2019/09/07 17:00

「空飛ぶ船の島」ランペドゥーサ島 あの美景を夢見て行くと……?

#180 Isola di Lampedusa
ランペドゥーサ島(イタリア)


町の入り口にある、わかりやすい看板。

 ランペドゥーサ島行きを決めた理由は、“フライングボート”。

 透明度が高い海にぷかりと浮かんだボートが、まるで宙に浮かんでいるように見える光景から名付けられました。


島の東部カーラ・クレタには、ヴィラタイプのリゾートも。

島の西部に向かってドライブ。交通量が少ないのはシーズン前だから?

町の中心部から少しはずれただけで、サボテンがあちこちに。

 ランペドゥーサ島はシチリア島の南沖のペラージェ諸島に属する、イタリア最南端の島。西にアフリカのチュニジア、東にマルタという位置に浮かんでいます。シチリア島までは約175キロ離れているのに対し、チュニジアまでは約113キロ。アフリカの方が近く、地質的にもアフリカに似た傾向があるそうです。

 お目当てのフライングボートが見られるのは、ランペドゥーサ島の南西部に隣接する小島・ラビット島(イソラ・ディ・コニッリ)。石灰質の土壌と、透明度の高さ、穏やかな海面、そして正午近くの太陽といった条件が揃わないと、あの絶景には出会えません。

 つまり、石灰質の土壌が蓄積して広がった真っ白な浅瀬に、正午近くのまっすぐな太陽光が差し込み、ボートの影を海底に落とす。すると透明度が高いため、海水の存在がないように見えるのです。海が濁っている、あるいは海面が荒れていると、影は海底まで届かず、船が飛んでいるようには見えません。

 ちなみに、ラビット島は大潮の干潮時に砂の道ができてランペドゥーサ島とつながることがあり、島名はそのことに由来しているとか。かつて地図にアラビア語で“つながる”を意味する“rabit”と書かれていたのを誤植と思ったのか、のちの地図で“rabbit(ウサギ)”と修正されたのがそのまま島名になったそう。また、地峡部分を渡って島に移ったウサギたちが取り残され、大量繁殖したのちに絶滅したという説もあります。

 さて、ランペドゥーサ島の空港に到着した時から強風が吹き、嫌な予感がしていました。


こんな荒れたラビット島の写真はかえって珍しいかも!?

 ホテルのスタッフによると、やはり強風のためにラビット島へ渡るボートは出ないとのこと。

「昨日から風が吹き出したのだけど、落ち着くまではあと2~3日かかるわね」。

 宿泊は1泊2日。滞在中にフライングボートを見るのは難しそうです。強風ながらも空は晴れているし、島内を観光することにしました。

「フライングボートって
本当は飛んでないのよ」


町から見た、ポルト・ヌオヴォの港。

強風で漁に出られず、港で作業中の漁師さん。

町を自由に闊歩するワンちゃん。

 東西約9キロ、南北約1.5キロの細長い島で、南東部のポルト・ヌオヴォという港町が中心地。碁盤の目のような道に沿って、白やマスタード色のコンクリートの四角い家並みが続いています。メインストリートのローマ通りには土産物店やレストランが並んでいます。


シーズン前のローマ通りは観光客もまばら。

ローマ通りの書店にて。床の一角から遺跡が覗けます。

乾燥に強い植物たちを生かしたお祭り騒ぎのようなガーデニング。

何に怒っているのか、吠えまくるワンちゃん。

 港近くのレストランでランチをとり、しばらくのんびりしていると、店を切り盛りしているファミリーも、ひとつのテーブルを囲んで盛大に食事を始めました。


家族経営レストランのまかないタイム。

 パスタを調理した大きな鍋ごとテーブルにいくつも並べ、わいわいと楽しそう。食事の様子をじっと見ていたら、「食べる?」。数種のパスタと“イリス”というリコッタクリームが入ったシチリアのドーナッツもいただきました。これが美味!

 それから片言英語の会話が始まり、ひとりの女の子が覚えたての英語を使いたいのか、こちらのテーブルに移ってきました。革ジャンを着た、クールな学生さんです。

 でも、発した言葉は「フライングボート、見に来たんでしょ。ねぇ、知っている? あれって本当は飛んでないのよ」。もちろん、宙に浮かんでいるように見えるだけだからね。大人に見えても、実はあどけない13歳の少女でした。

晴れたら絶景のラビット島
ダメもとで行ってみると?


憧れのラビット島が目の前に。夢見た姿とは違ったけれど。

 食後にダメもとでラビット島を陸地から望む展望台へ行ってみることにしました。

 海岸性の灌木が茂る中に築かれた、岩畳状の階段を下りていくと、ラビット島が目の前に鎮座しています。


ランペドゥーサ島側のビーチ、カーラ・プルチーノ。きっと普段は穏やかな入り江でしょう。

 島に打ち付けられた波の水しぶきや砂粒が風に運ばれて顔にあたり、かなりの強風です。残念に思いながら島を眺めていると、同じようにたたずむグループがもうひとつ。トリノから来た家族連れで、強風の中、それでも裸足になってビーチへ降りていき、水遊びを楽しんでいました。


いつの日か再訪したいランペドゥーサ島。

これが見たかったフライングボート。今はポストカードでガマン。

 翌日もやはりラビット島へ向かうボートが出ることはなく、残念ながらフライングボートはお預け。また何年か後に、リベンジの再訪をしようと決めました。レストランのおしゃまな少女の成長ぶりも楽しみです。

ランペドゥーサ島

●アクセス ローマから週2便の直行便で約1時間35分
●おすすめステイ先 ホテル・オシャ
https://www.osciahotel.it/


古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

文・撮影=古関千恵子



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