2019/08/24 08:00

“悪霊の住処”がインスタ天国に!? バリ南東の離島・ヌサペニダ

#179 Nusa Penida
ヌサペニダ(インドネシア、バリ島)


島の西側に絶景ビーチが多いヌサペニダ。岩の形と海のブルーがフォトジェニックなクリンキン・ビーチ。

 バリ島の南東沖に3つの島々が肩を寄せ合うように浮かんでいます。ヌサペニダ、ヌサレンボンガン、ヌサチュニガン。これまでヌサレンボンガンと、そこと橋でつながるヌサチュニガンへは、何度となく訪れたことがありました。

 けれど、ヌサペニダはどうも近寄りがたい雰囲気。


約200平方キロメートルの島に、およそ50の村があります。

船着き場の近くの町で、靴を修理していたおじいさん。

 というのも、ヌサペニダにはバロンダンスに出てくるランダのモデルとなったムチャリンの住処だとする伝説があるのです。この悪霊ムチャリンは怒りだしたら、隣のバリ島へ洪水などの禍をもたらすという厄介者。

 そこでゲルゲル王国とバリ島の僧侶(ペニダ)が退治しに行ったのが、島の名前の由来という説もあります。

 そんなヌサペニダが今、大人気だというウワサ。ためしに訪れてみることにしました。

 ヌサペニダへ渡るボートが発着する、バリ島サヌールのビーチに到着したのは早朝7時。ビーチ沿いにびっしりとボート会社のテントが軒を連ね、早朝にも関わらずすでに年末のアメ横のように人でごった返しています。


ヌサペニダへ渡る旅行者で賑わうサヌール。

 多くがバックパッカーや手ぶらの日帰りツアー客ですが、中にはワンピース姿でスーツケースをガラガラ押している女の子も。サヌールのボート乗り場に桟橋はなく、海へずぶずぶと入り、そのままボートに乗り込みます。


ヌサペニダの桟橋には1日ツアー客を乗せるためにミニバンが待機しています。

 ヌサペニダまでは約40分。桟橋にはずらりとミニバンが待ち構えています。船から降りた人々は次々と車に乗り込み、船着き場を去っていきます。

 島特有のなれあいムードはなく、スムーズかつシステマティックな動き。今どきの観光化とは、こういうものなのかと、びっくりしました。

岩壁にぽっかりと穴が!

 最初に目指したのは、島の南西部の「エンジェルズ・ビラボン」。


右側は崖ながら、ガードレールはなし。この狭い道をミニバンがすれ違うこと、たびたび。

 この道がひどい。風雨にさらされて舗装が剥げかけた道は、未舗装の道よりもデコボコが激しい。しかも道幅が狭く、車2台が通り抜けるのがやっとです。その隙間をバイクが無理やり走り抜けるカオスな状況。サンゴが隆起した石灰質の島ゆえ、白い土埃が舞い上がり、道路脇の植物は白かぶりしています。


車窓から見た風景。生後3カ月の赤ちゃんをお祝いするために豚の丸焼きを用意している島民。

 農業には不向きな乾燥した土壌で、タピオカの原料キャッサバ芋やトウモロコシの畑をたまに見かける程度。厳しい環境でも育つブーゲンビリアのピンクが、白く煙った島に鮮やかな差し色になっています。


エンジェルズ・ビラボンに到着。駐車場から降りていきます。

岬に波が打ち付けるたびに、豪快な水しぶきが飛び散ります。

磯遊びができる穏やかな場所もある、エンジェルズ・ビラボン。 ©Hideyuki Sodeyama

 桟橋から車を走らせること、約1時間。「エンジェルズ・ビラボン」は明るいブルーのインド洋とごつごつした岩のコントラストが美しい岬。小さな拝所がある、聖なる場所でもあります。荒々しい岩に巨大な波がドガーンと打ち寄せ、そのたびに水しぶきがスプレーとなってあたりを濡らします。


岩壁にぽっかりと穴が開いた「ブロークン・ビーチ」。

 エンジェルズ・ビラボンの近くにある「ブロークン・ビーチ」も、これまた絶景。岩壁で囲まれた小さな入り江で、海との境になった岩壁の一角にぽっかりと穴が開いた地形になっています。

 この島のガイドさんから「ブロークン・ビーチ」にまつわる伝説を聞きました。ざっくりまとめると、昔々、島民は勘違いから気づかないうちに嘘をついてしまい、バツとしてこの穴が生まれ、大量の水が噴き出して島民は全員死んでしまった、というもの。うーん、あまりに理不尽で、合点がいきません。ガイドさんと私の言葉の壁で、話を正しく理解できなかったのか、伝説にありがちな不条理か?

ヌサペニダ人気を押し上げた
クリンキン・ビーチへ


「マンタ・ベイ」の断崖からおそるおそる海を覗く女の子。

この日、5匹のマンタを発見。ガイドさんも大興奮。

 さらに歩くと、「マンタ・ベイ」というマンタが集まる海域を見下ろす断崖に行きつきます。運よく5匹ものマンタが海面に浮かんでいるのが見えました。

 この3カ所でもかなり満足度が高いのですが、さらに車に乗り込み、ヌサペニダを一躍人気観光スポットに押し上げた「クリンキン・ビーチ」へ。


クリンキン・ビーチは写真撮影のために大行列。

1日ツアーでは時間が足りないけれど、ビーチまで降りていくこともできます。

 バリ語で“小指”という名の「クリンキン・ビーチ」は、節くれだった指のような形をした岬です。たしかに岩のフォーメーションがインパクト大な絶景です。


こちらで写真を撮ると、1万ルピア。こうしたインスタ用の仕掛けがあちこちに。

 これらの絶景の周辺には、いわゆるインスタ用の鳥かご風のイスやはしご、張りぼてなどが、あちこちに用意されています。空前のSNSブームによって、島は潤い、出稼ぎにいった若者も戻ってきたとか。

 ヌサペニダは悪霊の住処どころか、インスタ天国になっていました。もちろん、悪霊なんて住んでいませんのでご心配なく!

ヌサペニダ

●アクセス バリ島のサヌールからスピードボートで約40分
●おすすめステイ先 スマブヒルズ・ホテル&ヴィラ
http://www.semabuhillshotel.com/

【取材協力】
トリップレックス

https://stworld.jp/earth_info/BL/op_tour/DPS/DPSPNB/


古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

文・撮影=古関千恵子



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