2019/09/03 07:00

タヒチ島の真の魅力は郊外に 生来の芸術家タヒチアンと触れ合う

 赤道を越えた南太平洋に、“楽園”という響きが世界でいちばん似合う島々がある。

 19世紀から20世紀後半にかけて、欧州の画家やシンガーなどアートに心捧げた人々は、文明によって失われた楽園を求め、タヒチを目指した。

 彼らを惹きつけてやまなかった何かを探しに、タヒチの島々――ボラボラ島、ファカラバ島、マルケサス諸島のヒバオア島、タヒチ島へ渡った。


タヒチアンは誰もが
生まれもってのアーティスト


タヒチイチの丘の上にたつヴァニラ・ロッジ。タヒチ島には豪華ホテルのみならず、お手頃かつ自然を満喫できるお宿も。

 タヒチの玄関口、ファアア国際空港があるタヒチ島。

 大きなタヒチヌイと小さなタヒチイチ、2つの島が合体し、ひょうたんのような形をした、フレンチポリネシア最大の島だ。首都パペーテはタヒチヌイの北西に位置している。

 ほとんどのツーリストが首都パペーテ周辺で過ごす。もしくは、タヒチ島に到着してそのまま離島へ渡り、フライトの関係からタヒチ島には最終日に1泊するくらい。

 タヒチ島の本当の美しさを知らずして去ってしまうのは、正直もったいない。


首都パペーテはタヒチ島のごく一部。内陸のほとんどが切り立つ山並みだ。

 パペーテはタヒチ島のごく一部にすぎない。

 街から一歩外に出れば、地元の暮らしが見えてきて、さらにタヒチイチへ近づくにつれ、自然の迫力が増してくる。


世界的に有名なサーフスポット、「チョープー」のモニュメント。ローカルに「テハウプウ」だと、発音を正される。

 タヒチイチでは世界一美しくも凶暴といわれるビッグウェイブが押し寄せ、1,000メートル級の山稜に守られたカルデラ内に緑の息吹が立ち込める。

 ポリネシアの伝説が生まれた時代から変わらぬ、自然の営みが繰り広げられている。


滞在中に一度はタヒチアンダンスのショーを鑑賞したい。

ヴァニラ・ロッジでは毎週木曜にタヒチアンダンスのレッスンを開催。

 そんな環境に生きるタヒチアンは、言葉の代わりにダンスで自然や神への感謝や日々の暮らしを表現してきた。

 ゆっくりとした動きの「アパリマ」、そして激しい動きの「オテア」からなるタヒチアンダンス。


タヒチのファアア国際空港に到着後、タヒチアンソングで迎えられ、気分はパラダイス。

タヒチアンソングはあらゆるシーンで耳にする機会があるはず。

 滞在中に一度はホテルなどでダンスショーとして、鑑賞することがあるだろう。また、タヒチ島を車で走っていると、夕方の浜辺などでダンスを練習している子供たちを見かけることもある。

 そんなとき、タヒチアンは生まれながらにしてアーティストなのだと感心させられる。

山へ! 海へ!
スケールの大きなタヒチ島


前日、雨が降ったパペノオ渓谷。4WDは川も突っ切って走る。

 タヒチ島の北側、パペノオ渓谷への4WD車ツアーに参加してみた。

 舗装道路からラフロードに変わり、キシキシと車体をきしませながら、車は走る。

 道のでこぼこに合わせて、首もがくん、がくん。緑の濃度が増すのに比例して、南国の風もひんやりしてくる。

 気を許した瞬間に車が川を渡り、大きく飛び散った水しぶきでびしょ濡れになった。


板根を叩いた合図は6~7キロ先まで伝達されるそう。

 ガイドは、山や谷のタヒチ語の名前の由来や、ドラムのように叩いて合図を送った板根など、島に伝わる叡智を教えてくれる。

 ハワイのキラウェアに暮らすペレの生まれ故郷であるなどの、伝説も興味深い。そして、ガイド自慢の美声も、ウクレレの弾き語りで一曲。


昔ながらの楽器を奏でるガイド。音色に誘われ、神話の世界へ迷い込んだ気分。

 半日ツアーのハイライトは、巨大なクレーター。

 屏風のように切り立った壁に幾筋かの滝が流れ、稜線から深い霧が山肌を伝っておりてくる。スローモーションの映像を見ているように、風景が移ろっていく。

 1日ツアーではさらに深部、フレンチポリネシア最高峰のオロヘナ山へも分け入っていく。楽園タヒチのワイルドな面に触れる体験だ。


幾重にも山が折り重なる、海から見たタヒチイチ。

 海もまた、超ド級のワイルドさ。

 タヒチイチの幹線道路の終着点、“エンド・オブ・ザ・ロード”の沖に、世界で最も美しくも危険なモンスターウェイブがやってくる。

 サーフィンの国際大会も開かれる、サーフスポット「チョープー」だ。


サーファーでもあるガイドのマイケルさん。サーフスポットのチョープーへ向かう。

この日は天候が悪く、波のサイズも小さく、チョープーの本領発揮とはならず。

 巨大なうねりが盛り上がり、巻き込むようにチューブを描き、轟音とともに水面を叩いて、盛大に波しぶきが立ち上る。

 数年に一度のいわゆる“ヒット”がやってくると、波は高層ビルのようにそそり立ち、トップクラスのプロサーファーでさえ、たじろぐという。

 そんなチョープーの波にボートで接近し、すぐそばで見させてくれたのが、ガイドのマイケルさん。

 本来は、さらに洞窟探検や白砂のサンドバンクなどへも行く予定だったけれど、この日は天候が悪く、断念。


エンド・オブ・ザ・ロードから先へ行くと、橋が。この先にもペンションや民家がある。

スノーケリングで食べる分だけ魚を調達したら、家路につく。タヒチイチで見かけたローカル。

 マイケルさんいわく、「“エンド・オブ・ザ・ロード”から先は徒歩か、ボートでしか行けない面倒な場所だけれど、リアルなタヒチがある」。

 6~11月、この海域にザトウクジラがやってくる。なんと、夢の“ホエール・スイミング”も行うそうだ。

パペノオ渓谷ガイドツアー
Marama Safari 4X4
(マラマ・サファリ 4X4)

所在地 Faa’a Tahiti
電話番号 078-40-11

タヒチイチのガイドツアー
Teahupoo Excursion Taxi Boat
(チョープー・エクスカーション・
タクシーボート)

所在地 PK16.3-Marina Teahupoo, BP111-98723, Teahupoo
電話番号 089-75-11-98
http://www.teahupooexcursion.com/teahupoo_taxi-boat/ACCUEIL-HOME.html

南洋の自然に溶け込んだ
愛らしいヴァニラ・ロッジ


フアヒネ島に存在した伝説の宿、ハナイティの世界観の再現を試みたヴァニラ・ロッジ。

美しく手入れされたガーデンに面した、小さなレストラン。

 タヒチイチのサーフスポットのチョープーを一望にする山の中腹、2ヘクタールの美しいガーデンに9棟のバンガローが点在。

 職人の手による伝統的なロッジは、すべてデザインが異なるが、周囲の風景と溶け合うたたずまいは共通している。


「ヴァイ・オラ」のオープンリビングのようなデッキテラス。一角にジャグジーが。

デッキテラスから見た眺め。早朝、ニワトリの時を告げる声が谷間に響く。

 たとえば「ヴァイ・オラ」という部屋は、ジャグジーバスを置いたセミオープンエアのリビングから、渓谷とラグーンの絶景がほしいままに。

 軒下に吊るしたハンモックに身を沈めると、谷を渡る風に揺られ、心地いい。

 サンゴのかけらを敷き詰めた天井や、枝を生かした幹の柱など、使われている建材はナチュラルなものだ。


天井の植物が、熱帯の激しい雨も消音してくれる。

2~6名まで収容人数は部屋ごとに異なる。

 室内には、いくつかの棚と冷蔵庫、エアコン(一部に電子レンジ)など、必要最小限のものが用意されている。施設は、レストランと小さなプールくらい。

 曜日によっては、ヨガクラスやタヒチアンダンスのレッスンを体験できる。

Vanira Lodge
(ヴァニラ・ロッジ)

所在地 BP 8458 - 98719 Taravao, Tahiti
電話番号 040-57-70-18
http://www.vaniralodge.com/

“海のそば”という名の
ヒティ・モアナ・ヴィラ


奥様のガーデニングの趣味が高じて、敷地内は熱帯の植物がたっぷり。

 タヒチヌイの南部、パパラ地区に位置。入口は幹線道路に面し、敷地内に入ると、ブーゲンビリアなどの南国の花々に彩られた庭、さらに進むとプールとラグーンが広がるレイアウト。その名のとおり、ヒティ・モアナ(海のすぐそば)だ。


南国らしい色使いの2名用のバンガロー。クリーンで過ごしやすい。

 バンガローは8室。キッチン付き4名利用ユニットと、キッチンなしの独立型が4室ずつ。バンガロー・ティパニエはテラスからラグーンを見渡す、絶景自慢だ。

 1994年にB&Bとしてオープンし、2015年には併設の「カイモアナ・レストラン」もスタート。今ではラグーンに張り出したロケーションの良さから、宿泊していないゲストも食事に訪れるほどに。


ヒティ・モアナで迎えたサンセット。穏やかな海面に夕暮れの雲の模様が映し出される。

「タヒチ島には美しい山や、スノーケリングが楽しい海、滝での水遊びやサーフィン、ホエールウォッチングなど、見どころがたくさんあります。他の島へ行く前に、パペーテ以外の島の魅力も体験してみてください」と、オーナーのスティーブさん。

Hiti Moana Villa
(ヒティ・モアナ・ヴィラ)

所在地 BP 120055 Papara Tahiti
電話番号 040-57-93-93
http://hitimoanavilla-tahiti.com/

【取材協力】
タヒチ観光局

https://tahititourisme.jp/ja-jp/

エア・タヒチ・ヌイ

https://www.airtahitinui.com/jp-ja


古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

文・撮影=古関千恵子



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