンゴも美しい。


魚がおしくらまんじゅう状態。海面から見たら、海底に何かがうごめいているようにしか見えない。

ベテランダイバーも大満足な南ファカラバの海。

 南ファカラバは、サメの数がさらに多く、とある動画には1ダイブ中に700匹も映っていたとか。たしかにダイビングポイントの「トゥマコフア・パス」ではエントリー直後からサメが続出し、数えるのが億劫になったほど。

 潮流がリーフの外側から内側へ流れている時がダイビングのベストタイミングだ。

北ファカラバのダイビングサービス
TOPDIVE(トップダイブ)

所在地 Village de Rotoava, Fakarava Nord
電話番号 040-98-43-76
http://topdive.com/scuba-diving-fakarava/

南ファカラバのダイビングサービス
Tetamanu Diving(テタマヌ・ダイビング)

所在地 Tetamanu, Fakarava, French Polynesia
電話番号 087-71-38-34
https://tetamanuvillage.com/en/tetamanu-diving-en.html/

のどかな北ファカラバを
自転車でぶらり探検


タヒチ島からダイレクトフライトで約1時間10分。ファカラバの小さな空港に到着。

空港から約10分でロトアヴァの村へ。

 ファカラバ空港があり、この環礁の人口のほとんどが集中する北ファカラバの中心地、ロトアヴァ。

 といってもビルなどはもちろんなく、道路沿いにたまに見かける建物はカラフルな色使いの平屋タイプばかり。


宿に地図はなく、この地図を参考にサイクリング。町のつくりは、いたってシンプル。

 島を探索しに、サイクリングに出てみることにした。

 宿のフロントに、
「周辺の地図はないですか?」とたずねると、

「ないわね~。道路沿いに、どこに何があるか書かれた看板があるから。それを見て」。

 いわれたとおりに路上の地図のところへ行ってみる。たしかに一度見れば覚えられるほど、町のつくりは簡単だった。海沿いの一本道に、ほぼすべてがあった。


海に面した愛らしい教会。

教会は島民の心の礎。聖堂内は貝やヤシの葉で手作りした装飾がたっぷり。

 赤い三角屋根の教会は、礼拝の時間以外にも人々が花を手に訪れる身近な存在。原色使いの聖堂内は貝をつなげたリボンでたっぷり飾られていた。


週末に営業するクラフトマーケットの「ファレ・アルチザン・ファカラバ」で店番をしていたマダムと息子さん。

「ファレ・アルチザン・ファカラバ」(職人の家)では、手作りのパレオや貝細工のアクセサリーなどがテーブルの上に並べられ、タヒチアンのマダムが笑顔で迎えてくれた。

 ある朝、早く目覚めたので、早朝の町を見てみようと自転車にまたがり、キーコ、キーコと漕ぎ出した。


よろず屋さんは朝6時でも、バゲットを仕入れる島民で賑わう。

バゲットを仕入れて、家路を急ぐお父さん。

 町のよろず屋さん「ブーランジェリー・ハヴァイキ」では焼き立てのバゲットを求めに島の人たちが次々と店に入っていく。ちょっとした賑わいだ。

 4~5本のバゲットを抱えて出てくる人、家まで待てずに店先でパクついている人、自転車のカゴにバゲットを無造作に突っ込んでいる人。みんな顔見知りのようで、朝の挨拶を交わしていた。

 ファカラバの一日のはじまり、この環礁の人口の1割くらいを見かけたと思う。

北ファカラバを代表する宿
ハヴァイキ・ファカラバ


ビーチバンガローは波打ち際まで数歩の距離。

手入れの行き届いたガーデンも見どころ。夕暮れになると、ティアレの花がふんわりと香る。

使いやすく、清潔なガーデンバンガロー。テラス付き。

 オンザビーチのロケーションに立つ、島にしては施設充実のロッジ。15棟のバンガローはビーチとガーデンの2タイプあり、全室にWi-Fiを装備。


浅瀬のパラソルでロマンティックなサンセットを。

 レストランでは、朝食はシンプルなビュッフェ、ディナーは地元食材を使った前菜・メイン・デザートを用意。土曜夜にはタヒチアンダンスのショーも開催している。

 ビーチに面したバーでは、海に張り出したテーブル席や浅瀬にパラソルを設置し、雰囲気も上々だ。


ハヴァイキ・ファカラバは1989年創業の黒真珠の養殖場を併設。

ゲストの前で真珠貝を開き、中の黒真珠を見せるデモンストレーション。

ホテルにお願いすれば、ヤシの葉の帽子(3000XPF)作りの手配もOK。※1XPF≒0.99円(2019年8月現在)

 敷地内にある黒真珠養殖場では、見学ツアーも開催。真珠の元となる欠片を素早く貝の中に挿入するなど、目の前でデモンストレーションを実施する。

 最後に、希望者には好みの真珠貝を選び、中に入っている黒真珠でアクセサリーを作ってもらう宝くじ的お楽しみ(2000XPF)も。

Havaiki Fakarava
(ハヴァイキ・ファカラバ)

所在地 Havaiki Pearl Lodge, Fakarava, French Polynesia
電話番号 040-93-40-15
http://www.havaiki.com/

自然美に圧倒される
南ファカラバ


空港からは道が途絶えているため、ボートでのみのアクセス。

のんびりとお昼寝タイムのテタマヌの午後。

ワンちゃんも浅瀬に浸かって気持ちよさそう。

 北ファカラバの空港からボートで約1時間30分。海からしかアプローチできない南ファカラバは、さらに野生度のステージがひとつ上がったような自然の濃さだ。


テタマヌ・ヴィレッジ&ソバージュは、自然をすぐそばに感じるリゾート。映画『マトリックス』シリーズの俳優ランベール・ウィルソンも滞在。

 ここには、かつてのツアモツ諸島の首都だった廃村をプチリゾートにした「テタマヌ・ヴィレッジ&ソバージュ」があるのみ。

 ダイバー垂涎のダイビングスポット「トゥマコフア・パス」のちょうど前に位置している。


釣ってきた魚をさばくスタッフ。

ダイビングポイント「トゥマコフア・パス」の前にあるレストランでは、浅瀬でもサメがたくさん。

 水上レストランから水中を覗けば、天然の水族館のよう。

 調理場の下付近ではぎゅうぎゅうに詰まった魚の群れがまるでひとつの巨大な生物のような塊になっている。


シンプルなビーチバンガロー。シャワーは真水だが、冷水。

木陰でバーベキュー。とれたての魚の刺身やマヒマヒの串焼きなど、ごちそうが並ぶ。

 バンガローは橋で渡ったとなりの小島にあり、ビーチバンガロー5棟とガーデンバンガロー1棟のみ。

 ベッドとトイレ&シャワー(真水)、テラスの、かぎりなくシンプルな作り。豊かな自然をすぐそばに感じられることが、なによりもの贅沢なのだ。


かつてのツアモツ諸島の首都だった証が、敷地内のそこここに。

 プチリゾートの敷地内には、かつて首都だった名残も残されている。

 1870年代に建造されたツアモツ諸島で最初の教会や、1883年建造の市役所、サンゴを積み上げた牢獄などが、ヤシの合間にひっそりとたたずむ。

 遺構とトロピカルな島の空気が、不思議となじんでいる。


ピンクサンド・アイランドでテント滞在していたデンマークのグループ。

 テタマヌのハイライトは、宿からボートで約10分の沖にあるピンクサンド・アイランド。

 ラムネ色をした浅瀬と、緩やかな弧を描いたピンク色の砂州のコントラストが、実にドリーミンな絶景だ。

 遠くまで広がる浅瀬と大きな空の間にぽつりと立つ、開放感もたまらない。

Tetamanu Village & Sauvage
(テタマヌ・ヴィレッジ&ソバージュ)

所在地 Tetamanu, Fakarava, French Polynesia
電話番号 087-71-38-34
https://tetamanuvillage.com/en/

【取材協力】
タヒチ観光局

https://tahititourisme.jp/ja-jp/

エア・タヒチ・ヌイ

https://www.airtahitinui.com/jp-ja


古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

文・撮影=古関千恵子



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