2019/09/01 07:00

「ロテルド比叡」で本格厄払い 行体験のあとはご褒美フレンチを

■星野リゾート ロテルド比叡(後篇)

 国内のみならず海外に至るまで、さまざまなロケーションに魅力的な施設を展開する星野リゾート。その星野リゾートが、今、特に力を入れているのが「ウェルネス」です。

 この連載では、バラエティに富んだアクティビティ、そしてオーガニックな食事などが楽しめる、ヘルスコンシャスなステイを各地からご紹介します。

ロテルド比叡(前篇)をみる


厄払いをバックアップしてくれる
唯一無二のプログラム


比叡山の精進文化を取り入れたフレンチが楽しみなオーベルジュ、「星野リゾート ロテルド比叡」。

 今から1,200年も前に開かれて以来、魔除けや厄払いの山として人々から崇められてきた比叡山。

 この地に立つ「星野リゾート ロテルド比叡」は、厄払いに特化したユニークなプログラムと精進文化を取り入れたフレンチが人気を集めるオーベルジュだ。


「比叡山厄祓い三昧」は2泊3日。1日かけて行体験をする。

 難しそうな厄払いを手軽に行えるのが、前篇でご紹介した「比叡山やくばらい散歩」。

 そこからさらに一歩進んだ本格的なプランが、「比叡山厄祓い三昧」だ。2泊3日の滞在中、「禊」と「行」に集中する。


開放的なラウンジ。一面の窓の外には、心地よい緑が。

 といっても、ひたすら座禅をしたり、断食したりする厳しいものではない。比叡山だからこそできる体験をし、オーベルジュだからこそのおいしい料理を食べることで心身を浄化する、旅としても大満足できる内容だ。


MISOGIでは、日枝の霊水を使った美容液で全身をトリートメント。

 初日に体験するのは、比叡山を流れる日枝の霊水を使ったスパトリートメント。

 禊にスパ? と不思議に思うかもしれない。そもそも禊とは、参拝する前に自らの穢れを水によって落とすこと。

 霊水を使ったトリートメントによって、浄化した身体で翌日の行体験を迎えられるというわけだ。


比叡山延暦寺の続き地にある「星野リゾート ロテルド比叡」では、トリートメントだけでなく飲み水のすべてに日枝の霊水を使用している。

 日本では、超軟水の基準である硬度50をクリアするものは数えるほどしかないなか、日枝の霊水は、なんと硬度19という希少な超軟水。

 あたりが軟らかく、洗い上がりも乾燥しにくい、肌に優しい水でもある。

 その名もMISOGIという名のトリートメントでは、霊水を使ったパックで背中を浄め、陰陽経絡にあわせたトリートメントで全身に氣血を巡らせる。

 リンパドレナージュやアロママッサージのような強さを感じない施術は、「効いているのかな?」と思うけれど、後からじわじわと、その効果を実感するはず。


入浴剤は、滋賀県の冨田酒造と共同開発したオリジナル。沈香のお香が心地よく部屋に香る。

 部屋に用意されているのは、入浴剤とお香からなる浄化アメニティ。

 延暦寺で祈祷した塗香は身体のお浄め用に。日本酒から作った入浴剤はお神酒を髣髴とさせ、邪気を身体から追い出すといわれるお香は、心を落ち着かせてくれる。


精進フレンチの一皿。中央に比叡山産湯葉、その周りに、揚げ、焼き、蒸しと異なる加熱調理をした野菜を配置。

 夕食は比叡山の精進文化を取り入れた全5品のコースを。フレンチの調理法と比叡山の精進文化が融合した、このリゾートならではのフレンチだ。

 メインのリゾットに黒米を使ったり、高たんぱくの湯葉を駆使したりと工夫されているから、お肉がなくてもお腹は十分に満たされる。

 ソムリエが厳選するワインもおいしく、おかわりが欲しくなるけれど、翌日は早朝から勤行がある。ゆっくりと休んで、行三昧に備えなければ。

「厄祓い三昧」2日目は
いよいよ比叡山で護摩行体験


30分間、朝の勤行が行われる延暦寺の総本堂、根本中堂(現在は長期修繕中で足場が組まれている)。

 凛とした荘厳な空気のなか、いよいよ行三昧の始まり。

 まずは延暦寺の根本中堂で行われる朝のお勤めに参加。読経と法話で約30分。京都御所に向かって祈願する読経では、世界平和も祈っているのだそう。

 16世紀には織田信長による焼き討ちもあった比叡山で今、世界の平和が祈られているなんて、なんだか感慨深い。

 読経の後は、ご本尊である薬師如来と、最澄が灯して以来1,200年以上守られている不滅の法灯の前で、僧侶のお話を聞く。

 この法会は一般参拝客の参加不可。比叡山内、つまり、「星野リゾート ロテルド比叡」と宿坊に宿泊している人だけに与えられた特別な時間だ。

 撮影は不可。じっくりとお話に集中して。


護摩行を受ける無動寺(護摩行は開催されない日もある)。

 いったんリゾートに戻り、精進料理の朝食。そしてふたたび延暦寺へ向かい、無動寺で行われる「護摩行」を体験する。

 無動寺といえば、厳しい修行、「千日回峰行」が行われる場。

 護摩木に心願を書き、千日回峰行を満行した大阿闍梨さまに祈祷していただくこと1時間。その間は、ひたすら般若心経と御真言を唱えるのみ。

 最後は、大阿闍梨さまの「加持(祈祷した仏力を伝える行為)」を受けて終了する。

 終えた頃には、ただただ、ありがたいという気持ちでいっぱいに。


かつて行われていた行を復刻させた「山王社参」を体験。

 厄祓い三昧の後半は、ケーブルカーで山を下り、山麓の日吉大社で「山王社参」といわれる参拝を体験する。

 これは、日吉大社の広大な敷地内に点在する40以上のお社の内、23社を回る昔ながらの参拝スタイル。

 国宝の社殿、西本宮と東本宮に加え、普段は公開していないお社も特別に開放される、ありがたいコースだ。


独特の三種祓詞(みくさのはらいことば)や真言を唱えながら参拝していると、しだいに意識が“祈ること”に集中してくるから不思議。

「山王社参」は、一緒に参拝する禰宜(ねぎ)の「おめでとうございます」の掛け声とともに、一本締めをして終了。

「おめでとうございます」には、生まれ変わりを祝う意味も込められているのだとか。

 トレッキングともいえるコースは少々ハード。でも、終えた頃には清々しく、心強さを感じているはず。

行体験を終えた自分へのご褒美は
極上の発酵フレンチ


行体験を終えた後のご褒美は発酵フレンチ。30日間ドライエイジングした近江牛のステーキ。霜降りのように柔らかな食感。

 無事に行体験を終えた2日目の夜は、ご褒美が待っている。

 それは、発酵食を取り入れたフランス料理のディナー。

 なぜ発酵食かといえば、「星野リゾート ロテルド比叡」周辺の近江エリアは発酵に必要な条件が揃い、昔からふんだんに郷土料理に取り入れられてきたからだ。

「星野リゾート ロテルド比叡」では、地元で天然醸造酢を作り続ける「淡海酢」や、18代続く鮒鮓(ふなずし)の老舗「総本家喜多品老舗」とコラボレーションし、発酵ガストロノミーを実現。

 おいしいうえにヘルシーなら大歓迎。なにより、こんな特別な料理は、ほかではなかなか味わうことができない。


甘露漬け鮒鮓にフランス料理の代表的な食材、フォアグラを合わせ、泡状にした豆腐とルバーブをトッピングしたスペシャリテ。

 スペシャリテは、4年熟成の「甘露漬け鮒鮓」を使った一品。通常は1年漬け込むところ、塩漬けを2年、飯漬けを1年、さらに酒粕漬けを1年と、じっくり4年かけることで、鮒鮓特有の酸味を消している。

 鮒鮓のあの臭みを想像しながら恐る恐る口にすると……臭みはいっさいなく、むしろ酒粕の甘みがまろやかで、食べやすい。

 これは行体験を終えて心が広くなったから……ではなく、シェフのアイデアと老舗の味のなせる業。


「星野リゾート ロテルド比叡」のオリジナル御朱印帳を旅のお土産に。

 発酵フレンチで疲れた身体にご褒美を与えた翌日は、延暦寺・浄土院にある最澄の御廟にお礼参りして旅を終える。

 厄払いはけっして神頼みのものではなく、自分自身の身体を使い、己の心と向き合う特別な時間。

 それは心のウェルネスともいえるものかもしれない。「比叡山厄祓い三昧」からしばらく経った今でも、ずっと心地よさに包まれている。

星野リゾート ロテルド比叡

所在地 京都市左京区比叡山一本杉
電話番号 0570-073-022
https://www.hotel-hiei.jp


芹澤和美 (せりざわ かずみ)

アジアやオセアニア、中米を中心に、ネイティブの暮らしやカルチャー、ホテルなどを取材。ここ数年は、マカオからのレポートをラジオやテレビなどで発信中。漫画家の花津ハナヨ氏によるトラベルコミック『噂のマカオで女磨き!』(文藝春秋)では、花津氏とマカオを歩き、女性視点のマカオをコーディネイト。著書に『マカオ ノスタルジック紀行』(双葉社)。
オフィシャルサイト http://www.journalhouse.co.jp/

文=芹澤和美
撮影=釜谷洋史



【関連ニュース】

今日の運勢

おひつじ座

全体運

人当たりはとてもいいが、こうと決めたら絶対やり抜く意志があ...もっと見る >